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「50代からの休みかた上手」大原敬子(著)(ベストセラーズ 2005年2月)

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■ニッポン放送「テレホン人生相談」で長年にわたって回答者を務める著者が、在野の人であった曽祖母・大原とめの理念を伝える■

ニッポン放送が制作し、全国ラジオネットワーク加盟局を中心とする23局ネットで放送されている人生相談番組があります。相談者からの電話を受け付けるパーソナリティと、相談に答える回答者、この二人が一組になって、さまざまな相談に助言を与える形の20分番組です。パーソナリティも回答者も数名ずついらっしゃいますが、概ねペアは決まっているようです。みなさん素晴らしいかたですが、特に心理的な内容の問題に対して洞察のある助言を与え続けておられるのが、パーソナリティの加藤諦三さんと、回答者の大原敬子さんです。

是非、このお二人の著書を読みたいと思っていたなかで、たまたまこの本が手に入りました。特に50代でなくても通用しそうな内容になっており、休みかたに限った内容でもありません。

50代を模索と選択の時代ととらえ、休む目的、過去へのこだわりを捨てること、逃げの効用、欲望の怖さ、人間関係のトラブルの原因、遠回りすることの大切さなどが語られています。

私が印象的だった話としては、一流企業を退社して、肩書きを使わない会社に中途採用された一流大学出の社員の話がありました。高待遇を受けながら一切仕事を進めることができず、彼を採用した副社長が責任をとって仕事を引き継ぐことになった日に、退職願を出し、ふんぞり返った態度をやめて欲しいと副社長にも言い残したというのです。肩書きを使わなくても成り立つ組織の一員となるには、それなりの秩序を自ら保つことのできる人物でなくてはならないといった内容が記されておりました。

また、「僕が素敵だと思うのはやさしい人」と言った男性に対して自分がやさしいと思う行為をしてもそれはうっとうしいだけなのかもしれないともありました。自分の世界観は相手にとっては幻想でしかないというのです。

人生相談の大原さんからの回答でときどき感心させられるのが、子どもの口唇欲求を満たすためにおにぎりを食べさせるとか、子どもはママの匂いを覚えているので、幼稚園で「ママ、ママ」と泣く子には、ママのにおいのついたハンカチを持たせるといいといった、五感に働きかけることで心を落ち着かせたり、子どもの心理状態を知ったりする知恵です。本書では、このような知恵の披露は少なめでした(やる気のでないときに足を洗うこと、ケ小平と医食同源の話、毎日ジムに通う男性の話など)。

人生相談で、大原さんが多くの偉人たちの伝記を読むことを相談者に薦めていたことがありました。この本でも、先人たちのエピソードが多く引かれています。

全体を通して、今を生きること、人に興味を持つこと、執着を捨てることなど、なるほどと思えることは多いものの、散漫な印象もあります。特に「メッセージ」と題してところどころに挟まれたページは、3行程度で記述した教訓を並べたような形式になっているため、物足りなさや、説教臭さを感じてしまうかもしれません。この部分にもドキリとさせられる内容が含まれていたりもします。

人生相談の名回答と比べると物足りなさはありますが、何度か読み直して、自分の人生に生かしたい本でした。なお、大原敬子さんのホームページにある大原とめの人生を生き抜く100年の知恵には、この本と重なる内容が多く記載されています。また、大原さんは幼児教育が専門ですので、子育てで困っている方も大原さんのホームページを参照されることをお勧めします。

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「ルビリン」は東山動物園にいたアムールトラの名前です。土手で出会った子猫を迎え入れ、「るびりん」と命名しました。

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