金時山( 金時山:1,212m ) 2000.01.08 登山


 明神ヶ岳より金時山方面( 2000.01.08 )

【金時山登山記録】

【金時山登山データ】

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金時山登山記録

先般 愛鷹山に登った時と同じように、 朝一番の相鉄線に乗って横浜まで行き、横浜 5時27分発の小田原行にて御殿場線への乗換駅である国府津駅へと向かった。
このタイミングの電車では、国府津駅の寒い構内で御殿場線の到着を 15分近く待たねばならないことから、 国府津駅では降りずに次の鴨宮駅まで行き、7分程待って上り線に乗り換え国府津駅に戻ってくるという反則技を行ったところ、 有り難いことに国府津駅には既に御殿場線の電車がホームに入っていてくれた。
実際は、横浜発 5時47分の静岡行に乗っても間に合う訳なのだが、どうも貧乏性で早い電車に乗ってしまう。

さて、前回 御殿場線に乗った時には、車窓からきれいな 富士山を見ることができたのであったが、 この日は全くの曇天で、灰色の空の向こうには何も見えない。今年初めての登山なのに、昨年暮れからどうも天候には恵まれていないようである。
無人の足柄駅で降りたのは私を含めてたった 2名で、電車の中に多くいた登山者は次の御殿場まで行くようである (7時17分着)
駅前のコンビニで食料を買い込み、再び足柄駅の前を通って (駅前には熊にまたがった金太郎の像があった)、 踏切を渡り、そのまま足柄古道へと進んだ。
人家が途切れると道は未舗装となって林道の様相を呈し、空も曇っていて日も差さないことから、薄暗いこともあって雰囲気はあまり良くない。

この足柄古道は、奈良・平安時代に東国と西国を結んでいた重要な官道だったらしく、 また日本武尊 (やまとたける) が通った最古の箱根越えルートだとも聞くが、 その後暫く埋もれていたのをまた近年になって復活させたようである。
また、足柄駅前の金太郎像に象徴されるように、この辺には金太郎伝説があり、金太郎のモデルと言われる坂田金時 (公時) に縁 (ゆかり) の史跡 ? が結構残っている。
この日本武尊や坂田金時にまつわる歴史ある道を地元の小山町としてもほっておくはずはなく、 古道の脇に点在する縁の場所には、解説・紹介文が書かれた表示板が立てられていた。

こういった解説を読み、その場所の謂われを知ると、先ほど暗いと思った道も なかなか趣のあるものに思えてくるから不思議なもので、暫くは緩やかな登りの林道歩きを楽しむことができた。
やがて道が下り出すと突然前方から車の音が聞こえ始め、県道に飛び出すこととなってしまったから いっぺんに興ざめしてしまったが、 県道を左に折れ、暫く舗装された車道を登っていくと、再び山に取り付く道が現れたのでホッとさせられたのであった。
ここから暫くは緩やかな本当の山道で、古 (いにしえ) の道もかくありなんといった雰囲気だったのだが、 またまたこの道も長くは続かず、不意に先ほどの県道の延長上に飛び出すことになってしまった。
そしてここからは完全に車道歩きのまま足柄峠に至ることとなったのであった (8時46分着)

峠に着いて左方にある小高い丘に登ってみると、そこからは本日はお目にかかるのをあきらめていた 富士山が灰色の空にうっすらと白い姿を浮かび上がらせており、 富士山の左の方を見ると、これから登る金時山も一応姿を見せてくれていた。
しかし、山にはガスがかかっており、その特徴あるオデコのような山容をハッキリ捉えることができなかったのは残念であった。
足柄峠から金時山へは尾根道歩きになるのかと期待していたのだが、残念ながら立派な車道が続いており、些かしらける感じである。
車道を登って行き、車止めを越えると、道は林道のようになってくれたものの、それは登山という感覚ではなくハイキングといった気分であった。

ようやく木の鳥居をくぐってからは山道らしい急な登りとなってくれたのだが、この道も安全を考えてか、 アルミ製の梯子が十数個掛けられており、歩幅を決められてしまうために却って疲れるといった有様であった。
この 20分ほどの急な道を登り切ると、もうそこは小屋が 2軒建った金時山頂上で、頂上には 3つの祠、多くのテーブルとベンチ、 そして 「天下の秀峰 金時山」 と書かれた立派な標識が立っていた (10時4分着)
この標識の向こうには 富士山が見えるのであるが、私が頂上に着いた時にはガスがわき出ていて何も見ることができなかった。

一方、この箱根火山の外輪山であるこの金時山からその内側を見れば、芦ノ湖や噴煙を上げる大涌谷、 そしてその後ろに聳える神山の姿がハッキリ見え、なかなかの眺めであった。また、ガスのため山腹の部分は隠れていたものの、 愛鷹山の頂の部分も見ることができたのはラッキーであった。
そして、有り難いことに頂上で暫く休憩しているうちにガスが急に引き始め、先に足柄峠で見たように灰色のキャンバスに白く浮き上がるような 富士山が姿を現してくれたのであった。 やはり、関東周辺の登山では 富士山は欠かせない。

