登山NO.0043 白 馬 岳( 白馬岳:2,932m ) 1993.7.29登山


 馬の背から見た白馬岳( 1993.7.29 )

【白馬岳登山記録】

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再登山


NO.43 白馬岳登山記録

宮崎に単身赴任をしていることから 1ヶ月に 1回しか家族のもとに帰れないため、 今年の 9日間の夏休みは、従来のように自分だけのために山に 4日間も費やす訳にはいかず、 できるだけ家族と一緒にいるようにする必要があった。
従って、夏休み好例のアルプス登山も行く山が限られてくるのであるが、白馬岳なら他の百名山と組み合わせることもあまりできないことから、 今回丁度うってつけの山であった。

新宿発の夜行列車に乗り、早朝に白馬駅に着くと、もう駅前はかなりの登山者がおり、 白馬岳の人気に感心させられるとともに、バスが混むのではないかと思って慌てて駅前で弁当を買い、バスに駆け込んだ。
しかし、周囲の混雑に相違してバスはそれ程混んでいなかったので拍子抜けであった。
猿倉でバスを降り、村営猿倉荘で先ほど買った弁当を食べて腹ごしらえをしてから、樹林の中の道に入った。
すぐ林道に行き当たってゆるやかな道を登っていくと、正面に山が見えるようになり、 どれが白馬岳なのかは分からない状態ではあったものの、それでも雪をまだ多く残した姿がアルプスに来たことを感じさせてくれ、 気分も高揚してきたのであった。

林道から登山道に入り、暫く樹林の中を進むと白馬尻で、白馬尻小屋前の大岩に書かれた " おつかれさん!ようこそ大雪渓へ " の文字が、 いよいよ噂の大雪渓という気分を盛り立ててくれた。
軽アイゼン無しでも雪渓を登れるとは思ったのだが、今まで長い雪渓を歩いた経験がなかったので、 万が一を考え、小屋で軽アイゼンを購入することにした。
雪解け水でぬかるんだ場所を越え灌木の中を進むと、やがてケルンが現れ、そこが大雪渓の始まりだった。
見上げると登山者が列をなして進んでいるのが見え、私も急いで購入した軽アイゼンを足に巻き付け、 雪渓の中に足を踏み入れた。

軽アイゼンをつけて歩くのは初めての経験であったが、滑って歩みをロスすることが全くなく、 快調に雪の上を歩けるので、大変気に入ってしまった。
雪には赤いベンガラが巻かれていてルートを明確にしており、また登山者がステップを切ったことによって雪の上が階段状になっているため、 迷うこともなく良いペースで進むことができ、さらに時々心地よい風が吹いて疲れを癒してくれるので、 なかなか気分良く登ることができた。
振り返ってみると、かなり高度が上がっていて、自分の後ろに登山者が続いているのが見え、またその後ろ上方には恐らく
高妻山と思われる山がシルエットになって見えていた。

最後のキツイ傾斜を登り切ると大雪渓の終点である葱平であったが、そこには多くの人が休憩しており、 まるで雪渓を登る登山者を眺める観客のようで、私も最後は少々恥ずかしさを感じながら登った次第である (自意識過剰か ?)
雪の上が快調であっただけに、葱平からジグザグに続く雪のない登山道の登りは、返って調子が出なかったのであるが、 登っているうちに、今までガスで見えなかった杓子岳 天狗菱の鋭い岩峰が見えてきたので、少し楽しくなり、カメラのシャッターを何枚も押しながら登りきった。
小雪渓は、その急な斜面を横切ることになるので、大雪渓より怖さを感じさせられるが、足場がしっかり切られており、 慎重に渡れば問題はない。

小雪渓を過ぎるとお花畑と呼ばれる場所となるはずであったが、私の行った時はタイミングが悪かったのか、 咲いている花もまばらで、草畑状態であった。
大きな岩を左に見ながら進むと、やがて上方に村営頂上宿舎が見えてきたので、もうすぐだという気になってペースも上がり始めたのであるが、 ようやくたどり着いた村営頂上宿舎には自動販売機が設置してあり、自然を求めて一所懸命登っても、 そこにはまた文明利器が待っていたということで、ややガッカリさせられた。
頂上小屋からは、横長に見える白馬山荘を正面に見ながら進み、やがて山荘の横を通過して 10数分ほど登っていくと待望の白馬岳頂上であった。

