受遺者の遺留分を超える部分が減殺される/弁護士の法律相談

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2015.8.3mf
弁護士河原崎弘

相談:極端な遺贈

私の母は3年前に亡くなり、この度、父が亡くなりました。
遺言状がありましたが、兄弟姉妹の取得財産の価額が極端に異なります。遺言を書いた頃は父は、入院しており、字も書くこともやっとできる状態でした。遺言は父の意思でなく、無効であると主張したいのですが、公正証書遺言であるので、それは難しいと聞きました。
兄弟姉妹が遺贈で取得した財産の評価は次の通り極端に違います。

名前取得資産の評価
A子800 万円
B男15000 万円
C男3000 万円
D男(私)1000 万円

そこで、遺留分だけは主張したいと思います。
遺留分減殺額の計算はどのようにしますか。私(D男)は、少ない遺贈を受けた相続人(A子)に対しても、遺留分減殺請求できるのですか。
相談者は、法律事務所を訪れ、 弁護士の回答を求めました。

回答:遺留分を超えた遺贈が減殺される

相続人に対する遺贈があった場合、 新しい判例によると、民法1034条に言う、「目的の価額」とは、遺留分を超過した金額を言います。相続人が遺贈された額が遺留分に満たない場合、減殺を受けません。
1.遺留分
本件では、 遺産の総額は 1 億 9800 万円です。遺留分は、1 億 9800 万円÷4 ÷2で計算すると、2475万円となります。
2.遺留分不足額
あなたの取得額は、1000万円ですから、遺留分を侵害されています。侵害されている(不足)額は1475万円です。
3.遺留分を超過した額
そこで、各相続人の取得額から2475万円(遺留分額)を引くと、遺留分超過額は次のようになります。
名前取得資産の評価遺留分超過額
A子800 万円0
B男15000 万円12525 万円
C男3000 万円525 万円
D男1000 万円0

4.減殺額(負担部分の計算)
あなた(D男)は、遺留分超過額の割合に応じて各相続財産から減殺します。
  1. A子に対しての減殺額は、0
    A子が受取った額は、遺留分以内だからです(遺留分超過額はない)。

  2. B男に対する減殺額は、1475×(12525÷(12525+525) )≒1415万6609円
    あなたは、B男が相続した財産につき、約15000分の1416(9.4%)の持分を取得します。
    減殺割合は
    12525 1
    1475×---------×-------
    12525+52515000

  3. C男に対する減殺額は、1475×(525÷(12525+525) )≒59万3390円
    あなたは、C男が相続した財産につき、約3000分の59(2.0%)の持分を取得します。
    減殺割合は
    5251
    1475×---------×-------
    12525+5253000
あなた、B男およびC男に対して、それぞれ、相続した財産につき、上記割合の権利を主張できます。A子の相続分は遺留分を超えていませんので、A子に対しては減殺できません。
以上は、最近の判決に従った考え方です。

法律

民法第1034条(遺贈の減殺の割合)
遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

判決

登録 2002.10.19
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