金時山からは明神ヶ岳、明星ヶ岳を目指しての縦走であるが、金時山中腹から見ると、 目指す明神ヶ岳らしき山ははるか遠くに見える。今日は本当に登り応えではなく、歩き応えがありそうである。
金時山からドンドン下り、笹原の中を進んで行く中 振り返ると、ガスも晴れて初めて金時山全体の姿を捉えることができた。 その姿は周囲に連なる外輪山の中で一際目立ち、まるで筋骨隆々の腕に作られた力瘤を思わせるような姿であった。
下方を見れば、斜面に続く笹原を登山道が見事に突っ切っており、そこを歩くのは さぞ気持ちよかろうと想像されたのであったが、 実際笹原を通ってみると、ササの高さは背丈以上あるところが多く、ほとんど視界の利かない中での笹原歩きであった。少々ガッカリである。

いくつかの緩やかな登り下りを経た後、笹原を抜け出て枯れ木の多い 薄暗い火打石岳の裏斜面を突き抜けると、 その先には大きく開けた展望が待ち受けていた。
目の前の谷を挟んだ向こうに明神ヶ岳が見え、そこまで行くために谷の左側を巻くように道がつけられており、なかなか気持ちの良い所である。
途中、明神ヶ岳まで 30分との標識が見て宮城野への道を分けると、そこからは急な登りとなった。
尾根に登り着いてからは結構早いペースで歩いたものの、30分が経っても明神ヶ岳頂上に着くことができず、途中、電波の反射板を左手に見て、 人々の憩う明神ヶ岳頂上に着いたのは先の標識から 35分後であった (12時18分着)。 私としては些かショックである。

明神ヶ岳の頂上はピークというより丘の一角といった感じで、内輪山に向かって突き出したようになっており、 また周囲は人々に踏み荒らされたためか、北側を除いて草木もあまり生えていない状態で、そのため展望はすこぶる良い。
先ほどの金時山が坊主頭のように突出しているのが見え、その向こうには 富士山、 また中央火口丘の方を見やれば神山、駒ヶ岳が見事であった。
明神ヶ岳から斜面をドンドン下っていくと、やがて芝を敷いたような広い鞍部に至り、そこからは何度か緩やかな登り下りを繰り返すことになった。
最後に登り着いた所から 道なりに左に折れていくと、広い道の左側奥に 明星ヶ岳と書かれた標識があるのが目に入ったが、 ここは全くピークということを感じさせない所である (13時26分着)
ササや灌木の中を広く切り開いたほぼ平らな道の脇に御嶽大神の石碑や祠が置かれており、それがササなどに隠れている感じでもあることから、 前だけを見て歩いていたら、うっかり見逃してしまうような感じである。従って、展望などは望むべくもない。

明星ヶ岳からは急な下りが待っており、滑らないように注意しながらの下りはそろそろ疲労増してきた身には辛いところであった。
この道の傍らには箱根三笠山刀利天宮や箱根御嶽山八海大頭羅神主といった石碑が置かれていたことから、 この道は明星ヶ岳の御嶽大神へと続く信仰の道だったのかもしれない。
この辺になってくると、いくら緩やかな道続きだったとは言え、さすがに疲労を感じるようになり、登りが目の前に現れるとため息が出る様になってきた。
また下りにしても、足で下りるスピードをコントロールしなければならないのでこれまた難儀と感じるようになり、 目指す車道はまだかまだかと思いながら階段のようになった道を下っていった。
すると、やがて目の前に鉄塔が現れ、その後すぐに車道に飛び出したのであった。本当にホッとしたが、まだまだ道のりは長い (14時12分着)

車道を左に進み、10分程歩くと右手に塔ノ峰への登り口が現れた。ここは一応最後の登りのはずである。
頑張って展望の利かない道を 12分ほど登り続けると、一気にそこは塔ノ峰頂上であった (14時33分着)
ここも頂上というよりは峠といった感じで、鬱蒼とする木々の中、全く展望を得られない場所である。
ここからは道を右に取り、一気に阿弥陀寺まで下ったが、さすがに足も棒の様になり始め、座り込んで休みたい気分であった。
しかし、寺までは我慢である。従って、寺に着いて口にした水は本当に美味しかった。
そして、不揃いな寺の石段を苦労しながら下り、山門を抜けてからは、もう塔ノ沢の温泉街はすぐであった (15時8分着)

公衆浴場 (300円の入湯料 安い) で汗を流すと疲れも抜けていくような感じであったが、 それは気分だけで、実際は来た道を再び登り返して箱根登山鉄道の塔ノ沢駅へと進む行程が結構辛く、もうクタクタの状態であった。
しかし、長い距離を歩き通したという充実感は大きく、新年最初の登山としては大正解であったと思う。
高い山に登るのも充実感があるが、こういった低山ながら長い距離を、しかも駅から駅までを歩き通すというのもまた味があるものである。


金時山登山データ

上記登山のデータ登山日:2000.01.08 天候:曇り単独行日帰り
登山路:足柄駅−足柄峠−金時山−矢倉沢峠−明神ヶ岳−明星ヶ岳−塔ノ峰− 塔ノ沢駅
交通往路:瀬谷−(相模鉄道)−横浜−(東海道本線)−国府津−(御殿場線)−足柄
交通復路:塔ノ沢−(箱根登山鉄道)−箱根湯本−(小田急小田原線)−海老名−(相模鉄道)−瀬谷


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