四阿山 ( 四阿山:2,354m ) 2005.10.30 登山


  中四阿から小四阿への途中にて 四阿山と根子岳 ( 2005.10.30 )

【四阿山再登山記録】

【四阿山再登山データ】

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四阿山再登山記録

2回目、イヤ正確に言えば 3回目の 四阿山 である。

前の2回は鳥居峠から登り、花童子 (ゲドウジ) の宮跡を通り、2,034mピーク、 2,144mピーク (中ノ岳というらしい) を経て四阿山に登るコースであった。
そしてその 1回目の時は、2,144mピークから先の残雪があまりにも多く、しかも日陰部分は完全に凍っていたため、装備不備で途中撤退。 5月のこの山の状況をあまりに知らなさすぎたための敗北であった こ こ をクリック)
2度目は宮崎に単身赴任をしていた時、出張で横浜の家に帰ったついでに休みを取って この山に再チャレンジしたもので、 秋の空の下 念願の頂上を踏むことができたのであった。この 2回は、いずれもアプローチに電車・タクシーを利用している。

そして今回 3度目という訳だが、今回は車で行くことにした。というのは、9月に車を購入したばかりで運転がしたくて堪らず、 なるべく遠い山をと思った時に、この山が頭に浮かんだからである。以前家族と富山県まで車で旅行をする途中、上信越道 上田菅平ICを通り過ぎた際に、 四阿山に登るのなら車の方が便利なんだな と思ったことが頭にずっと残っていたようだ。

関越自動車道から上信越道に入り、予定通り上田菅平ICで降りる。国道144号線を北上し、 途中から国道406号線に入る。カーナビに任せているので、ドライブにいらぬ神経を使わなくて済むのが嬉しい。
菅平高原に入り、菅平牧場の駐車場へと向かう。菅平牧場へと向かう道路脇に料金所があったが、人はいないようだ。金を払わないで良いのかなと思いつつ先に進む。
やがて、7時35分、菅平牧場の駐車場に到着。既に 10台ほどの車が止まっていた。

天候の方は曇りがちで、全体にガスがかかっており、特に山の方は雲に隠れている。残念。
駐車場からすぐ緩やかな斜面の登りが始まる (7時40分発)。牧場の鉄条網に沿った道をまっすぐ登っていく。
牧草地に薄日が差し、枯れ草や落ち葉、紅葉した木々が朝の日の光を受けて淡い黄色に染まり、一方その先に見える丘の向こうにはガスが立ち籠めている。 まるでターナーやコンスタブル等の描く英国の風景画を見ているようである。

やがて、道は葉を落としたダケカンバやシラカバの林となる。足下はササ原である。
この頃になると、ありがたいことに雲が切れ始め、時々青空が覗き始める。ダケカンバの林を抜けると、もうその先は木々も疎らとなり、 ササ原が上まで続いている。よく見ると、所々にある灌木の枝が白い。どうやら、先ほどまで山を覆っていた雲は、かなりの寒さをもたらし、 木々に霧氷を付けたらしい。

広いササ原の斜面につけられた道は緩やかで、その先には青空も見え始めてきた。
やがて、根子岳まで 0.5kmの標識を見る頃になると、周囲はほぼ晴れ始め、逆に下の方見れば、菅平牧場より後ろ側は完全に雲に覆われている といった状況であった。
そして 8時51分、根子岳の頂上祠の前に到着。登った時間 約1時間10分、あまりにもあっけない頂上到着である。
根子岳頂上はかなり広く、この祠の他、石碑、そしてゴロゴロした岩の散乱する中に いくつものケルンが積まれている。

天候の方は相変わらずハッキリせず、青空が覗いたかと思うと、ガスが山頂を覆うといった状況である。 また、登ってきた斜面とは反対の側は完全にガスの中、視界は全く得られない。当然 すぐ隣の四阿山の姿も見えず、 ましてや四阿山とは反対側、つまり西に見えるはずの北アルプスも全く見ることができない状況であった。
唯一見えたのは、美しい三角錐をした湯ノ丸山、そしてその右の烏帽子岳くらいで、烏帽子岳の後方にうっすらと 八ヶ岳らしい山が見えたのが慰めといったところである。

頂上で腹拵えをして、9時14分出発。前回 四阿山から辿ってきた道を逆に辿ることとなる。
下り始めると、右手前方には根子岳と四阿山との鞍部に広がるササ原 (十ガ原=トウガハラ) がガスの切れ間に見え始めるが、 全体的に視界は良くない。やがて赤茶けてガレた斜面が右手下に現れる。これが火口壁であろう。まさにササに囲まれて優しい雰囲気から様相は一変し、 根子岳の本性を見せられたといった感じである。

斜面を下って振り返れば、ガレた斜面の反対側はガスの中、真っ白になったツガなどの木々がまるで雪を被っているようである。
少しジメジメした大岩の横をすり抜けると、やがてテーブルのように上が平らな岩がいくつも並んだ場所に着く。もう少し視界が利けば、 ここでゆっくりお茶など飲みたいところである。
眼下に広がる十ガ原もガスの通り道なのか、相変わらずの状態であったが、徐々にガスは流れ出し、太陽の光が当たってササが輝き出し始めた。
それに伴って、十ガ原の後ろにある四阿山も、少しずつガスが流れて頂上を見せ始め、その後ろには青空も見えてきたのであった。 ヤッタと、喜んだのもつかの間、またガスが全体を覆うといった感じで、どうもスッキリしない。

