Epilogue
いづみの実家に来て5日目の朝。(我ながら長期の滞在だ)
俺はちゃんと早起きして、いづみが吹雪ちゃんと指導組み手をするのを
見ていた。
いづみ、今日も元気だな。笑顔に見とれてしまう。
「いづみちゃんはさ」
吹雪ちゃんと一緒に来ていた華憐ちゃんが、俺のとなりで言った。
「相川さんが一緒にいないとダメになっちゃうかもだね」
「え? それってどういう意味?」
たずねた俺には目を合わせずに、華憐ちゃんは淡々と続けた。
「忍びとしてのいづみちゃんのストイックな感じも、御剣の長女としての
清楚な感じもかっこよくて好きだったけど、相川さんと一緒にいる時の
いづみちゃんは、「ああ、これがいづみちゃんだったんだ」っていう感じが
した。
 あんな風に自然体で、一人の女の子としてリアルな感じを見たのは初めて
だったから」

「うーん……。
 俺といづみは、気楽に口げんかできる貴重な友達同士ってとこから入っ
 たから、まあリラックスはしてくれてるだろうけど……」

……。
『リアルな女の子の感じ』ってどんなとこだろう。
「あんま、難しいことは分からないや」
華憐ちゃんが俺の顔をまじまじと見つめる。
? そんな変な表情してたかな、俺。
華憐ちゃんが立ち上がった。
そして、びしぃっ!って感じで俺に指を突きつけて言う。
「まあいいや、分かってなくても、そのままで。でも、浮気したら私が許さ
ないからね!」


<了>

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ちょこっと後書き。
まずは、ここまで読んで下さってありがとうございます。
このSSのネタはもともとC62に持っていく小説の中のシーンの一つでした。
が、それはストーリーの流れの中で「没ネタ」になってしまいました。
それを、なんとか単品SSとして蘇らせてやろう、としているうちにみるみるイメージが膨らんで、
とうとう、Hシーンまで付いてしまいました(^^;

ああ、やっぱいづみ、ええなぁ。
いつかまた書くだろうな……。