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Last updated 2015.6.19mf
弁護士河原崎弘
ビザ目的で結婚した外国人の夫との離婚:弁護士の法律相談
相談
私と夫(バングラデシュ国籍)は1998年10月に結婚しました。
結婚のときには夫は7年間のオーバーステイでした。
それを知ったのは子どもができて、結婚しようという時になってからでした。
彼は、私には「5年のビジネスビサで来ている」と言っていました。
私は、「だまされた」と思いましたが、「子どもは私たちの愛の結晶だから」と言う彼の言葉を信じることにしました。子どもができていたし、もう後には戻れない心境だったからです。
1999年3月、出産
1999年9月、夫は日本人の配偶者等のビサを取得
その後、2人目の子供ができたかもしれない時があって、彼に話すと、彼は、「薬があるでしょう」と言いました。薬で子どもを流せるでしょう、という意味です。
この冷たい言葉が彼の口から出たとは、私は信じられませんでした。私たちは,親にもまだ本当には認めてもらえていない、経済的にも苦しく、私も妊娠には否定的でした。しかし、彼がそんなこと言うとは思いませんでした。
子供は私たちの愛だと言った同じ人が、そんなことを言うとは。そしてその無知さにもです。
結局、私は妊娠はしていませんでした。
それ以降、私たちは、言い合いをすることが多くなり、2000年4月に離婚を考え、別居に踏み切りました。
夫は、初めは、「自分が悪かったから、もう一度考え直して欲しい」というような内容のことを言っていました。私が、取り合わないでいると、夫から 「今までの自分の人生を返せ、今まで使ったお金180万円を払え」、 などと手紙や電話が来ました。
2000年9月に離婚調停。
家庭裁判所では,夫は、「愛情があるので別れない。金も要らないが、子どもを渡してくれれば別れてもいい」 と調停委員に言ったそうです。しかし、折り合いがつかず、月々の婚姻費用を彼が支払い、離婚か、同居するまでの間別居を続ける、ということになりました。
後で知ったのですが、夫は、7月に私に内緒でビサの更新を済ませていました。
別居の事実があるにもかかわらず、保証人がしっかりしているなどの理由から3年のビサ更新が認められていました。夫の希望する在留期間は「永住」になっていました。
身元保証人は、日本人配偶者か、扶養者となっています。しかし、入管の回答は、「保証人は、別に、妻(私)でなくても、第三者でもかまわない。ただ戸籍に婚姻の事実が記載されていればいいのだ」とのことでした。
私は,ここに制度の疑問点を感じました。配偶者以外の人が保証人になるのなら、配偶者の承認を確認できる書類もつけ加えるべきではないだろうかと思います。
他の件でも、夫は,提出するべき印鑑証明(私のもの)をコピーして、「使ってくれるように」と言って、不信がられ、私に確認の連絡がきて、それが発覚したりと、ずるいことをしています。
以上のことから、彼の目的は日本に永住することであり、そのために私と子どもを利用した、と考えています。- このような状況で、離婚裁判でそれを明らかにすることができますか、勝ち目はありますか。
-
私は現在実家に居候していて、収入がないのですが、子どもの親権を私がとることができますか。
- また、これを読まれてどのようにお感じになられましたか。
私の考えは間違っているのでしょうか。
回答
日本にいる外国人にとって、ビザは大問題です。配偶者ビザを持っていると、職業に制限なく、働くことができますので、日本で働きたい外国人は日本人との結婚を狙うのです。具体的な疑問に対する回答は、次の通りです。
- 離婚裁判で、彼の結婚目的が明らかになるかは、明確ではありません。1年ほど別居していますので、離婚判決は出るでしょう。裁判は、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
- 子供が幼児の場合、母親であるあなたが親権者として認められます。
-