気持ちの良いササ原を横切り、四阿山に近づく。ガスの向こうにボンヤリとではあるがその形が見える。
前回、伸び放題で苦労したササ原も今回はそれほどでもなく、やがて樹林に入るとキツイ登りが始まった。このシラビソの林の登りは、 如何にも原生林の中を行くという感じで、ジメジメとして暗く、立ち籠めるガスの中、時折木々の間から差す日の光が神秘的である。
喘ぎながらジグザグに作られた道をひたすら登り続けると、徐々に前方が明るくなり、やがて尾根の上に飛び出した。こちらは明るい。
振り返れば根子岳はガスの中、そしてその左下の方は雲の海である。

左に曲がって緩やかに登っていくと、前回にはなかった立派な木道というか木で作られた階段状の道が現れた。 これにはやや興ざめしたが、自然保護ということであるのなら致し方ない。階段を登り切り、暫く進んだところで傷みが激しい赤茶色の祠が見えてきた。 これが信州祠 ( 伊弉諾尊を祀る) で、その先にもう 1つ同じような祠があり、そちらが上州祠 (菊理媛命を祀る) である。 この上州祠 の前に四阿山の標柱が立っている (10時19分着)

2014年11月に 3度目の四阿山に登り、上記 記述が間違いであるのに気づいた。山頂の前にあるのが信州祠、その手前は 上州祠である。 それぞれ 信州、上州を向いている。

頂上は人が一杯で、菅平牧場からここまで 4、5人としか会わなかっただけに、ちょっと面食らう。
また、展望の方も残念ながらガスでほとんど得られない。わずか南東方面だけが見えているのだが、その 浅間山 も田代湖を前にボンヤリ霞んで見える状態である。
休むことなく、さらに先、北峰へと向かう。一応 二等三角点を踏んでおこうということである。頂上から見ると登りがきつそうに見える北峰も、 実はそれほどでもなく、アッという間に二等三角点であった。三角点の横に置かれた小さいおもちゃのような地蔵尊が印象的である。

さあ、ここでUターンである。戻る途中で見上げる四阿山頂上は、 恐ろしく鋭角な三角錐に見え、流石と思わせるものがある。
人で混み合う頂上をこれまた素通りし、再び木の階段を下って、本来辿るべき中四阿への道をパスして少し根子岳方面へと戻る。尾根の縁で休憩するためで、 加えてガスが晴れ、目の前に根子岳の姿が見えることを期待したものである。当然こちらは誰もいない。
暫く待った甲斐があり、ガスがドンドン流れ、荒々しい火口壁を抱えた緑の山肌の根子岳が現れた。写真に収めたところで さあ下山である。

再び四阿山の方へと戻り、中四阿の標識に従って右に道を取る。 残念というか、嬉しいというか、この下山路では先ほどまでのガスが嘘のように消えて無くなり、根子岳の全容、四阿山の姿も見ることができたのであった。
ちょっとタイミングがずれただけで、得られる景色にこれだけ差がつくのは悔しい。今頃 両方の山頂に立っている人たちは、さぞ幸せな気分を味わっているに違いない。
下方を見れば、中四阿のピークと、そこに続くササ原につけられた道が見え、ツガの木なのかシラビソの木なのか、中四阿の両サイドに生える木々が北欧を思わせる。 また、中四阿のピークから見る四阿山は、その山肌のガレ具合に驚かされる。

中四阿からさらに下ると、根子岳、四阿山の両方が見える場所がある。 その両山を結ぶなだらかな稜線の美しさに加え、ササの黄緑色が主の根子岳と、シラビソ、ツガなどの木々で濃緑色をしている 四阿山との色の対比が見事である。 また、両山ともその山腹に火口跡を見せているのも面白い。
順調に下っていくと、小四阿と呼ばれるピークを過ぎたところで下から登ってくる人と言葉を交わす機会があった。
聞けば、この下の林の中で熊に遭遇したとのこと、気分爽快さも一瞬にして吹っ飛ぶ。
もう道はその林を抜けていくしかないわけで、カラマツ林、谷、シラカバ林と続く、本来なら気持ちの良い緩やかな下りを、早足に、 そしてなるべく背中の熊鈴を上下動で鳴らすようにして、緊張しながら通り過ぎたのであった。そして牧場が見え、車道に出た時には本当にホッとした次第である。 後はゆっくり車道を進めば、駐車場であった (12時3分着)

右手に広がる牧場の先を見れば、根子岳と四阿山頂上には再び雲がかかっており、 山の気象の気まぐれさを見せつけていたのであった。


四阿山再登山データ

上記登山のデータ登山日:2005.10.30 天候:曇り時々晴れ単独行日帰り
登山路:菅平牧場駐車場−根子岳−十ガ原−中四阿分岐−四阿山−二等三角点−四阿山−中四阿分岐−中四阿−小四阿−菅平牧場−菅平牧場駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名自動車道)−用賀IC−(環状八号線)−練馬IC−(関越自動車道)−藤岡JCT−(上信越道)−上田菅平IC−菅平高原−菅平牧場駐車場(車にて)
交通復路:菅平牧場駐車場−菅平高原−上田菅平IC−(上信越道)−藤岡JCT−(関越自動車道)−練馬IC−(環状八号線)−用賀IC−(東名高速道)−横浜IC−瀬谷(車にて)



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