続・鎮魂巫女さんは女子高生!




1.

時は五月下旬。
ここ、さざなみ寮も少しずつ春から夏の気配。
お昼過ぎともなると本当に暖かくて、開け放った窓に一足早く
風鈴でもつるしたい気分になります。

これは、
ゴールデンウィークも終わり、風芽丘の中間テストまで あと10日というころの
日曜日のお話しです。



「ああー、いい天気ですねー、勉強してるのはもったいないくらいですー」
私は窓枠に両手のひらをのせて、すこし身を乗り出す。
愛さんの所有地 国守山も、花の残っている桜は一本もなくて新緑の季節。

私は、先程まで片付けとお掃除をしていた部屋を振り返ってながめてみる。
「別に何も問題ないよね」
今日は美由希さんがうちに来る。
それでまあ、慌ててお掃除などしていたのだ。
でもまあ、もともとそんなに持ち物は多くないし、1時間くらいで終わってしまった。
普通の人と比べて多い物と言えば、お仕事関係の道具と、
ちょっとロマンの少女マンガぐらいだ。

……。
この漫画も、小さい頃から、多いとは言えないお小遣いで
少しずつためてきた本なので、愛着があって手放せない。
綺麗で柔らかい描線で緻密に描き込んで、別世界のできごとや心情を
えがき出してある大作の作品が好き。

今時の子はこんなの読まないんだろうな、と思っていたら、美由希さんの部屋で
いくつか同じ本を見つけたことがあって。
その時は嬉しがっていいのか照れるべきところなのか、恥ずかしがっていいのか、
よく分からなくて、とりあえず声を出して笑ってしまった。失礼だったかも
しれないけど……
それ以来もっと仲良しになっている私達だ。
縁ってつくづくある時にはあるものだなあ、と思う。

「ごめん下さーい、高町でーす」
階下で美由希さんの声が聞こえる。
「あ、美由希ちゃんいらっしゃい。那美ちゃんのとこ?」
「はい。お邪魔します」
寮の管理人の耕介さんが、美由希さんを出迎えてくれたようです。私も部屋を出ます。
廊下に出て階段をおりて、降りる階段の途中で玄関の美由希さんの姿が視界に入った。
美由希さんが私に呼びかける。
「あ、那美さーん。こんにちはー」
「美由希さーん、いらっしゃーい」

「今日暑いですね。ついこの間すごく寒かったのに」
「本当です。私ももう、夏物用の衣装つづらを開けちゃいましたー」
「……!」
「?」

つづら、と言ったところで美由希さんの表情がかすかにひきつる。
なんだろう、と思う間もなく美由希さんが言葉を継ぐ。

「そ、そうですか。暑いですもんね」
「はい」

そう。ここのところ暑かったり寒かったり、気温の変動が激しい。今日の午前中は
特に暑くて、中途半端に時間があったので、こうりを出して
麦わら帽子とか、そでなしの上着とかを出してきた。
夏物の白い色は好き。
夏の強力な、高い太陽からの光がこれに反射しているところを
想像するのも好き。



階段の最上段のところで、一回、昇ってきてる美由希さんを確認する。
自分の部屋の前まで進んで、ドアを開ける。
「あ、どうぞ。相変わらず何もない部屋ですけど」
はずみでドアにかけてあるプレートが、かろりと軽く明るい音をたてる。
女子同士。
楽しい午後の始まり。



2.

私の部屋。
壁の断熱材や屋根裏の空気をつき抜けた熱が、じわじわと気温を上げている。
座ぶとんに触れる脛がすこし汗ばむ。
「あ、那美さん、ここ分かります?」
美由希さんがノートをこちら向きに返しながら言う。
「ああ、これは……」

私はテーブルごしに、もう一度向きをひっくり返したノートを、指差しながら説明する。
数学の基礎解析。
一年前の授業の内容。少しなつかしいな。

そう。
今日は一応、中間テストのお勉強会ということで美由希さんはうちに来ているのだ。
とはいえ、学年が違うので教え合えることは限られていて、実際には「お勉強会」と
いうのは、会うための口実に過ぎなかったりする。

