るびりん書林 別館

「あふりかのたいこ (こどものとも傑作集 31)」瀬田 貞二 (著), 寺島 龍一 (イラスト)(福音館書店 1966年12月)

→目次など

■「じーぷ」に乗り、「さはり」を組む「ふらんすじん」や、「たいこ」で話す「どじん」のおとこのこが登場する絵本。■

※ネタバレ注意! ※
5才〜小学校初級向きという1962年発行の絵本です。
漢字を一切使わず、カタカナにもルビが振ってあります。

「タンボ」という男の子はお爺さんにならって太鼓で話ができます。

実際、アフリカの一部では、
太鼓の音をモールス信号のように使って
会話を伝えることができるのです。
だからトーキングドラムと呼ばれています。

「ふらんすじん」、トーキングドラム、ライオン、ダチョウが登場するところをみると、
どうやら『恋する文化人類学者』の舞台であるコートジボアールからベナンの当たりを
舞台としているようです。

ストーリーは単純です。
ある日フランス人がやってきてタンボを案内人に雇います。
しかし、フランス人は家に剥製をかざるためだけに動物を際限なく殺すのだと
タンボは気づきます。

タンボは太鼓で伝えます。
けものを みなごろしにする はくじん
が いる。けものを どこかへにがして
くれ。ぼんご、ぼんご、ぼんご


返事が聞こえます。
とむ、とむ、とむ。わかった。けものを
けす。どじんを にがせ。いんぱらを
まて


どじんたちもけものたちも消えて、二人だけで獲物を探していると
三日めにようやくインパラが見つかります。

インパラを追っていく二人が
ガソリンもなくなって歩いて入った森には、
草花でうずまれた広場があり、
鳥や獣がいて、小さな池を囲み、
かげのように しずかに
たって、じっと こちらを ながめていた

のです。

どこからともなく聞こえてきた
しみとおるような太鼓がタンボに伝えます。

じゅうを てばなせ。
けものに まじれ。
いのちの みずを のんで、
いのちに めをさませ


これを聞いて、まほうがとけたように動き出し、
順番に水を飲むけものたち。
ふらんすじんもじゅうを捨てました。
ああ、みごとだ。うつくしいなあ。いのちの ある
ものは、いきて、うごいて、ちからづよい。どれ、
わたしも みずを のみに いこう


小さな池のいのちのみずを人も動物たちも
飲んでうつくしく、ちからづよく生きる
世界ができていたのでした。




これは、光村図書の当時小学三年生の国語の教科書に載っていた物語です。
作者の意図をはっきり汲み取ることはできませんが、
いのちについて考えさせる本になっています。


以下余談です。
今になってみると、本書にあるようなゲームハンティングによってではなく、
人が人らしく暮らそうとして行っている
多様な活動そのものによって
動物たちの生きる余地を奪っていることに気付きます。

人が増えていくこと、資源を採掘すること、道路を建設すること、
工場排水を流すこと、耕地を増やすこと、私有地を囲むこと…


こう考えたとき、私は、
「けものに まじれ」という言葉を
字義通りに受け止めたくなります。

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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