重量99g、山岳移動用50メガ超軽量5Wリニアアンプの作製


50メガで使える出力4、5W程度のリニアアンプを作ってみました。5W以下の出力なので一応QRP運用、と宣言出来るアンプです。当初は自作トランシーバへの内蔵用に作ったのですが(出力4W)、再現性を確認するためにもう1台作製、今度はピコ6接続用にケースに入れてみました(出力5W)。ケースに収めた状態で重量99gという軽さです。5W程度のパワーなので消費電流も少なくバッテリも小型化出来ます。この重さであれば山岳移動にも苦もなく使えます。まだ運用実績は少ないのですが1号機、2号機ともに良好に動作しております。

ピコ6と山岳移動用50メガ軽量リニアアンプ
奥左:20Wリニア(220g, 7x10x3cm, max4A消費)
奥右:10Wリニア(150g, 5x8x3cm, max1.9A消費)
手前:5Wリニア(99g, 5x6.5x2cm, max1.3A消費)

今回作製のリニアアンプは写真手前の5W機。


1・きっかけ:
このアンプを作るきっかけになったのは出力200mW程度の自作のトランシーバ(アイテック電子のキット、TRX602)を作った際にQRPの範囲内で使えるリニアアンプが欲しいな、という事でした。以前作った別の自作のトランシーバ(アイテック電子のキット、CQ1号ビギトラ)には1Wのリニアアンプを作りケースに内蔵させたのですが、それと同じ事をTRX602で、やや出力を上げた形で実施しよう、という訳です。従って完成したリニアアンプ1号機は基板のままTRX602のケースに内蔵させてしまいましたが、別のケースに収めればどの無線機でも使えるQRPリニアアンプ、となります。実際に作製した2号機は小型ケース(タカチのYM65、5x6.5x2cm)に収め小型軽量5Wリニアアンプとなりました。山岳移動時にピコ6につないで少しパワーを出したい時にもってこいです。勿論FT690やmkII、HT750などにも使えるでしょう。


2・全体像:
通常リニアアンプには使う周波数に特化させた、50メガなら50メガ専用、といったアンプと、広い周波数で使える広帯域アンプに分れるようです。リニアアンプの心臓部である増幅素子(パワートランジスタ)は通常十数Ωという低いインピーダンスで効率よく動作するそうですが、一方同軸ケーブルをはじめとしたアマチュア無線機器の出力信号はすべて50Ωインピーダンスですので、リニアアンプではこれを増幅素子にふさわしい数十Ω値に変換し、又素子によって増幅された信号も50Ωに変換し直してやる必要があります。このインピーダンス変換をどう実現するかによって、特定周波数に特化したアンプと広い周波数で使えるアンプの違いができあがるようです。

周波数固定のアンプでは増幅素子への入力部、素子からの出力部にコイルとコンデンサによるLCマッチング回路を設けますが、一方で広帯域アンプの場合はコイルとコンデンサによるマッチング回路ではなく入力部・出力部ともにトロイダルコアを用いたインピーダンス変換トランスを用います。今回作ったアンプは後者の、広帯域アンプです。これは特定バンド用のアンプ(前者の方式)は作った事があるので今回は違うものをやりたかった、ということ、又親機となる自作トランシーバの出力が200mWと小さいので前者のアンプでは入力マッチングの調整がやりずらいのでは、と考えたからです。広帯域アンプは実は最初の自作トランシーバ(アイテック電子のCQ1号ビギトラ)用に1Wリニアとして作ったのですが、5W程度の高出力のものは以前製作に失敗したこともあり、再挑戦でもあります。


3・素子の選定:
心臓部のパワートランジスタには三菱の2SC1971を用いました。1個300円程度でした。VHF帯(175MHz)用・出力6W程度の石、との事で50MHzで使うには利得の低下も懸念されません。ヤエスのFT690mkII(単体)、東京ハイパワーのHT750のファイナルとしても使われている石です。


4・構成:
構成は以下の通りとなっています。全体に大きく7個のブロックから成立っています。

1)アッテネータ部:
アンプをオーバードライブさせぬように親機からの入力信号を適切な値に減衰させます。又これは親機とアンプ素子間のSWR改善にも役立ちます。π型に抵抗を組み、その値の組み合せによって減衰値が決ります。1号機では親機出力が200mWと2SC1971をドライブするのに丁度良い出力なのでアッテネータは入れていません。2号機では親機としたピコ6が出力1Wでこのままだとオーバドライブなので-5dBのアッテネータを入れました。親機からの入力を1/3に減衰させます。(330mWになります。) 親機を他の機種にする場合は300mW程度の入力値となるように親機の出力に応じてアッテネータの値を変えてやります。