あ、でもこの口実を使っちゃうと、恭也さん(大学生。前期末試験はまだ先)を
誘いにくくなっちゃうのは考えものかも……



「……というわけなんですよー」
「あ、なるほど」
などと他ごとを考えつつの説明を終える。自分の勉強に戻ろうとしたところで、
美由希さんの視線が気になった。ふ、と見返すと美由希さんが口を開く。
「すごいですね、那美さんって。数学もできるんですね。
 私、なんか、理数系がてんで駄目で」
「あはは、でも理数系ということでいえば、卒業した忍さんはもっと凄かったですよ」
「あ、あの人と比べるのはちょっと……」

うん。
美由希さんの言いたいことは分かる。忍さんの理数系は一つの天才だと思うから。
私ではかなうことはない。
そういう意味では、私は苦手科目は特にないけど、これが得意だ、好きだ、という
科目もまたない。

文系科目だって、あれって才能というかセンスや訓練量の問題だから、
範囲のない試験をしたら、案外この美由希さんの方が私より点を取るかもしれない。
こんな時、思う。
私ってなんだろうって。
「はあ……」



「那美さーん」
「は、はい?」
意識を引き戻らせて美由希さんを見ると、美由希さんも、体の姿勢を直している
ところだった。
「那美さんって、卒業した後、どうするんですか? …進路とか……」
「そうですね…… どうしましょう?」
「……」
「美由希さんはどうするんですか?」
「どうしましょう?」

美由希さんがそういったのを合図の様に、私も美由希さんも情けない笑顔を作る。
「「……はあ」」

このまま沈黙すると、お互い空気が重くなる気がする。
私が口を開く。
「このまま、今みたいな時間がずっと続いてくれたら、私は幸せだな、とは思うんです。
私がいて、海鳴にいてさざなみ寮で。恭也さんがいて、美由希さんがいてくれて。
……
そんな時間を続けるために、大学に行くのはいいな、とは思うんですよ。……恭也さんと
同じ、海鳴大学に」
「ああ」

いいですね! という表情で美由希さんがそう返してくれる。
でも。
私は続ける。
「でも、私よりずっと勉強したい人や、将来のために知識を必要としている人を
押しのけてまで私が大学に入っていいのかなって……
……それは、すごく真摯じゃない選択なんじゃないか、とも、思うんですよね」

美由希さんがちょっとしなびたような表情になる。

「私や那美さんの場合、手に職がありますもんね」
そう。他の人達とはちょっと違った力。違う道。
特別の、才能と技術。
私の口が開く。
「食いっぱぐれはないんですけど……」


時々それが、ちょっと重かったりもするのだ。




こんこん。
部屋のドアがノックされる音がする。

「はい?」
「那美ちゃん? 入っても平気? 二人におやつでもどうかと思って持って
きたんだけど……」
耕介さんの声だ。

「あ、はい! ありがとうございます!」
そう言った私がドアを開けると、耕介さんに続いてその足元から、子狐が一匹
するりと部屋に入ってきた。
「久遠?」
「あー、久遠! こんにちはー」
美由希さんがすかさず身を乗り出して久遠の頭を撫でている。
久遠は少し前まで、高町さんのお宅のなのはちゃんと一緒にいることが多かった。
でも、最近になって、また私のところにいることが多い。

いない間、何をしていたのかは私は聞いていない。けど、きっと久遠はなのはちゃんと
何か「おおしごと」を やってのけて、そしてそれは、
ささやかなりとも誰か人の幸せのためのことだったんだろうと、私は思っている。

私は耕介さんから、おやつを受け取って、たずねた。
「耕介さん…… 久遠、来てたんですか?」
「ん? ああ、ついさっき。俺がおやつを用意してたくらいに、庭に来たよ。
……連れてきちゃまずかったとか?」
「あ、いえ! 全然そんなことは。ありがとうございます。久遠の分まで!」

