悪意と悲劇について考える

復活の薔薇





2000年8月23日発表のアルバム「薔薇の聖堂」と8月31日と9月1日の二夜のライブでMALICE MIZERは
完全復活を遂げた。

98年末から99年夏にかけての彼等はヴォーカリストの脱退とメンバーの死を経験した。まさに自らが
「悪意と悲劇」に翻弄されたといってよい。
そうした受難の時を経て、彼等が選んだ道は「原点回帰」だった。
MALICE MIZERは「人間とは何か」をコンセプトにしてきた音楽集団だ。それも人間が持つ闇の部分に
焦点を当てている。それをよりコアによりマニアックに掘り下げていくことにしたのだ。ポップな面は
排除したサウンドと必ずしもヴォーカリストを中心に据えていないことはMALICE MIZERのオーディエンス
の幅が広がった今では冒険でもある。一歩間違えば自己満足にしかならないし、一部のコアなファンに
しか受け入れられない危険を伴った方法ではあるが、彼等は見事に乗り越えてしまった。
「薔薇の聖堂」がオリコン初登場17位というのがそれを物語っていると思う。前作の「merveilles」の初登場
2位には及ばないが、あのアルバムが丁度ヴィジュアル・バブル全盛だった時期にメジャーからの発売で
あったことを考えるとヴィジュアル受難の現在、オリジナルレーベルでの発表作としては快挙と言ってよい
だろう。

そして「薔薇に彩られた悪意と悲劇の幕開け」と題された二夜のライブでは、アルバムの世界観を見事に
三次元化してみせた。「前代未聞」「唯一無比」という言葉がMALICE MIZERにはふさわしい。
しかし、彼等は再生の第一歩を踏み出したばかりだ。茨の道を切り開いて歩むMALICE MIZERに惜しみない
拍手を送りたい。この人達のファンで本当によかったと思う。


燃え尽きて白い灰 ライブレポート 2000年8月31日、9月1日 於 日本武道館

置き火 復活! FCイベントレポート 2000年11月19日 於 ZEPP TOKYO

MALICE MIZER で潤う♪ 握手会レポート 2001年4月30日 於 原宿クエスト

夜明けは近い? ライブレポート 2001年7月2日、3日 於 SHIBYUA-AX

「薔薇の聖堂」 アルバムレビュー