離婚する際の調停調書と公正証書の比較

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2015.6.19mf
弁護士河原崎弘

相談

離婚することになりました。財産分与、慰謝料、養育費などを決めるのに、家庭裁判所での調停で決めるのと、公証役場で公正証書にするのでは、効力が違いますか。

回答

財産分与、慰謝料、養育費などを家庭裁判所での調停で決め、調停調書にしても、公証役場で公正証書にしても、両方とも、執行力があります。不履行の場合、強制執行できるのです(民事執行法22条)。公正証書は、金銭支払いを目的する場合のみ強制執行できますが、調停調書の場合は、金銭の支払いだけでなく、不動産の登記、建物明渡などの場合の強制執行もできます。
さらに、調停調書に記載された債権の消滅時効期間は、一律、10年間になります(民法174条の2)。公正証書のに記載された債権は、そうではありません。慰謝料は3年(民法724条)、養育費は5年(民法169条)で時効消滅することは、公正証書にしても変りません。
手続上、家庭裁判所の調停では、2人の調停委員、裁判官が関与しますので、調停調書の内容はある程度妥当なものになりますが、公正証書では、公証人は、形式的に書類を作ることが多く、内容に対してはあまり関与しません。
調停離婚でも、公証役場での離婚でも、年金分割はできます。年金分割についてはどちらでも同じです。
時間的なことですが、調停調書は、何回か期日を開きますので、最低でも2、3か月かかりますが、公正証書は、公証役場に行って即日作成することができます。
費用的には、調停は、申立印紙代が1200円、あと切手800円程度ですが、公正証書は、3、4万円はかかるでしょう(公正証書に記載された金額によって異なる)。
離婚については、調停離婚は、調停成立で離婚の効力が発生し、あとは、当事者の片方が、報告として離婚届出をします。 公正証書で、養育費などを決めた場合は、当事者双方が、離婚届に署名捺印し、離婚届出をします。届出によって、離婚の効力が発生します。公正証書を作成しても届出の段階で、片方が意思を翻すと、面倒になります。
調停調書と公正証書を比較すると、調停調書に分があります。急がないのであれば、調停離婚がお勧めです。

登録 2010.10.29
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