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Last updated 2015.4.6mf

会社が倒産した場合、給料債権には優先権がありますか

相談:勤務していた会社の倒産

私の勤めていた会社は先月倒産しました。
給料は払ってもらえず、ボーナスも出ません。社長は自己破産の手続きをしました。私達(5人)は未回収のお金(売掛金)を給料としてもらいたいと思い、お得意さんの会社(M社)と相談し、そのことを伝えました。 幸い、M社の社長も、お金を私たちに、「払いたい」と言ってくれました。
金額は150万円です。しかし、倒産した会社の社長の弁護士から「社員が色々動いているようだが、社員にその権限はない」とM社に連絡が入ったそうです。
私はお金を諦め、新しい会社の仕事に集中したいため、この件を他の人に頼み、関わらないようにしています。でも、 130万円(給料二ヶ月分60万円とボーナス70万円)の半分でもいいから払って欲しいです。
この社長は新しい会社(新しい会社の社長は親戚の人)を作り、仕事をしています。
新らしい会社から取立てることは無理なのでしょうか。
給料には優先権はないのでしょうか。

回答:給料は優先権ある

倒産後、旧経営者が新しい会社を設立し、以前と同じ仕事をすることはよくあります。いわゆる、倒産太りする人もいます。この場合、旧会社の資産が新会社に移されたことが証明できないと、新会社に対する法的対処は無理です。
労働者は売掛金を取る権限はないのですが、給料(賃金)は民法308条(先取特権)で、先取特権として優先権が認められています。そこで、会社倒産の場合、整理を任された弁護士は優先的に労働者に対して支払います。破産の場合、給料、 退職金は、給料3か月分の範囲で、優先的に弁済を受ける財団債権として扱われます(破産法149条)。
このことを弁護士に伝え、会社からM社に対し、 内容証明郵便 にて売掛金を従業員に譲渡する旨の債権譲渡の通知をしてもらってください。債権譲渡の通知で対抗力が生じます(民法467条)。
社長がこれに従わないのであれば、弁護士に依頼し、上記先取特権に基づき売掛金の差押えをしてください。この差押に必要な書類は厳格です。書類が揃わなければ民事保全法に基づき仮差押えしてください。
なお、本件は、賃金の支払い確保等に関する法律7条の賃金の立替払い制度が適用される可能性もあります。 給与取立の最後に書いておきました。

登録 Oct. 10,1998
神谷町 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