道路を車の保管場所として使う隣人対策

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2015.5.11mf
弁護士河原崎弘
相談
現在、私は違法駐車に悩まされています。 私の家は、道幅4m程の道路に面した住宅街にあるのですが、 私の駐車場の斜め前にいつも駐車している車(軽自動車)があるのです。持ち主は、斜め前の家の人のです。頻度としては、平日は夜から朝まで一晩中、土日は一日中駐車しています。 そのため、私が車を駐車場に入れる場合、2〜3回ぐらい切り返しをしなければならず、非常に不便な思いをしています。更に、駐車場から出るときは一方向(車がない方向)にしか出られないので、これも不便なのです。 これは明らかに、以下の法律規定に抵触しており違法な のです。 このような状態が、その人が引越しして来て(10年程前)から続いており、 警察に連絡したり、直接文句言ったりしているのですが、移動するのはその時だけで、結局すぐまた駐車してしまうのです。以前は普通車でしたが、今は軽自動車となり、「軽自動車だからいいだろ!」と言わんばかりに駐車するのです。
昔は若気の至りで激しく口論したりしてましたが、一方的に言っても何ら解決には至らないという経験から、双方の妥協案を考えてみました。 まずはこの内容を記した手紙を、内容証明郵便のフォーマットで作成し、相手に渡そうかと思っています。それでも改善されなければ、本物の内容証明郵便を配達証明付きで送ろうと思っています。いかがでしょう。

回答
弁護士は、次のように説明してくれました。 隣人の行為は、まず、道路交通法に違反します。
禁止事項罰則
駐車場(車庫)の出入り口から 3 m 以内は駐車禁止(道路交通法45条1項1号)15万円以下の罰金(119条の3)
右側の道路上に 3.5 m 以上の余地のない場合は駐車禁止です(同法45条2項)15万円以下の罰金(罰則119条の3)

さらに、隣人は、自動車の保管場所に関する法11条に違反しています。同法11条では、以下の行為は禁止され、違反には懲役、罰金が科せられます。
禁止行為罰則
道路を自動車の保管場所にすること3月以下の懲役又は20万円以下の罰金
道路上に継続して 12 時間以上駐車すること20万円以下の罰金
道路上に夜間 8 時間以上駐車すること20万円以下の罰金

駐車禁止違反なら、反則金を支払って終わりですが、保管場所法違反は、道路交通法違反ではないので、反則金は適用されません。裁判を経て罰金を支払うことになります。罰金は前科になります。保管場所法違反は厳しい罰を受けることになります。

結局、弁護士が勧めたのは、次のように段階的に手続きをとることでした。
  1. 隣人と直接穏やかに話し合う。
  2. 警察を間に入れて話し合う。
  3. 相手が話し合いに応ぜず、悪質な場合には、これらの法律違反で警察に、違反事実を告げる。それでも、効果がない場合は、告発する。
告発は告訴に準じて手続きをすればよいでしょう。
告発を受理すると、警察には捜査をする義務が生じます(刑事訴訟法242条)。警察は告発の受理を嫌がるでしょう。あくまで、普通の態度で、警察に告発の受理を粘り強く求めてください。

自動車の保管場所の確保等に関する法律
(保管場所としての道路の使用の禁止等)
第11条 何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
  1. 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
  2. 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
 前2項の規定は、政令で定める特別の用務を遂行するため必要がある場合その他政令で定める場合については、適用しない。


・・・・・・

(罰則)
第17条 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
  1. 第9条第1項の規定による公安委員会の命令に違反した者
  2. 第11条第1項の規定に違反して道路上の場所を使用した者
 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
  1. 自動車の保管場所に関する虚偽の書面を提出して第4条第1項の規定による処分を受けた者
  2. 第11条第2項の規定に違反した者
 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
  1. 第5条、第7条第1項(第13条第4項において準用する場合を含む。)又は第13条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
  2. 第9条第6項の規定に違反した者
  3. 第12条の規定による報告をせず、若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者
第18条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

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