2)入力マッチング部:
50Ωの入力インピーダンスを12.5Ωに変換する回路です。 50:12.5、つまり4:1のインピーダンス変換です。インピーダンス変換トランスはフェライトビーズFB101に0.3mmエナメル線をよじりあわせ4回巻きます。(バイフィラ巻き4回)結線はA, A'+B, B' となります。

3)ベース電源部:
バイアス電流を流す回路です。アンプをリニアアンプとして AB級増幅させてやるためには常にバイアス電流をトランジスタのベースにかける必要があります。ここは電圧を安定化させる必要があるのでまず三端子レギュレータ (78L05)で12vを5Vに安定化させます。沢山ついているコンデンサは回り込み・パワートランジスタの自己発振防止用です。又1KΩの可変抵抗はアイドリング電流(後述)の調整に使います。ダイオードはパワートランジスタが熱暴走による自己破壊を起すのを防ぐためのバイアス安定化のもので、実際の基板ではパワートランジスタに密着させる形で配線します。密着させた個所に放熱シリコンをたっぷり塗ります。このダイオードを付け忘れたりすると電源投入とともにパワートランジスタは一瞬にしてお陀仏となります。

4)増幅部:
入力信号を増幅する心臓部です。ベースの前段階に3.9Ωの抵抗がついています。これは「高周波機器の設計と製作」CQ出版社刊によると、SSBの場合入力信号の振幅の差によって入力インピーダンスが変化するので、その変化を抑えることによるインピーダンスの安定化、それによる素子の直線性の改善に一役買っているそうです。

5)電源部:
パワートランジスタの電源に電源(12Vから13.8V)を入れます。コンデンサとトロイダルコアによるコイルはどちらも回り込み・パワートランジスタの自己発振防止用のものです。又電源を万一逆接してしまった時の防止用にグランドとの間にダイオードを付けています。もちろん電源線(+)にヒューズが必要です。

6)出力マッチング部:
パワートランジスタで増幅された信号を同軸線・空中線のインピーダンスである50Ωに変換する部分です。出力5W程度の素子ではその出力インピーダンスは十数Ωとのことらしく、従って50Ωにするために1:4のインピーダンス変換トランスをトロイダルコアを用いて作ります。フェライトコアFT50-61に0.3mmエナメル線を2本よじりあわせ13回巻きます。(バイフィラ巻き 13回)結線は入力用のトランスと同様、A, A'+B, B' となります。

7)ローパスフィルタ部:
パワートランジスタで増幅された信号は高調波を含んでいるのでこれをコイルとコンデンサから成るローパスフィルタで除去します。フィルタにはT型とπ型がありますが文献によるとπ型の方が前段に与える影響が少なく、 FBなようです。フィルタのコイルとコンデンサの値は周波数やT型かπ型かによっていくつかの決った値があります。又使うトロイダルコアの選定も電力によって変ってきます。今回はπ型のフィルタとしました。π型の場合一段のみの挿入では高調波除去能力が充分とはいえず通常3、4段の多段接続をするようです。基板に余裕のあった1号機は良かったのですが2号機ではスペースの都合上1段接続としてしまいました(!)。しかしこれでは実際の高調波の切れはどの程度なのか不明です。スペースに余裕を見つけ多段接続が必要です。

8)アンプON/OFF切替え部:
リレーによりアンプのON/OFF(アンプONかスルー)を切替えます。12V用2回路のリレーを用います。損失についてですが 50MHzあたりですと高価な高周波リレーを用いなくとも通常のリレーで大丈夫なようです。リレーの電源部にグランドとの間に入れてあるダイオードはリレー動作時の逆起電力を防止する目的、とのことで、リレーを用いる時は定番的に使うようです。尚リレーのON/OFFは動作させるにはFMだとキャリアを用いる事が出来ますが(キャリコン)SSBだと難しいです。1号機の作製では幸いな事に親機としたアイテック社の TRX602は送信時に12Vが出るポイントがあるのでそれをそのままリレーのON/OFFに使う事にしました。(ただしこの方法は実際には上手く行かなかった。下記アイテム7の3)を参照)

