スイス・グリンデルワルトでスキー三昧 

(2005/12/23-27)


クリスマスの休暇を利用してスイス・グリンデルワルトへ行ってきました。

我が町デュッセルドルフから夜行のICE特急で独・仏・スイス国境のスイスの都市バーゼルまで6時間、スピーツ、インターラーケンオストと乗り換えを重ね辿り着いたグリンデルワルトは北面をブスアルプ、南面にアイガー、そして真正面(東面)にヴェッターホルンと切り立った山に囲まれたスイスらしさの漂う愛らしい街です。DB(ドイツ鉄道)のネットで予約したホテルはアイガー北壁を真正面に望むトンデモナイ場所で、最初は感動でしたがすぐにそれが当たり前に思えてしまうような場所でした。白銀の谷に点在する集落、夏もさぞや素晴らしい事と思います。

(アイガー北壁展望、クライネシャイデックから) (ヴェッターホルン3701m展望、フィルストへの途上から)

ここで4日間、家族でスキー三昧です。ピステマップをホテルで貰いますが、エリアが広すぎてピンときません。日本ではまずは山麓のリフト乗り場からゴンドラやリフトを幾つも乗りついで上に上っていくというパターンですが、こちらは、まずはゴンドラや登山列車で一気に標高を稼ぐというスタイル、そして登りついたそこは雄大なアルプが広がっておりそこにリフトやTバー(日本ではあまり見かけませんね)がある、という状況です。

上部のアルプを中心としたエリアは無木立の膨大なエリア、また街への下山はそして下山はそこから山麓の町まで標高差1000m以上を延々とダウンヒルをしていく、という雄大なもので、針葉樹を縫って滑降していくとやがて夏の放牧小屋、出作り小屋、チーズの貯蔵小屋、そして民家などが現れ、その中をグリンデルワルトの村の中を中心部に向けて降りていきます。決められた場所がゲレンデというよりもグリンデルワルトの村全体の中をスキーで滑り降りて行くという感じです。(といってもコースはしっかり圧雪車で整備されています。)

着替えももどかしく駅に戻り、JI1TLL局や7L1UGC局から聞いていた名前ですでにかなり前から憧れの地名と化していたクライネ・シャイデックに一気にWABで上がると、山上の小さな集落であるそこはスキーヤーの聖地と化していました。ヘッピリ腰で何本か滑ると下手糞なりにも感が戻ります。申し分ない天気でアイガー北壁の迫力ある斜面が真正面。小さな山小屋風のレストランを選びそのテラスでビールを飲みチーズとワインの染み込んだホットサンドイッチを食べます。まるでオードリー・ヘップバーンの映画のようです。そう映画「シャレード」の冒頭にアルプスのスキー場のシーンが出てきますが、確かにまさにそんな光景です。青空にひらめくスイスの赤い国旗が鮮やかです。クライネ・シャイデックから一気にグリンデルワルトまで。足に堪えるすべりでした。

翌日以降はクライネシャイデクとは対面の、フィルストを選びます。長いゴンドラからリフトにのりつぐともうシュバルツホルンまで一投足と思えるところまで連れて行かれます。大きな岩尾根の下にモレーンが巨大に広がる、その真っ白な雄大な谷を滑るコースは全くの非日常的な光景です。

日本人もそれなりにいましたが、やはり驚いたのは現地の人たちのスキーのウデの良さです。老若男女とわず、大変に巧い。年季の入り方が違うのでしょうね。しかも平地滑走やスキーを肩にかけてのちょっとした移動の時などに基礎体力の違いを感じます。

テレマーカーは自分以外には4,5人を見かけただけでしたが、フィルストのゴンドラ下り場でたまたま会ったテレマーカーとどちらからもなくエールを交換しました。自分は相変わらずの腕前で、急斜面になるとアルペンターンになってしまいますが見かけたほかのテレマーカーは皆とてもうまく、すべりに淀みがありませんでした。驚きはフリッチ(山スキー締め具)をつけた板でテレマークをしている人がいて、またそれがとても巧い。母子球でまがる、といった理屈を超えていました。

グリンデルワルトの街にはなんとモンベルショップがあり、覗くと、日本人の店員がニコニコ顔で話しかけてきました。自分の着ているゼロポイントのジャケットを見て、ありがとうございます、と礼を言われます。12月9日に開店したばかりとの事、店内の品揃えはいわゆるモンベルの直営店そのものです。派手に転倒してリーシュ(板の流れ止め)が破損したばかりだったので早速新しいものが入手できてラッキーでした。ドイツのスポーツショップではテレマークのテの字も見たことがなくリーシュは入手できないか、と諦めていたところでした。登山基地であるグリンデルワルトにこの店があるのは結構ありがたいことか、と思います。(ただし値段はやはり日本よりは高いと思います)

最終日はスキーをやめてユングフラウヨッホまでの観光。雪の谷に小さな家々が立つこの風景はのどかで、こんなところにも生活があるのだなーと考えます。冬の雪の集落風景、それはまるでブリューゲルの絵画のようです。再びWABでクライネシャイデックまで登り、そこから恐ろしく値段の高いユングフラウ鉄道に乗り換えユングフラウヨッホ(トップ・オブ・ヨーロッパ)まで。途中駅アイガーグレッチャーからは名峰・ユングフラウを望めました。この鉄道、標高3400mのトップオブヨーロッパまで一気に連れて行かれるので息が苦しく少しフラフラしました。家内も子供達も動作が緩慢でした。期待していたアレッチ氷河はガスの中で見ることが出来ず、残念ですがまた夏にでも来たいところです。

あとは一気に下山しインターラーケンオスト、バーゼル経由で家に戻りました。

今回のもう一つの楽しみだったのは鉄道。とんでもない勾配を難なくこなすWAB(ヴェンゲンアルプ鉄道)やJB(ユングフラウ鉄道)などのナローゲージのアプト式登山鉄道、それに先頭にスキー貨車をつないた緑と白の旧型車輌なども走るその風景には、まるで童心むき出しとなってしまいました。

(終わり)


(シュバルツホルン2927mに手が届きそう) (ユングフラウを見る) (ガスの下、グリンデルワルトの集落へ滑降だ) (ブリューゲルの絵の様に)
(グリンデルワルトは山岳展望の街だ) (登山鉄道はマニアを刺激する。WAB) (先頭にはスキー貨車が連結されていた)

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