CANON AV1


初めての一眼レフは
思い出のカメラ。
FD50mmF2.0をつけた。

一眼レフを使ってみようと思い立ち最初に購入したのがこのカメラ。一眼レフについて何も知らなかったため何冊か「ハウ・トゥー本」の類を購入してみる。時はすでにオートフォーカスの一眼レフの時代に入っていたが、レンズをまわしてピントを合わせるというのに一眼レフっぽさを感じていた事もあり、そして何よりも予算的にそんな最新機種も変えないこともありなにか中古を、という思いだった。

出来ればニコンを、という憧れはあったが中古カメラ店にて実際に手を出したのはキャノンだった。ニコンは総じて高かったのだ。マニア受けするブランドのようだった。

丁度自分が高校生だった頃の事だろうか、キャノンには「連写一眼」というキャッチコピーで大ヒットとなったAE1という人気機種があったように記憶していたが手に取ったのはAV1というカメラだった。AE1はシャッタースピード優先のカメラで絞り値がそれに追随するというものだったが、自分の読んだ入門書からシャッタースピードよりも絞り値を決めシャッタースピードをそれに追随させるという絞り優先のカメラのほうが使いやすいと思っていた。被写界深度を利用したボケ写真・パンフォーカス写真こそが一眼レフのなせる技だ、と思っていたからだろう。AV1は絞り優先のカメラだった。

こうしてブラックのAV1を購入。50mmレンズF2.0がついて1万5千円程度だったと思う。気づけば24mm、135mm、28-85mmなどの中古レンズ群も増えた。

当時私はバイクツーリングに凝っておりテント一式を積んだオフロードバイクでの林道ツーリングにはまっていた。その殆どにこのカメラが同行した。又当時交際していた女性を格好の被写体にしたりして独り悦に入ったりもしていた。(ちなみにその女性の写真の幾つかは我が家に額に入れて壁に掛けているが、その写真を見るにつけ若かれし頃のそれなりに少しは可愛かったカミサンを思い出す。今の彼女にはその写真の頃のイメージはもうないけど・・でも自分も老けただろうから文句は言えまい。)

悟ったのは写真のフレーミングや何をどんな風に写したいか、というのにはやはりそれなりの感性が必要だし、それらはピント合わせ、ブレ防止などの基本的な技術に裏付けられる必要があると言う事だった。残念ながら自分にはそのどちらもあるとは思えなかった。

カメラ自体はシンプルで操作の容易なものだった。針式のシャッタースピード計はわかりやすく、基本を知るには持ってこいだった。

さてしばらく熱中していたAV1だが気づけばいつしか手を出さなくなっていた。結婚をし子供も出来、忘れ去られた存在となっていた。家内は大きくて重い一眼レフなどよりとにかく簡単なカメラ、ということでありがちなコンパクトカメラが主人公となった。

再び一眼レフを触ろうかと思い立ち久しく埃をかぶっていたAV1を手に取る。電池を新品に換えるとシャッターもしっかり落ちる。露出計も異常は無いようだった。フィルムを何本か通してみると悪くは無い。こうなるとややくたびれた感のあるAV1ではなく、憧れだったニコンが再び欲しくなった。数ヶ月後に自分はニコンユーザーなった。

この稿の趣旨は愛用の山用カメラである。残念ながらAV1は一度も山行に連れていった事はない。趣旨に沿うように今度山に持って行こう。24mmでもつけていこうか。


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