しかし2号機ではこの方法は使えないために、最も回路が簡単で済むように私は無線機のハンドマイクを自作してみました。2回路の押しボタンとコンデンサマイクですぐに出来ます。2回路のうち一回路分のスイッチはPTT回路用に、もう一方の回路ははリレーと12V電源部に結線されているのでPTTを押すと自動的にリレーに12Vが供給されてリレーONとなります。又既存のマイクの中にマイクロスイッチを仕込むなど細工をしてPTTと連動でONに出来るような配線をすることも可能だと思います。又、送信時に同軸ケーブルにDCが乗るような無線機ではそれを取出してトランジスタによるスイッチング回路でリレーの ON/OFFに使えそうです。


5・製作:

(2号機の中身。基板はランドを
罫書き出すやり方で作りました。
部品点数と調整箇所の少ない
再現性の高いアンプだと思いま
す。小さな放熱板をつけてみまし
た。)

1号機の製作では生基板に必要なランドをエポキシで貼っていく、というやりかたで作りました。こうするとグランドが広く取れ動作が安定するらしいです。予めに各ランドに載せる部品を考え加工(部品づけなど)をしてから貼っていくのも手かもしれません。まずは生基板を前にして各々のブロックをだいたいどの辺に設けるか決めます。上記の8個のブロックの順に組立てていくと良いと思います。(ただし最後のリレー部のみは基板調整後にとりつけます。) 通常は放熱板などが必要な事からパワートランジスタの位置で全てが決ってしまいそうです。

1号機では出力が4,5W程度である事、 SSBにしか用いない事、などを考えトランシーバ本体のアルミケースを放熱に使う事にしたので放熱板は特に設けずにトランジスタがアルミケースに直接ネジでつくようにしました。

2号機ではケースが小さい(特に高さが低い)ために上記の方法では部品がケースにぶつかってしまいそうです。今度は生基板に必要なパターンの境界線を油性ペンで書き、そこをアクリルカッターでけがく方式としました。出来るだけグランドパターンで基板外周を囲むようにしてみました。けがき出した各ランドはきちんとグランドとショートしていないか、テスタで調べました。又気分の問題ですが無いよりはある方が良いのでは、と小さな放熱板をつけてみました。

又2号機の親機への接続ではリニアアンプのRF-IN部のコネクタに台座付きのBNCメスコネクタを使う事により親機とリニアアンプを直接つなぐ事が出来るようにしました。移動運用では変換コネクタや同軸線などの忘れ物をする事がえてしてありますが、こうすることによりリニアアンプとの接続は簡単です。(このコネクタの存在はローカルの7M1XPR・青木さんより教えていただきました。秋月電子通商で入手可能です。)


6・調整:
基板が出来上れば調整です。広帯域のリニアアンプは入・出力のマッチング回路にコイルや可変コンデンサなどを用いないので調整個所は少ないです。作りっぱなし、に近い状態で動作します。唯一の調整個所はアイドリング電流です。これはAB級リニアアンプとして動作させるために常時パワートランジスタのコレクタに流してやる電流です。これをけちるとリニアリティの悪い(直線性の低い)増幅となってしまうそうです。調整を始める前に完成した基板を以下のようにセットします。

(調整中の1号機の基板。リレー
はまだとりつけていない状態。
基板には必要なランドを上から
接着していく方式で作りました。
グランド面が広く取れるのでFB
なやり方だそうです。)

−回路の終端を電力計を通し50Ωでターミネイトする。(終端型電力計が便利。)
−12V電源に基板をつなげる。トランジスタのコレクタ部のみは電流計(DC200mA程度)を通じて電源とつなげる。ベース部は電源に直接つなげます。
−ベース部の半固定抵抗を抵抗値最大になるようにセットします。
−尚トランジスタは仮の放熱版につなげます。(大型の放熱版がFB)

ここまでセットしたら後は

1)配線ミスがないか最終確認して電源SWをON。テスタの電流値(これがアイドリング電流です)を見ながら半固定抵抗をゆっくり回し50mA程度になるようにセットします。電源を入れたとたん電流値が一気に上昇し続けて止らない時は上述の通りバイアス安定化用のダイオードがきちんとついているか、トランジスタの放熱は大丈夫か、が疑わしいのですが、もうそうなったら最後、あっというまにトランジスタは破壊されてしまいます。そうなったらトランジスタを交換して不良個所を直して、再挑戦です。私の製作例では半固定VRが真中のポジション(500Ωあたり)で電源投入時の電流値が30mA程度でした。VRの抵抗値を低い方に少しづつ回していき50mAあたりで止めます。おもしろがって逆方向にどんどん回していくとこれまた多大なアイドリング電流が流入しトランジスタの破壊に至るので要注意です。