あなたのお感じの通りと思います。当事者であるあなたがよく冷静に判断していると感じました。同居して愛情が生まれれば良いのですが、嘘の連続ですと、後でひどい裏切りに遭い、あなたにとって恐ろしい結果
になる可能性があります。
しかし、誰にも将来のことはわからないし、他人の心も見ることができません。今後については当事者であるあなたが決断するするしかありません。
客観的なことは、無理な、不自然な結婚であり、いつかは破綻します。傷が小さいうちに離婚をした方がよいでしょう。
ビザ目的の結婚の実態は次の通りです。
- 多くは配偶者ビザ(出入国管理及び難民認定法19条1項により、活動制限がない)取得のため、金を払って日本人と偽装結婚します。お金の欲しい病人や遊び人の日本人が対象となります。日本でオーバーステイで強制退去させられても、身分証明書中の生年月日や番号を変えて(例えば中国では30万円程度の賄賂でこれが可能)偽装結婚で配偶者ビザを取得します。
この例は非常に多いです。行政書士、入管関係者、議員秘書が関係する場合もあります。入管も、本人に、オーバーステイ(前記のとおりこれを隠す場合もある)や資格外活動など違法行為がない場合はビザを与えます。 -
他の方法は、金を払う代わりに、適当な(通常、年上の)日本人を見つけて実際に婚姻する方法です。
この方法で愛情が出てくれば良いのですが、そうでない場合は、相手の日本人配偶者の心労は大変なものです。
外国と日本の経済格差、生活程度の格差は、外国人にとって大きな魅力です。彼らは心を殺し、金のために日本人に近づきます。
通常、婚姻届出をするまで、あるいは、配偶者ビザを取得するまでは、外国人配偶者は、我慢に我慢を重ねます。この心理は日本人の想像を超えています。結婚も仕事の一部なのでしょう。日本人配偶者は、婚姻届出をした後、あるいは、ビザ取得後、相手の態度が豹変したことに驚くでしょう。
あるいは、外国人自身が我慢できずに家を出て、愛人のもとに走る例もあります。
我慢を通している場合、本人は、意図的に日本人配偶者に嘘を言って、ごまかして何年も経過するので。それを後で発見した日本人配偶者は、驚き、愛情と信じていたことが後で実は愛情ではないことを知るのです。信じていた人に裏切られていたことを知るのです。我慢し通した外国人もそうなると、態度を急変させます。
あなたと同様の目に遭っている日本人はいます。
後で真実を知り、裏切られたとの思いから、ひどい形相で、「復讐したい」と言って法律事務所を訪れた(外国人の夫より16歳年上の)日本人女性(54歳)がいました。弁護士は、「年の差が大き過ぎ、不自然な結婚だな」との印象を受けました。
よく事情を聞いてみると、極めて不自然な結婚で、女性も、「男性がビザ目的であることはわかっていた。しかし、若い男性と生活できることを喜んでいた」ことは、明らかでした。弁護士は「法律で復讐することはできない」となだめ、使った生活費の半分を分割で返してもらうための書類(契約書)の書き方を教えました。
このようなケースは非常に多いです。
彼には、ビザ取得という大きな目的があったのでしょう。ビザを取得した後
、彼は、あなたに関係なく自由になります。
対処方法は次の通りです。
- 1つは、婚姻意思がなかった(民法742条1号)ことを理由とする婚姻を無効とする方法です。法の適用に関する通則法24条1項を適用されます。
- 他の1つは離婚です。この場合は、法の適用に関する通則法27条を適用します。
どちらとも、細かな法律の解釈が必要ですので、弁護士に、ご相談ください。
ビザ目的の疑いのある例-
夫(31歳)は中国人。
この男性は企業研修生として来日、妻(35歳、日本人、保険会社勤務)と知り合い、結婚、配偶者ビザ取得。
妻は心臓が悪く身体障害者、月給16万円ほど。夫婦で中国旅行しても、夫は妻を自分の親、兄弟に会わせない。夫には、中国に子供が居る様子で仕送りをしている。夫は日本の会社に勤めているが、生活費を妻に渡さず、妻の給料で生活している。住居は妻が相続によって取得した家。
-
妻(35歳)は中国人。
