ウスゲチョウジタデ

 中核真双子葉植物 バラ類 フトモモ目 アカバナ科 チョウジタデ属 (APG分類体系)

 学名 Ludwigia epilobioides Maxim. subsp. greatrexii (Hara) Raven

 タデという名前がついていますがタデのなかまではありません。マツヨイグサと同じアカバナ科です。
 葉のようすが、何となくタデに似ているためでしょう。
 ウスゲチョウジタデは、絶滅危惧II類に指定されています。ii類というのは、絶滅の危険が増大しているもののことです。
 チョウジタデが赤みを帯びた茎であるのに対して、ウスゲチョウジタデのほうはふつうの緑色です。

 
 アカバナ科ですから4枚の花弁が基本ですが、チョウジタデのなかまは5枚のものがかなりあります。
 花弁が5枚だと、がくやおしべの数も5になります。もちろん子房の中も5室になります。
 
 左の写真のものは、花弁が7枚もあります。おしべは7本です。
 他に8枚の花弁のものもありました。
 
 2つの葯室からは、氷砂糖のような花粉があふれ出しています。
 もう、葯室は開ききっていて、そろそろこの葯はおしまいになりそうです。
 
 葯は、2つの葯室とそれらにはさまれたやく隔、そして、やく隔からのびだした花糸から成り立っています。
 アカバナ科の葯は細長いものが多いのですが、チョウジタデ属はずいぶんずんぐりしています。
 

 チョウジタデ属のめしべは、まるで棒のようです。
 柱のような部分は花柱です。
 花柱のつけねに着目しましょう。
 うっすらと毛が生えています。
 ウスゲチョウジタデの名前のいわれです。
 子房は、毛のところより下の部分で、これも棒状にのびていきます。長さ2cmくらいになるでしょうか。

 
 
 花柱の先端は、柱頭といいます。
 アカバナ科でも、マツヨイグサのなかまは、柱頭が大きく4裂しているのが特徴ですが、チョウジタデのなかまは写真でわかるように単純に丸です。
 同じ科でも属がちがうと、ずいぶん変わってしまうものもあるようです。
 
 柱頭の表面を実体顕微鏡で拡大してみました。
 無数のつぶつぶ状の突起がありました。それなりに進化しているようですが、マツヨイグサ属のような優れた進化にはなっていないようです。
 
 めしべやおしべのつけねのところを顕微鏡で観察してみます。
 緑色のかたまり(粒)が見えます。
 見なれてくるとすぐわかるようになりますが、これは蜜腺です。
 蜜腺というのは、蜜を出すところです。
 虫媒花の中には、昆虫を呼ぶために蜜を出すものが少なくありません。
 
 蜜腺のまわりには、ウスゲチョウジタデの特徴になるうす毛がまばらに生えています。
 左下の黄色い棒は、おしべの花糸です。
 氷砂糖のような花粉も見えます。
 
 蜜腺の1つをとらえました。
 光っているのは、蜜を出しているからです。
 この蜜をめざして昆虫がよってきます。
 
 花弁が落ち、がくが残ります。
 この花も、5弁花でした。
 がく片の先は、急にせばまり、かなりとがっています。
 これから子房がのびはじめ、棒状の果実をつくります。
 
 おしべがしおれ、柱頭が赤く染まります。
 茎を見ると、たてにスジが見えます。このような腺を稜と呼んでいます。
 
 がくの下にのびている棒状のものが子房です。
 茎は稜があるので角ばって見えます。写真のように四角柱になることもあります。
 アカバナ科は、葉のつき方は基本的には互生です。しかし、写真のように対生になる場合もあるのです。
 何事も決めてかかるのはよくありません。
 図鑑をうのみにしないで、自分の目を信じましょう。