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「日本を不幸にした藤原一族の謎」関裕二(PHP研究所 2006年10月)

■ほぼ古代史に終始し、収穫は少なかった■

本書の「はじめに」に、昭和の話が紹介されている。

元首相・細川護煕の外祖父・近衛文麿は、泣く子も黙る藤原北家の嫡流である。

その近衛文麿が昭和天皇の前で足を組んで平然としていたというのは、有名な話。

ではなぜ、この男にそんな大それたことができたかと言えば、近衛文麿自身が皇族の血を継承していたこと、それよりも「藤原」の末裔だったという自負が、この男にあったからだろう。

一般庶民から見れば、「天皇」は「神のようなお方」だが、藤原から見れば、「傀儡」なのだった。だから近衛文麿には、「藤原が卑下する必要がどこにある」という気概があったのだろう。

私は、本書に現代まで連綿と続く藤原氏の日本支配の様子が書かれていることを期待して購入したが、内容は大化の改新前後に終始していてがっかりさせられた。

ただし、本書を読んで新しく得た視点もあり、まったく徒労に終わったわけでもなかった。

・大和政権誕生に先立ち、吉備に大きな勢力が存在していた。(秦氏か)
・九州北部にあった邪馬台国を大和が滅ぼした。
・邪馬台国も大和も合議制を重視していた。
・藤原の祖である中臣鎌足は百済の王子豊璋と同一人物であろう。
・藤原は藤原だけが栄える仕組みを作り上げるために対抗勢力を容赦なく叩いてきた。
・この藤原の性質は合議制を重んじる日本になじまない性質であり、百済との共通性がある。
・『竹取物語』は藤原不比等を風刺するために作られた。

これらの知見を元に、日本史を見直してみたい。
(文庫本も出ています。)

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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