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「病気が教えてくれる、病気の治し方―スピリチュアル対症療法」


トアヴァルト デトレフゼン (著)、リューディガー ダールケ (著) シドラ房子(翻訳)(柏書房 2004年11月)

→目次など

■病気を契機に自らを知る■

西洋版の『家庭でできる自然療法』、『赤本』ともいえそうな本ですが、スピリチュアルな側面から病気を理解し、対応していこうとする内容になっています。

たとえば、「がん」の冒頭部分を見てみましょう。

がんを理解するためには、アナログ思考がとくに重要だ。 まずはっきりさせておきたいのは、私たちが完全体として受け止めるものは、実はもっと大きな完全体の一部であり、別の見方をすれば、それもたくさんの小さな完全体の集まりだということである。 例をあげよう。 森(ひとつの完全体と定義されたもの)はもっと大きな完全体≪地域≫の一部であり、同時にたくさんの≪木≫(小さな完全体)が集まったものである。 木についても同じだ、 木は森の一部であり、同時に幹や根や枝からできている。 幹→木、木→森、森→地域は同じ関係になる。 - 278ページ

このように始まる説明は、反抗分子、国家、単細胞化、周囲をかえりみない拡張と自己利益の実現、近視眼的態度、 イエスの「命がほしい者は、それを手放すことだ」という言葉、≪ミクロコスモス=マクロコスモス≫という密教哲学、真実の愛の象徴である心臓へと展開していきます。
このように意味づけを行い、先人たちの知恵にならう手法にはさまざまな効果があると思われます。

本書では、このようにスピリチュアルな観点から病気が把握されているため、病気を通して自分の心を振り返ることができます。

私も中年を迎えて身体のあちこちにガタが来ていますが、本書の存在を知ってから、どのように解説されているのか必ず確認することにしています。 もちろん、本書のみを頼るのではなく、他の情報も参考にしています。

内容の紹介



ヒポクラテス以来、医学は患者に説きつづけた。 症状とは、機能のどこかに原因があってそれが偶然に表に出てくるのだ、と。 そして、原因を調べるために医学は努力を積んできたのである。 西洋医学は症状を解釈することを避け、そうすることで症状や病気を意味のないものとして片づけてきた。 これでは、症状の発するシグナルは意味をもたなくなる。 - 14ページ


健康になるために欠けているものを示してくれるのが症状である。 それを理解するためには≪症状の言語≫を知っていなければならない。 この言語は精神身体学で、心と体の関係を熟知している。 これは実は大昔からあるものだが、残念ながら時とともに忘れられてしまった。 本書の役割は、症状の言語を再習得することにある。 言語の深い意味に耳を傾ければ、症状の語ることが理解できるようになるだろう。 症状は緊密なパートナーであり、また自分の一部でもあるので、重要なことをたくさんおしえてくれるのである。 - 17ページ


皮膚
  皮膚は人体の重要な器官。皮膚にはたくさんの機能があるが、重要なものをあげると次のとおり。
一、周囲との境界および保護
二、接触
三、表現と意思表示
四、性
五、呼吸
六、排泄(発汗)
七、体温調節
  皮膚の機能はこのようにさまざまだが、隔離と接触というふたつの極のあいだを揺れ動くテーマを共有している。 皮膚は物質としての身体が外側と接する境界で、皮膚をとおして外界と接触し、皮膚をとおして自分を外界に見せている。 皮膚が自分を外に示す方法はふたつある。 ひとつは、すべての内臓を皮膚に反射する。 内臓になにか問題があれば皮膚にあらわれる。 つまり肌荒れはその部位に応じた内臓に導かれる。 自然療法のひとつリフレクソロジーはこの理論にもとづいている。 足裏マッサージ、放血法を使った背中ゾーンの療法、鼻反射ゾーン療法、耳鍼療法などがここに含まれる。
  経験を積んだ療法士は、皮膚に触れただけで器官の状態を知り、また皮膚上の反射ゾーンで器官を治療してしまう。 - 189-190ページ

このように、さまざまな先人たちの知恵を取り入れて、病気をスピリチュアルに把握した、300ページのボリュームを持つ本書は、たくさんの示唆を与えてくれそうです。

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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