私が受け取ったお盆には、私と美由希さんの二人の分とは別に、ちゃんと久遠が
食べる分のおやつも用意されていた。
「じゃ、美由希ちゃんも久遠もゆっくりしていってね」
と耕介さんは言った。
「はい、ありがとうございます」
「くうん!」


耕介さんはいつもの穏やか笑顔で出ていった。
そして私が美由希さんの方に向き直ろうとした時。
「ひ、ひゃぁあっ?!」
私の携帯が鳴り出した。


「あう! えぇと、えぇと……!」
「あわわわ。は、はい!」

私の両手はふさがっている。そんな私の代わりに、美由希さんがテーブルの上を
手早く片づけ、私からお盆を受け取ってくれる。
「あはは、ありがとうございます!」
私は鳴りつづける自分の携帯電話を取り出す。
一瞬、ディスプレーに目を走らせて、
相手を確認する。

ぴ。
「はい。神咲です」


……本当は。
液晶画面で確認するまでもなく、かけてきた相手は分かっていた。
除霊のお仕事、吉野部長。

着信音を、お仕事用の物は変えてあるから。

確認するまでもなく。
私の、いつもの日常だ。



「ごめんなさい、美由希さん。……おしごと、入っちゃいました」
美由希さんを振り返って私は言った。


「……くぅん」
久遠が、自分は一緒に行く、という声で一声鳴いた。





3.

翌日。
雨がふっている。
灰色の空。
しとしとと、霧雨が降りていた。

町はしずかで、
走り去る車の、排気音と水を踏みつけていく音だけが響いている。


昨日の除霊は、すっきりしない仕事だったな。
「──っ」

深々と溜め息をついてみる。
別についたからって、私の日々が何か変わるわけじゃないけど。
「こんなことで私、薫ちゃんみたいに、神咲の名を背負っていけるのかな……」
そんなことを考えてみたりする。

今日は肌寒い。

雨は町の色をほどよく墨色に染めて、白も黒も、表も裏をも陰に取り込んでいる。
とは言っても、雨量は大したことない。
傘を忘れていたとしても、学校からの帰り道くらいなら、
制服もほとんど濡れたりしないだろう。


でも、どんよりと厚い雲が低くおりていれば、気分が重くなるには十分だし。
気温が低くなるにも十分だ。
重たい冬服が、ありがたいくらいの気温。
ブラウスの様な薄い生地は、こんな湿り気でもかすかに膚に張りついてくる気がする。


まあ。

いつまでもこうして鬱々としていても仕方ありません。
気持ちを切り替えて。
元気に帰ろう、うん。
私は少し大股に次の一歩を踏み出す。
はきならした革の通学ぐつが薄い水たまりの、水を蹴立てる。


よし。
滑らない、転ばない!
今日の私はイケている!


……そう自分に言い聞かせていた時。
どん。
「ひゃあっ?」
私は前に立っていた人に気付かずにぶつかってしまった。
反動で私の体が後ろにとばされる。
……せっかく気持ちが前向きになってきたところなのに……

でも、とっさに傘は斜め後方に投げ放したし。
ぎりぎりで重心はお尻にそらしたし。
相手の人には、
そんなに怪我はさせないだろうから、それが救いかな。
私の制服のスカートは濡れちゃうだろうけど……


けれど、そうはならなかった。
前に立っていた人が、私の手をつかんで引き戻そうとする。
あ、これならなんとか立て直せるかもしれない。
「よっ……とっとっとー!」
私は空いている方の腕をよろよろと振り回して、バランスを取ろうとする。
あ、やっぱり駄目かも……
あああ、この人まで巻き込んじゃう!

