MINOX GTE


前蓋を開ければ撮影GO!

1・出会い

ミノックスは一連の超小型カメラ(スパイカメラ)で有名なドイツのカメラメーカ。GTEはそんな中で、もちろん超小型物ではなく通常の35mmフィルムを使う小型カメラ。

このカメラを初めて見たのはもう10年以上前。西ドイツ(まだ東西統一前だった)に仕事で出張した際に仕事の相手先のドイツ人が持っていたのだった。興味があったので手に取らせてみてもらう。まずその小ささと軽さに驚いた。当時の 35mmカメラではまさに最小・最軽量だっただろう。レンズの蓋をパカリと手前に開けると中に収納されている沈胴式のレンズが蓋と連動して出てくる、という構成がユニークで、又シャッター巻上げも手巻式。絞り優先式のAE方式(自動露出)でレンズに付いている絞りリングを回せばシャッタースピードがそれにあわせ可変して最適露出を得られるようになっている。ピントあわせは絞り値から被写界深度を読取り適当に合せるもので、そういう意味では正確なピントあわせは苦手そうだったが、レンズは広角気味の35mmなので絞り値次第ではパンフォーカスが利きピンボケの心配も無かった。手にした感じが日本製のカメラと明らかに違う・・。小さなボディに必要にして充分な機能が満載されており、まさにドイツのマイスター魂を感じさせるカメラだ、と唸ってしまった。

日本ではいささか馴染みの無いこのカメラだが、それから数年経ったある日のこと、とある中古カメラ屋を覗いていたらこのドイツから来た小さなカメラが舶来品の棚に置いてあった。丁度山歩きに常用していたカメラが壊れて、替りを物色していたときだった。中古とは言え4万円近い価格がついており、一晩悩んで翌日買いに行った。なによりも小さく・軽くて山歩きにもってこい、という事、それに基本的にマニュアルカメラなので多少なりとも自分の意図を反映した写真が撮れそうに思えたのだった。さて「憧れの君」は我が物となった。改めて手にとってみた。

2・機能など:
GTEは絞りを変えればシャッタスピードもそれにつれ可変し最適露出を得る、という絞り優先AE方式なので絞り開放によるぼけの効果や絞り込んでのパンフォーカス写真、スローシャッターによる効果的な写真も撮れそうだ。ただしピンとあわせが被写界深度による目測になるのでやや辛い。絞り開放によるぼけ写真のピントをあわせが自分には難しいように思う。レンズの画角は準広角ともいえる35mmで、明るさはF2.8。最も絞り込んで F16、それに呼応するシャッタースピードは1/500秒から下は約30秒(カタログによる)とのこと。ただしバルブ(シャッタが開っきぱなしになる)はない。

露出補正はプラス1.5の補正がワンタッチで出来るように小さなボタンがついている。もちろん細かい補正はマニュアルのフィルム感度ダイアルがボディ底面にあるので任意に設定する事が出来る。

小さなボディだが三脚穴、セルフタイマーも一応ついている。またシャッタレリーズケーブルもつながるようになっている。ストロボは外付で内蔵ではないが出来るだけ自然光で写真を撮りたいのでストロボは山にはまず持っていかない。自分の場合は内蔵していなくても別に不自由ではない。

3・山での使用:
ミノックスGTE、1993年の夏に購入して以来、基本的にずっと持ち歩き続けている。最大の良さは小ささと軽さ、それでいてすべてがカメラ任せでない、というところにだろう。軽いので木の枝の割目や石の上などに置いてセルフタイマーで写真が撮れてとても便利だ。又露出計・シャッター以外は電池を使わないので電池が長持するようだ。山で誰かに撮影を頼む場合、手にした人の約半数は「小さいですねぇ」と驚く。ただシャッターがとても軽く、指を触れた程度でシャッターが落ちてしまうのでそれなりに注意が必要。

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APSカメラが大分幅を利かせつつあるが、そのAPSカメラにもさして引けを取らないボディサイズ。今もって35mmカメラでGTEを超える小型軽量カメラにはそうはお目にかからない。小粒ながら中身の濃い、このカメラを長く使いたい。


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