この女性は日本でホステスをしているときにオーバーステイで強制送還された。
しかし,日本の生活に慣れたため,中国の生活になじめず、日本帰りの中国人たちと付き合って暮らす毎日。中国人を「レベルが違う」と考え相手にせず。日本でホステスをしていたときに知り合った心臓の悪い男性(46歳、日本人、会社員)と結婚し、配偶者ビザを取得し、来日。夫とは別居している。
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妻(女性21歳)は韓国人。
女性は、
日本で私立大学の学生(留学生ビザ、法19条2項により資格外活動には制限がある)。
生活費を稼ぐためにクラブでホステスをしているときに入管の違反調査(資格外活動
)を受けた。調査は中止となったが、ビザの更新が許可されないのではないかと心配し、クラブの客で肉体関係があった日本人(30歳)に、「結婚すれば大丈夫」と、誘われ、結婚。
初め1週間だけ夫と同居し、配偶者ビザ申請。その後、入管が同居の有無を調査に来ることを心配し、夫と完全に同居した。
結婚1年ほどでビザが取得できた。その後、妻は夫に嫌気がさし、結婚1年6か月半ほどで家を飛び出した。
このケースでは、夫には結婚する意思はある。しかし、妻は「ビザのため大学を卒業するまで入籍しておく」との意思であったようで、本当に婚姻の意思があったかは疑問。
通常、偽装結婚では、相手(日本人男性)に頭金60万円、毎月5万円程度を支払うようです。
- 夫(36歳)バングラディッシュ人
男性は、平成3年観光ビザで来日し、不法残留し、水商売に従事。
平成7年(当時29歳)に、妻(日本人、45歳、会社員)と知合い、すぐ結婚。入管に出頭し、仮放免になり、月に一度入管に2人で出頭し、平成10年配偶者ビザ取得。
夫は、現在、小さなスナック経営。妻が16歳年上なので、入管は「偽装結婚」を疑ったであろう。ビザ取得前から、夫は、(妻との同居に我慢できなかったので)妻のもとを出て別居し、37歳の女性(日本人)と同棲。バングラディッシュ人の目的は配偶者ビザ取得だったであろう。
- 妻(26歳)中国人
女性は、前にも日本人と結婚し半年ほどで離婚。女性は「中華料理店で働いている」と称していたが、詳細は不明。今回の日本人の男性とは、錦糸町にある結婚紹介所で知り合う。男性は、結婚紹介所に成約料など115万円を支払う。
女性は、結婚式(約1月)前から、入籍を求め、入籍した(これはビザの更新のため利用)。結婚式を挙げ、同居したところ、妻は、性交渉を拒否し、1週間後に家出し、行方不明。中国人女性の目的は、配偶者ビザ取得だったのであろう。
コメント
私の彼もバングラディッシュ人です。
確かに偽装結婚が多いですね。私の彼の友達も偽装結婚を繰り返してる人がいます。私は彼のことは好きだけれども、ビザ目的の被害をよく耳にするので、結婚には踏み込めません。10月の審査で3年の滞在ビザがおりるかどうからしいので、様子を見ています。
好きは好きでも、ビザは別物です。あえてビザの話はお互い何も言いません。
私は彼の友達が好きではありません。なぜなら、心の奥底では日本人を馬鹿にしていながらも、日本への嫉妬を持ち、ほとんどの人は、偽装結婚か、暴力団関係者から買ったビザか、もしくはオー
バステイです。
しかし、彼ら(偽装結婚)の老後はかなり寂しく、孤独なもののようです。
身近に家族もいない、国に帰っても、すでに自分の居場所はなく、独り寂しく職場と自分の家との往復です。
中にはうまい具合に永住ビザを取得し、国から若い女性を奥さんに迎え入れている人もいました。しかしこの方も虚しさだけを感じているよう見受けられます。なぜなら、こういった女性たちは日本に滞在することが目的で(親が決めた相手かもしれませんが)、結婚しているようです。もしくは、その家族が日本に来る目的での橋渡役になってます。結局、自分も利用されているのです。
私は、まだ、彼のことは信用してはいません(2003.8.26)。
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