2)ここまでくればいよいよ親機から信号を入れてみます。1号機用の親機の出力(アイテック社TRX602)は約200mW。2号機の場合はピコ6の1W出力がアッテネータで330mWまで減衰されて入力されます。緊張の一瞬。どうでしょう。幸運な事に(?)私の場合は 4Wが(2号機は5W)一気に出ました。横に無線機があれば実際の変調音をまずモニタしてみます。きちんと聞えるでしょうか?これで一応、基板は完成です。

3)あとはリレーを組みます。ランドに予めリレーを載せ配線を終えてから基板に接着すると簡単です。

4)必要に応じてケースに入れます。回路が小規模なので小さなケースに入れられると思います。これで完成です。


7・上手く動かない時・・:
自分の経験から、こんなことがありましたのでご参考になるかは分りませんが・・

1)パワーが出ない
−殆どの場合インピーダンス変換トランスの配線間違いだと思います。入力トランスは正しいか?出力トランスは正しいか?A, A'+B, B'が正しく配線され正しい個所についているか? A, A'+B', BやA', A+B, B'とかになっていないか?
−これを追うにはRFプロ−ブがあれば簡単です。まず入力部にプローブの検針をあてます。針は振れるはずです。振れなければその前段,リレーの接続や同軸線がクサイです。振れれば次にいきます。入力インピーダンス変換トランスの前部と後部にそれぞれ検針をあてます。どちらも振れるはずです。トランスの前部で振れて後部で振れない場合はトランスが正しく巻けていないはずです。
−次にトランジスタのコレクタに、出力インピーダンス変換トランスの後部にそれぞれ検針をあてます。先程と違い針が振切れるほど振れるはずです。振れなければパワートランジスタの接触不良、又は出力インピーダンス変換トランスが怪しいです。どちらも正しい時はパワートランジスタに正しい電圧が来ているかチェックします。コレクタには12V、バイアス部の三端子レギュレータの二次側はきちんと 5Vになっているでしょうか?
−ここまでOKでパワーが出ない時はローパスフィルタが怪しいです。コイル、コンデンサの定数はあっているか、接続はどうか確認します。只ローパスフィルタは挿入によるなにがしかの損失があります。前段と比べて急激にパワーが落ちるような事があれば定数に問題があるはずです。

2)トランジスタが発振してしまう:
信号を入力しないのにパワー計が振れてしまう。
−電源にバイパスコンデンサを適宜追加してみたらどうでしょうか
−もしかしたらトランジスタの信号の入力部と出力部のレイアウト上の位置の関係で発振してしまう事もあるかもしれません。両者は出来るだけ離した方が良いとの事を聞いた事があります。又グランド面が狭いと動作が安定せず発振等の原因につながりやすくやはりトラブルのもとです。

3)変調音がひずむ:
トランジスタをオーバードライブさせていないか?アッテネータを見直す必要があるかもしれません。又アイドリング電流の値は適切か。けちると直線性の低い増幅になってしまうとのことです。

4)1号機での失敗:
1号機を作った時です。裸のボード状態では上手く4Wのパワーが出たのですが、いざリレーに接続し自作トランシーバに組み込んだところ上手くパワーが出てくれません。カチカチカチ・・と小刻みにパワー計が振れるだけで全く変調が乗りません。何だろう、トランジスタの自己発振か?ボードを外しバイアス電源部、コレクタ電源部にバイパスコンデンサをいくつか追加してみましたが一向に直りません。途方に暮れて何気なくリレーの電源電圧を測ったところ10V程度しかなく、そのせいでリレーが正常に動作していない事が分かるまでは少し時間がかかりました。なぁーんだ、リレーの消費電流が多いのか。親機の送信時に12Vが出る端子からでは力不足だった、と判断。そこでトランジスタ一石によるスイッチング回路を追加し、問題無く動作する事になりました。


8・総評:
広帯域のリニアアンプは入出力のマッチングにトロイダルコアによる伝送線トランスを用いるのでトランスを巻く手間を除けばコイル・コンデンサによるマッチング方式のものより調整が楽だと思います。特に5W程度の出力では伝送線トランスも複雑なものではないので結線違いさえなければ再現性の高いリニアアンプが出来る事と思います。消費電流もMAX1.3Aと少なく、見た目も中身もQRPなリニアアンプとなり山岳移動にもってこいだと思います。又JK1RGA・河野さんのアイデアですが基板サイズが4.5x6cmと小さいので基板状態のアンプをピコ6の電池ケースのスペースに組み込んで5W出力のスペシャルピコ6にしてしまうことも可能だと思います。