と、思ったところで。
私のくずれかけたバランスを、目の前の人が、もう一歩踏み込み、
私の背中に腕をそえる形で支えてくれた。
そこで、目の前に近づいた顔が、私に言った。
知っている声だった。

「すいません那美さん、何度か声はかけたのですが」
知っている顔だった。
「避けるタイミングは失ってしまいました」
……。
「きょ、恭也さん?!」
私がぶつかって慌てていた男性は恭也さんだった。
恭也さん。私の大切な人。
その恭也さんが、まだ落ち着きを取り戻せないでいる、私に言う。
「さすがに3度目はうまくいきました」

……?
3度目って……、あ。私が転びかけたこと。はたと思い当たる。
前の2回の結果はというと……
あう。
私の顔に血が上るのが分かった。
顔が熱いです……。うう。湯気すら出ているんじゃないでしょうか……

よく考えてみれば、恭也さんの片腕はまだ私の背中にまわされたままで。
私の片手は恭也さんの片手を、握り締めたまま。


私は慌てて半歩跳びすさる。
なるべく、邪険にならないように注意して。

ええと……
「きょ、恭也さんはどうしてここに?」
動転を静める時間をかせぐつもりで、私はそう言った。飛んでしまった自分の傘を拾う。
ここは私の通学路ではあるけれど、
恭也さんの通学路ではないから。
こうしてここで会えるのは珍しいので……

恭也さんはそれにはすぐには答えずに、片かけにしたショルダーポーチから
何かを取り出しました。

あれは……太刀袋?
サイズは二刀 小太刀。でも、恭也さんのいつもの八景ではないようです。
「今日、美沙斗さんは香港へ帰ったんですが。その時にこれを俺に託して行きました」

それを私にしめしながら話す恭也さんの瞳は、
危うく見えるほどに鋭くて。
私は息をのんで話の続きを聞いていた。

「『龍鱗』と言います。御神宗家の当代が振るうべき宝刀で……
そして後継者の皆伝は、師匠からこれを真剣勝負で勝ち取ることで完成するんです。
俺はこれで、来週かその次にでも、美由希の一度目の卒業試験をやろうと
思っています」


───。
世界から音が消えている。
恭也さんの声だけが頭の中に響いている。
元々小さかった雨の音など、完全にどこかへ行ってしまっていた。

終わっていく?
変わっていく?
恭也さんと美由希さんの間にある関係が……
恭也さんの、心の内側に残る問題が……

それは、いつか来る日。

気がつくと、
恭也さんの視線はうつむいて、地面を見つめていた。
私の呼吸は止まったままで……
恭也さんの言葉がまた始まるのを、ぎりぎり止められはしなかった。

「もちろん、俺も全力で戦いにいきますから、今回で美由希が皆伝してしまう確率は、
そんなにはないと思います。けど……」
でも。
でもその時は恭也さんは自分の手で、美由希さんの剣の意志を打ち倒すことになる。
そういう意味を帯びた剣を、振るわなくてはいけなくなる。
一時的にとは言え……

それはきっと恭也さんにとっては、重いことのはず。
そして、それは美由希さんが恭也さんより強くなるその日まで、続くことになるの?
そこまで思った時、
私は恭也さんの目から、頬を伝って涙が落ちたのに気がついた。

雨の中で、恭也さんはだいぶ濡れていたけれど、わたしには恭也さんが泣いて
いることは、
それが涙だということは。
はっきりと分かった。


恭也さんの声は今は、微かに震えていて。
私にはそれが、恭也さんが啜り泣いているように、しゃくりあげているように、思えた。

「美由希が俺に勝てば、俺は長年の枷から解放される。俺が勝てば、今まで通りの、
日々が続いていくだけ。
どうころんでも! どっちがつよくても! 何も悪いことなんてないはずなのに……!
俺、苦しくて仕方ないです。
何かが、不安で仕方ないです、那美さ……」


私は。
恭也さんに触れていた。
さっきは、恭也さんの腕が倒れそうになった私を支えてくれた。
今度は私が支えてあげたい。

この人も戦っている……。
私だけじゃない。
自分を取り巻いている状況が変わっていく中で、不安だったり逃げ出したくなったり
しているのが、私だけじゃないのなら。

私は、私だけのことで悩むのはやめよう。
この人には笑顔でいて欲しい。そのための力になれるのなら、なってあげたい。
そして、
わたしはこの人と一緒にいたいと思った。
ずっと。
道が二人を分かつなら、それでもお互いの心だけはお互いのそばに。

