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2015.5.15mf更新

夫の浮気相手に対して訴えを提起するために必要な証拠は

弁護士河原崎弘

相談

41 歳の主婦です。夫は 44 歳、 結婚して 17 年です。子供は高校 1 年と、中学 1 年の娘がいます。
2年前に夫が職場の元同僚と不貞をしているのを夫から聞き出しました。聞き出せた理由は、夫の免許証入れに不貞の相手と旅先で撮影した写真を見つけ、問い詰めたところ、夫は不貞を認めました。
夫の話によりますと、 最初は、元同僚の相手から電話で職場の悩みの相談を受けているうちに、会って話をするようになり、相手と肉体関係を持ち、2009 年 4 月から 2010 年 4 月まで月 3、4 回ペースで肉体関係を持ったのです。
最初は、離婚も考えましたが、子供のことを考えると踏み切れません。 昨年、不貞の相手の女性に慰謝料 500 万円を請求する調停を申し立てましたが、相手の女性は夫と二人で会ったり、遊びに行ったことは認めたのですが、肉体関係を全面否定し、調停は 1 度で不調で終了しました。

そこで、相談したいのです。民事裁判では、どの程度の証拠を提出すれば訴えが認められるのでしょうか。
証拠としては、見つけたツーショットの写真と夫に書かせた不貞のメモがあります。二人でホテルに入る写真のような証拠があり ません。
裁判所で、夫は証言を拒否しかねません。浮気が判明したときに夫の上司であり、相手の元上司の営業所長に相談したところ、相手方は、夫と「別れたくない」と最初は言ったそうです。
このような状況で不貞(浮気)の慰謝料が認められるでしょうか。
相手に社会的制裁を加えたいのですが、金額的には妥当でしょうか。
相手の女性は、32歳の独身です。

回答

不貞(浮気、不倫)を理由とする慰藉料請求事件で、通常、証拠として有効なのは、興信所の報告書、調査員の証言、ホテルに入ったり、出てくる場面を取った写真、相手からの手紙、電話の会話の録音テープ、相手に書かせたメモ、メール、第三者の証言、当事者の陳述書などです。最近は、メールが多いです。
泊まったホテルと日時がわかる場合は、弁護士法 23 条の 2 第 1 項の照会手続きで、同宿者を調査することができます。当事務所でも、夫の手帳に書いてあったホテル名、宿泊日から、弁護士法 23 条の 2 第 1 項の照会手続きで、ホテルから、女性と宿泊したとの回答を受け、本人尋問で、不貞事実を自白させた経験があります。
不貞行為をした当事者の一方が法廷で不貞行為を認めると、(他方の相手が否認しても)不貞行為は認定されるでしょう。
相手の女性は、法廷で肉体関係を否定するかも知れません。しかし、本件では夫の書いたメモがあり、上司も話を聞いているので、夫は、嘘を言い難い状況にあります。夫は不貞を認めるでしょう。仮に、夫が不貞を否認しても、裁判官が夫の証言を真実と認めるか、疑問です。
本件では、慰藉料請求が認められる可能性が大きいです。
離婚はしないのですから、慰藉料金額は 50 万円から 200 万円前後でしょう。しかし、請求額として 500 万円を掲げることはかまいません。

弁護士法 23 条の 2 第 1 項の照会手続
同じホテルでも、顧客への配慮から、回答しない場合がありました。企業名で宿泊代を払った場合などです。
浮気相手と海外旅行をした疑いがあり、出国日と相手の氏名が判明している場合、法務省入国管理事務所に 2 人の出国の日時、渡航先国名、降機地などを照会しましたが、回答を拒否されてしまいました。照会理由が、訴状送達のための調査である場合は、同事務所は、入出国の日時、渡航先国名を回答します。

なお、不貞の証拠がなくても、度が過ぎた交際 なら, 慰謝料請求ができます。

港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 03-3431-7161