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「アイデアのつくり方」ジェームス W.ヤング (著), 竹内 均 (解説), 今井 茂雄 (翻訳)(CCCメディアハウス 1988年4月)

→目次など

■「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」と帯にあるロングセラー■

まえがきから数えると52ページほどの分量しかないこの本は、多くの読者がまた他の人にも薦めるという名著であり、ロングセラーである。

アイデアを作るための方法の要点を抜き出してみよう。

1.データ(資料)の収集 これが大変な作業であるが、その分、なおざりにされることも多い。 製品と対象消費者に関する資料(特殊資料)と一般的資料(あらゆることに関心を持つ中で一生をかけて収拾していく資料)がある。 カード索引法を利用して抜けを防ぐ

2.データの咀嚼 第一段階で集めた資料をそれぞれ手にとって心の中の触角で一つ一つ触ってみる。

3.データの組み合わせ 問題を無意識の領域に移してシャーロックホームズがワトソンを音楽会にひっぱりだすときのように一旦問題を放り投げてしまう。

4.ユーレカの瞬間 アイデアがひらめく瞬間が訪れる。

5.アイデアのチェック ほとんどすべてのアイデアは実用化の段階で却下されていく。



日本語版には、地球物理学者、科学啓蒙家であり、科学雑誌『Newton』の初代編集長であった竹内均氏による解説が付けられており、本書では無意識による作業とされている「データの組み合わせ」を意識的な作業へと変えて、天賦の才能がなくともアイデアを生むことができる方法が説明されている。


さて、この薄い本を読むのに私は何度も挑戦しては破れ、とにかく読み切ろうという意志を持ってようやく昨晩読み終えた。読み切るのにかかった時間は1時間ほどだったかもしれない。


著者自身と解説者によって何冊かの本が紹介されており、それらも興味深い。また解説者による80対20の法則の話など本文以外にも有益な内容があった。翻訳は少しわかりにくく感じた。私が慣れていないせいかもしれない。


良い本であることは間違いないのだが、この本は、現代社会を生きるために良い本であって、動物として生まれてきた私たちが、動物として生きようとする本来的なあり方の前では、とりわけ重要性を持たない本であると私はみた。

内容の紹介


「訳者あとがき」より
今回の拙訳は、James Webb Youndの<A Technique for Producing Ideas>の一九六八年印刷版からの日本語訳であるが、本文の内容は昭和三六年に出した改訂版日本訳の原著一字一句変わっていない。つまり、原文は一九六〇年版のまま、いわば凍結されている、そのことを含んでお読みいただけると幸いである。
  原著の初版は一九四〇年に出ており、ほお半世紀に及ぶ今日までにおそらく数十の版を重ねていると思われるが、途中で版元が変わったこともあって、正確にはわからない。 - 99ページ

原著は随分古いことになります。こうした古くしかもほぼ完成された本というと『イヤな仕事はやらないで済ませられる』を思い出します。広告という、言葉の力で売上を上げる世界についての話なので、言葉以前の世界こそが生物の本来のあり方であると考えるようになった私は、こうして虚構が拡大していくのかという感想を持ちました。



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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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