9・定格:
最後に当アンプ(2号機)の定格値を記します。

出力: 5W(RF-IN側に-5dBアッテネータ挿入、1W入力時=実効0.33W入力。電源電圧12.5V時)
消費電流: 60mA(スタンバイ時)、1.3A(ピーク時)
重量: 99g(ケース・コネクタ込み)
ケースのサイズ: タカチのYM65、5x6.5x2cm


10・部品リスト (2号機の例。親機はピコ6を想定):

半導体 −RFトランジスタ:2SC1971 x 1個 (RF増幅用)
−三端子レギュレータ:78L05 x 1個 (ベース電源安定化用)
−ダイオード: 汎用SWダイオード(1S1588等) x 1個 (RFトランジスタ熱結合用)
10E1 x 2個 (リレー逆起電力防止用、電源逆接防止用 各1) 
コンデンサ −0.01μFセラミック x 4個 (RF-IN用2個、RF-OUT用1個、パスコン用1個)
−0.1μFセラミック x 3個 (パスコン用2個、RF-OUT用1個)
−10μF電解 x 2個 (パスコン用)
−60pFセラミック x 2個 (ローパスフィルタ用)
抵抗 −1Wタイプ180Ω x 2個 (アッテネータ部)
−1Wタイプ30Ω x 1個 (アッテネータ部)
−1/2Wタイプ3.9Ω x 1個 (ベース接続用)
−1KΩ半固定抵抗 x 1個 (アイドリング電流調整用)
コイル類 −フェライトビーズFB101 x 1個 (RF-INインピーダンス変換トランス用)
−フェライトコアFT50-61 x 2個 (RF-OUTインピーダンス変換トランス用、RFチョーク用、各1個)
−トロイダルコアT37-6 x 1個  (ローパスフィルタ用)
小物類 −ケース(タカチのYM65)
−BNCオス台座付きコネクタ、メス台座付きコネクタ各1個・・・秋葉原秋月電子にて購入
−リレー12V2回路用 x 1個 (オムロンG5V2)
−スイッチ x 1個 (主電源用)
−直径0.3mmエナメル線 適宜 (入出力インピーダンス変換トランス用、RFチョーク用)
−直径0.8mmエナメル線 適宜 (コイル、ローパスフィルタ用)
−線材 適宜
−小型放熱板
−同軸線0.8DV 適宜 (BNCとリレー間、リレーと基板間接続用)
−DC電源ジャック x 2個 (主電源用、リレーON/OFF用)



11・π型アッテネータの定数・π型ローパスフィルタの組み合わせ:

アッテネータ・ローパスフィルタ、ともにπの形に組み合わすのでどちらもπ型と呼ばれています。アッテネータの定数は適切な入力値になるように親機の出力に応じて決定します。(このリニアアンプの場合は入力0.3Wあたりが良いようです。)

又ローパスフィルタも何種類か使用出来るトロイダルコアの種類があります。通過電力が大きくなるにつれコンデンサも耐圧の大きなもの(500V耐圧のディップマイカなど)が必要なようですが、今回は通常のセラミックコンデンサで作りました。

1) アッテネータの定数

減衰量 R1,R2 (Ω) R3 (Ω)
0.8 (-1dB) 910 5.6
0.6 (-2dB) 470 12
0.5 (-3dB) 300 18
0.4 (-4dB) 270 24
0.3 (-5dB) 180 30
0.2 (-7dB) 130 47
0.1 (-10dB) 100 75

2) ローパスフィルタの組み合わせ

コア材と巻き数 コンデンサ (pF)
T37-6、0.8mm径エナメル線7回巻き 60
T50-10、0.8mm径エナメル線7回巻き 60
T80-10、0.8mm径エナメル線6回巻き 56


12・回路図:

回路図は添付の通りです。


(参考資料・出典:「トロイダルコア活用百科」山村英穂著CQ出版社刊、「つくるハム実用アクセサリー」高山繁一著CQ出版社刊、「高周波回路の設計・製作」鈴木憲次著CQ出版社刊、「レッツハミング97年1月号」マガジンランド社刊)

Copyright 7M3LKF,Y.Zushi,1999/1/17