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「日本人を狂わせた洗脳工作――いまなお続く占領軍の心理作戦」関野 通道夫(著)(自由社 2015年3月)

→目次など

■GHQによる言論統制 (4)検閲制度への言及 (13)連合軍の戦前の政策に対する批判 (23)占領軍兵士と日本女性との交渉… リストを見るとき、統制は続いていることを知る■

『新しい歴史教科書』の自由社から出版されている本です。

国家もまた支配のための仕組みであることや、右翼/左翼という切り分けも分断統治のために作られた概念であることを考え合わせるならば、本書の視点には大いに問題があると私は考えます。また、私は、明治維新の時点で日本はすでに傀儡政権となっいるという立場をとっていますから、GHQとアメリカだけに焦点を当てることも誤りであると考えます。しかしながら、証拠文書を示しながら、日本人の多くが気付いていない、占領軍による日本人統治のための心理作戦を暴露しているという点で高く私は本書を評価します。

本文からも引用してみましょう。

約8千冊の焚書については、西尾幹二博士が『GHQ焚書図書開封』(現在10巻)で明らかにされていますが、日本占領後ただちに、時の日本政府への命令によって、日本側に代行させました。
狙い撃ちにされた主な書籍は、日本の大東亜戦争を肯定するものや、白人国家によるアジア植民地支配を批判するもので、出版社と書店にあった在庫は、すべて没収されました。図書館の棚は、なくなると一般人に気づかれるので、手を付けないという巧妙さでした。


本書によると、GHQによる30項目の報道規制には、検閲制度への言及や闇市の状況なども含まれています。たとえば、私たちの社会を落ち着いて見渡してみると、私たちに窮屈な状況を強いているのは、アジアの国々よりもむしろ欧米諸国であることが見えてくるのではないでしょうか。重用される文化人にはキリスト教徒が多いようですし、戦国時代に白人たちが日本人を奴隷として多数連れだしたという事実もほとんどの日本人は知らないままでしょう。検閲があれば気付く人も少なく、気付いたとしても広めることはできなくなります。

本書もまた何らかの意図を持って出版が許されているにすぎない可能性を警戒する必要があります。ただし、本書に示された言論統制と検閲の実態を知ることは有意義です。つまり、現代社会では、マスコミュニケーションと教育による価値観の植え付けと、検閲によって、人々の考えを操作できるのであり、これこそが本書の突き付けている大きな問題であると思えるのです。

なお、敗戦直後に育った団塊の世代が受けた洗脳教育についても知っておく必要があることを強く感じました。

内容の紹介


いまから70年前ですから、作戦を幇助した日本人も、証人席に立てたはずの目撃者も、ほとんどが他界するか、高齢化しています。
しかし、GHQ(連合国軍総司令部)が、敗戦後の日本人の脳内に、秘密裡に注入した猛毒WGIPは、日本人の脳細胞をむしばみ、分別と常識を狂わせました。 この<遅発性の劇薬>は、みごとに効能を発揮し、ジュネーブでも、なお効き目を保っていたというわけです。
しかも、人道主義や平和主義という、口あたりの良い「糖衣錠」仕立てでしたから、飲んでも苦くはないし、舌が痺れたりはしない。それどころか、自分は世界平和を希求する、ガンジー並みのヒューマニストだと、歓喜をともなう自己陶酔にひたれるのです。 - 22-23ページ

WGIPに限らず、基本は自分のすべきことをしっかりやり、他人に口出しをしないということなのでしょう。


GHQの政策実施は、重要な部分は、日本政府を通した間接統治によって行われ、多くの日本人に、自分たちが自主的にやったと錯覚させることで、絶大な効果を発揮しました。その効果は、日本のさまざまな分野に残存し、ある部分では拡大されつづけています。 - 28ページ

これも戦後日本に限られることではないでしょう。たとえば奴隷解放は、奴隷として養うよりも解放するほうが自主的にがんばるとわかったからだといいます。明治維新後の日本も同じでしょうし、第三世界の多くも同じでしょう。


ウィキペディアでは、実在するかどうかは明確でない、と疑問をつけられていますが、江藤淳氏は、例えば、CIEからG−2に宛てた1948年2月6日付の内部文書や、一般命令第四号(SCAP)というタイトルの1945年10月2日付け文書を特定していることもわかりました。 - 29ページ

Facebook、Twitter、Google、Youtube、Wikipedia、スマホ、LINE、Instagram…。ネット界もしっかり包囲されています。


A級戦犯とは、それまでの国際法には存在しなかった「人道に対する罪」と「平和に対する罪」で訴追された人たちをさします。 つまり、人は、法律によってのみ罪に問われ、有罪だとしても法によってのみ刑罰が決められるという罪刑法定主義や、罪を問われる行為を行った時点で有効であった法のみによって裁かれるという刑罰の不遡及という、すでに文明国家の間では当然視されていた「法の支配」を、GHQと極東国際軍事法廷は平然と踏みにじったのです。  - 30-31ページ

刑の重さではないとのことです



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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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