頂上からは、多くの山々が見えるはずであったが、山々はみな上の方に雲がかかっており、 なかなか山を特定することができなかったのが残念であった。
また、頂上には方位盤が設置されていたのであるが、新田次郎氏の小説 強力伝の主人公が運んだと言われる、 石でできた大きなその方位盤を見て、人が運び上げたということを俄には信じることができなかった。
下山は色々迷ったあげく、今日中に横浜に帰れる可能性のある栂池の方に行くことにして、北の方へと向かい、 小さな岩場を越えやや急な道を下り、馬の背と呼ばれる緩やかなところまできたので、 振り返って見ると、白馬岳が空に続くハイウェイのように見えたのが印象的であった。

三国境に近づくと、鉢ヶ岳と周囲にまだ多くの雪を残す長池が見え、 その濃い緑と白のコントラストが眩しかった。
やがて小蓮華岳の頂上に着いたが、頂上には剣とともに男性のシンボルを形取った石が置いてあったので些か驚かされるとともに、 頂上を示す標識に長野県でも富山県でもなく、新潟県糸魚川市と書かれていたのにも意外という感を持つことになった。
三国境の意味を改めて認識した次第である。

小蓮華岳からは完全にガスの中で、前方に見えるはずの白馬大池は無論のこと、 振り返れば見えるはずの白馬岳や五竜岳鹿島槍ヶ岳も全く見ることができなかった。
しかし、砂地の坂を下りハイマツの中を進んで行くと、目の前のガスが部分的に晴れ、白馬大池の湖面が突然現れたので、 思わず声を上げてしまった。
色とりどりのテントと白馬大池小屋の横を通過し、道は大池の岸を進んで行くこととなったが、 そこは大きな岩の重なった道で少々歩きにくく、岩の間に大きな隙間があるので要注意であった。

やがて岸から離れて登りを暫く続けると、乗鞍岳の頂上となり、 そこには大きなケルンと黄色の乗鞍岳標識があって、標識には栂池 2時間20分と書かれていた。
ペンキマークを辿って暫く進むと、雪渓が現れ、そこを越えた先は岩の積み重なった上を歩くような場所となり、 それが終わると林の中に入ることとなった。
そろそろくたびれてきたかと思う頃に、林を抜け、天狗原へ着いたが、ここからは木道が続き、これにも少々うんざりさせられた。

木道を終え、樹林帯を抜けると栂池自然園の駐車場に出たので、ここでバスを待つことになったが、 バスは臨時便を増発しているというものの、1時間ほど待たねばならなかった。
余談だが、先般家族と栂池公園を訪ねたところ、今は麓からケーブルを乗り継ぐようになっており、 私が下山後バスを待った場所にはバスは来ないようになっているようであった。


白 馬 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1993.7.29 天候:快晴後曇り単独行前夜車中泊
登山路:猿倉−白馬尻−大雪渓−葱平−小雪渓−村営頂上宿舎 −白馬山荘−白馬岳−馬の背−三国境−小蓮華岳−白馬大池−乗鞍岳−天狗原−栂池
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−大和−(小田急江ノ島線・小田原線)−新宿 −(中央本線:車中泊)−白馬−(バス)−猿倉
交通復路:栂池−(バス)−白馬−(中央本線)−八王子−(横浜線) −橋本−(相模線)−海老名−(相鉄線)−瀬谷
その他:7月28日夜行にて出発。翌29日に白馬岳登山。その後帰宅。
その他の白馬岳登山猿倉−白馬尻−大雪渓−葱平−白馬岳頂上宿舎前−白馬山荘− 白馬岳−(往路を戻る)  (2014年6月2日 : 快晴のち曇り)
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