弁護士(ホーム) > 弁護士による交通事故の法律相談 >
Last updated 2016.5.23mf
弁護士河原崎弘

2回目の交通事故による損害額の算定

質問:2回目の事故

私は、客としてタクシーに乗車中、連続して、2回も高速道路で 交通事故 に遭いました。二重の事故です。1回目の事故の3か月後に2回目の事故の遭いました。
二回とも、私は後部座席で寝ていて事故に遭いました。
事故原因は、運転手の不注意でのスリップ事故です。時速110kmでの走行中の事故です。私は、1回目の事故によるむち打ち症(頭重感、右肩から右手にかけてのしびれ感)が直らないまま、通院中、2回目の事故で、さらに症状がひどくなりました。
この場合、賠償金額は、どうなるのでしょうか。
対応のかなり乱暴な1回目の事故のタクシー会社の事故係は、「1回目の事故を示談して終了しないと、2回目の事故の話が前に進まない」と言うのです。1回目の事故で受けたむち打ち症は、3か月で直ったと判断されてしまうのでしょうか。
自分の運の悪さを嘆くしかないのですが、周囲に相談できる人もなく、考え込んでしまいました。タクシー会社のヤクザみたいなプロの事故渉外係の話は本当なのですか。
相談者は、日弁連交通事故相談センター電話相談 で、弁護士に相談しました。相談料は無料でした。

回答:各事故の寄与度を考える

2度(2度,2回)目の事故の場合、従前、裁判所の 判決 は、それぞれの加害者に全損害を認めることがありました。
しかし、最近は、傷害の部位によって、加害者の責任を分けたり、損害発生についての加害者の寄与度に応じて責任を認める傾向にあります。第2の事故の加害者の責任を、全損害(休業補償、治療費、 慰藉料 )の9割と判定した判決があります。
裁判所は、第1の事故の加害者に対する損害賠償額は、全損害額から、第2事故によって生じたと考えられる損害額を除いて判定するでしょう。同様に、第2の事故の加害者に対する損害賠償額は、全損害額から、第1事故によって生じたと考えられる損害額を除いて判定するでしょう。要するに、何らかの基準で、2つの事故の損害を分けるのです。
第1の事故の加害者に対する損害賠償請求金額が3か月の傷害分のみとは判定されません。
「1回目の事故を示談して終了しないと、2回目の事故での話が前に進まない」との話はおかしいです。
被害者としては、自分の判断で、全損害金額を2つに分けて、2つの会社、2人の(自動車)運転手に対し、それぞれ損害賠償請求をしたらどうでしょうか。
加害者が不誠実なら、加害者を業務上過失傷害罪で 告訴 したらどうでしょう。そうすると、警察に捜査義務が生じます。 示談 にも良い影響があるでしょう、

判決:複数の事故

参考:損害賠償算定基準2016(赤本)下巻
登録 Feb. 4, 1998
神谷町 河原崎法律事務所 弁護士河原崎弘 03−3431−7161