「恭也さん、私は、いっしょですよー?」
お互いの体温を感じるように。恭也さんの耳元で、私はささやく。
「恭也さんの日々が変わるのなら、私の日々も一緒に変えていきます。
ええと、
交わらない平行線は、どれだけ進んでも決してそれ以上離れないんです。
……私と恭也さん、ずっと一緒に進んでいって、
いつか、二人の過去にこんな日々があったことを、縁側で思い出せたらいいですね!」


剣士と祓い師。
二人の人生は、本当は今この瞬間でさえ、交わっていないのかもしれない。
でも、だからこそ未来が信じられる。
それぞれに、ちょっと違った形で、それぞれの闇を歩いていく。
この絆があったことに、私は感謝したい。
おもいきりの笑顔で感謝したい。
大切にしていきたいと思う。


「そう、ですね」
恭也さんが、少しふっきれた表情で、私から身を起こします。
「色々な物が変わっていっても、変わってないものや、変わった後でも誇れる
物があると、そう思うことにします。
とりあえずは……
試験開け、吉日を選んで美由希をぶっ飛ばしますんで。」

恭也さんは、もういつものかっこいい恭也さんだ。

「……那美さんも、その時は見に来ていただけますか?」
「もちろんです。一つの節目で、晴舞台ですもんね!」



私達は。
いつのまにか、もう随分明るくなった空の下。
じっとりとはりつく服で、歩いていく。
恭也さんに送って貰う、さざなみ寮への帰り道。

恭也さんが言った。

「やっぱり、那美さんに最初に、相談してよかった……
那美さんに相談していなかったら、
正直、他のみんなにこんなに笑顔で話せそうもなかったですし、
みんなに見守ってもらって、試験をやるなんて気分になれなかったかも
しれないです」


嬉しくなる。
よかった。
ずっと一緒でいましょう。
変わっていく日々の中で、こうしてお互いのことをいつも思っていられたら、
いいですよね。




P.S.
美由希さんの、第一回目の試験は、恭也さんの勝利に終わりました。
私達の日々は、もう少しはこのままで。
膝が快方に向かって、美沙斗さんという目標を得ている今の恭也さんは、随分
強いようです。
恭也さんは美由希さんには「十年早い」と、いつもの渋い表情で言っていましたが、
本当は、そこまで長くはないのかもしれません。

いつかは終わっていく日々だとしても。
それが生身の私達の生きた軌跡なら、きっと宝物。
そうですよね、恭也さん!






 <終>


【あとがき】
こんばんわー、徐々に創作ペースの落ちてきている藤海でございます。
鎮魂巫女さんシリーズの2本目をお届けしました。

Q.「とらハの味わいの中で、萌え・ラブストーリー以外の要素は何だと思いますか?」
と私が問われたとして。
私の、二次創作を書く上で、の答えなら、「未来や自分に対する不安と、同胞意識」
でしょうか。これは本で書いていたころからそんなに変わっていないと思います。
ですから、
その点に関しては私にとっては動かしやすい素材だったのでそれ程苦労はないんですが、
割とこのシリーズ、毎会頭を悩ませるのが那美さんの口調です。

那美さんは、ゲーム中では丁寧語で話していますが、私が丁寧語でモノローグや
地の文を書いてしまうと、なんとなく距離を置いて眺めているような感じで、
今ひとつ臨場感に欠けるんです。
かといって、「なんも考えずに地の文は全て「である・だ調」」してしまうと、
那美さんの雰囲気が変わってしまう……

結局、毎回毎回・一文一文、「この文の文末は、丁寧か非丁寧か!」て言いながら
ウンウン言いながら決めてます。


さて、相変わらず、出来事の起こらないSSですみません。
「鎮魂風景がみたい!」というリクエストも頂いてはいるのですが……
なにぶん、このシリーズの企画のコンセプトの発端が、「少女小説風・神咲那美」
とでも言うような物だったので。
ついつい、生活や心情の描写に文字数を割いてしまいます。
次の話辺りからで、ハイブリッド化していけたらいいな、とは思っているのですが。



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