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2015.5.16mf
弁護士河原崎弘

不貞の証拠はないが、夫の交際相手に慰謝料請求ができるか
=度が過ぎた交際

相談

27歳の主婦です。夫は34歳、子供が1人います。結婚して6年です。
夫は、職場の同僚(離婚暦ある女性、37歳)と、しばしば、カラオケなどに行っているようです。一度は女性の引越しを手伝ったようです。夫から聞いたところ、夫は、「やましいことはない」と、言います。
私は、一度、その女性とも会い、「夫と交際しないで欲しい」と、頼みました。しかし、その後も、交際は続いています。夫は、最近、午前0時過ぎに帰ることが多いです。
私のたちの家庭は、その女性のために、めちゃめちゃです。夫の様子から、女性とは肉体関係があると思います。でも、その証明はできません。私は、女性に慰謝料請求できますか。相手の女性は、最近は、私が電話をすると一方的に電話を切ってしまいます。
このような状況で、女性に対する訴えが認められるでしょうか?
相手に社会的制裁を加えたいのです。

回答

不法に婚姻生活が破壊されたのであれば、あなたは、慰謝料請求できるのですが、単に、他人の夫と飲酒したり、カラオケに行っただけでは不法とは言えません。
性交渉の外には、度々、自宅に宿泊させるとか、秘密の場所で、接吻しているとか、社会通念上、度が過ぎた(不適切な)交際がこれに当たります。
不貞の証明 は難しいです。度が過ぎた交際とは、どんなものか、中々、考え難いのですが、下記判例が1つあります。
あなたの請求は認められる可能性はあります。弁護士と相談し、弁護士名で 内容証明郵便を出してもらったら、どうでしょう。

判例

東京高等裁判所昭和47年11月30日判決(出典:判例時報688-60)
本件は、肉体関係があったとの証明はないが、妻が夫に対して離婚を、夫および夫と交際があった12歳年上の未亡人に対し婚姻関係を破壊させたことを理由に慰謝料を請求した事件です。裁判所は、 肉体関係の証明はないが、慰謝料を認めました

夫が交際していた女性は、子供が一人いるが、配偶者はなく、洋裁店を経営していました。
この女性は、姉御肌で、気軽に男性と付き合うので、女性宅には麻雀や飲酒のため男の仲間たちが集まることが多く、土曜日の夜にはしばしば徹夜し、中には寝こんでしまう者もありました。

妻は、夫がこの女性と肉体関係があるのではと、疑い、悩み、夫を入れて3人で話し合いました。しかし、女性は妻の誤解を解くこともせず、ついに、夫と妻は離婚してしまったのです。

隣人なのに、夫婦間の仲にひびが入るような言動を慎まず、手をこまねいて傍観し、無軌道とも言える生活の中に夫を引き入れ、夫の下着に女性のネームがあったことや、夫が女性宅を訪問することが夜であり、頻度が多かったことなどが重要な要素として考慮されました。
この事件では、女性が支払いを命じられた慰謝料は50万円(1972年)でした。現在(2013年)の物価水準に直すと136万円くらいでしょう。
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