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【斜体で書かれている部分】 はみくりんのコメントです。
今日も朝から湿度が高い。地球の歩き方によると、パレンケの遺跡は暑いので午前中に行くべきだそうだ。今回の旅の教訓から、荷物はホテルに預けることにする。せっかくスペイン語の辞書を買ったのだから、少しはスペイン語を使ってみよう。「午後までリュックサックを預かってもらえますか?」「Puede
usted gardar barjuleta hasta tarde ?」これが私の作ったスペイン語の文章である。正確かどうか自信はない。(誰かスペイン語の得意な方、解答をお願いします)とにかく部屋を出て、フロントまで行くとおばちゃんが二人座っていた。早速先ほど作った文章を読み上げると、うなずいてフロントの奥を指差した。「何だ、結構通じるもんだな」と、奥に行くとそこには既にたくさんの荷物が置いてあった。考えてみれば、旅行者が荷物を持ってフロントで何か言うとしたら、荷物を預かってほしいのはすぐわかりそうなものだ。もしかしたら何を言っても通じたのかもしれない。
コレクティーボ乗り場まで歩いていく。RUINASと書かれたコレクティーボに乗り込み5ペソ払う。遺跡までは車で10分くらいだ。
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パレンケの入り口 駐車場で車を降りる。辺りには土産物屋などはなく、ジュースや果物を売っている屋台が少しあるだけだ。メキシコを代表する遺跡の割には静かな入り口である。 |
ちょっとした林を抜けると広くなっている場所があり、その先には碑銘の神殿がある。横に長い階段状の神殿だ。階段を上っていくと上の壁にはマヤ文字が刻まれていた。形的にはそう面白くはない遺跡である。次の遺跡に移ろうとしたが、みくりんが来ない。後ろを振り返ってよく見ると、ちょっとした人だかりができているところにみくりんはいた。また階段を上り、近づいてみるとそこにはぽっかりと穴があいていた。近くには看板も、矢印も何もない。ただ、穴があいているだけだった。周りに人がいなければ気がつかずに通り過ぎてしまうところだ。そう、そこが有名な宇宙船の図柄が蓋に彫ってある石棺があった場所だった。その穴からは下へと続く階段が伸びている。早速その穴に入る。横の壁はじっとりと湿っており、緑色のコケが生えている。人一人が通れるくらいの狭い階段を降りていくと、蒸し暑さでどっと汗が吹き出てきた。
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入り口上の天井 天井にもマヤ文字が描かれている。 |
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地下へと続く階段 この下に石棺が置かれていた。 |
宇宙船の図柄とは、ここパレンケで発見された遺跡の中でもいわくつきの有名な遺跡である。1949年に、この碑銘の神殿を調べていた考古学者が階段の上の床に小さな穴があいているのを見つけた。そこで、その穴にロープを通して、持ち上げてみたところ、下に続く階段を見つけた。土砂を取り除き、下へ降りてみると、そこには王の墓があった。しかし、実はその墓は偽装の墓で、その先の行き止まりの側壁にあった三角形の石を動かしてみると、本物の王の墓が姿をあらわしたという。石棺の蓋にはロケットのような乗り物に乗っている人物の絵が掘り込まれていた。その人物はシートにどっかりと腰を下ろし、両手は何かレバーを操作してるように前に突き出され、顔はしっかりと進行方向である上を向いている。さらにそのロケット?の下からは噴出される炎のようなものも描かれている。中へ入っていった考古学者の助手は、壁に描かれた模様や、石棺の蓋の模様を見て、ショックのあまり気が変になってしまったそうだ。おそらく、乗り物に乗って空を駆け巡る神々の話はインディアンの伝承の中で語られていたが、この助手はまったく信じていなかったのだろう。それが、いきなりこのよう な図柄が目に飛び込んできて、この現実を受け入れられなかったのではないか。それだけ神秘的な、超自然的な意味合いを持った遺跡なのである。
さて、階段を降りていくとまず一つ目の部屋に行きついた。偽装の墓である。そこを折り返してさらに階段を降りていくとその先は行き止まりになっており、左側の壁に三角形の穴があいていた。その先に・・・それはあった。中は暗く、周りの壁に描かれている絵は良く見えなかったが、部屋の真中には石棺が置かれていた。ロケットらしきものから噴出している炎も見える。
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通路の突き当たり 王の墓への道を閉ざしていた、三角形の石が置いてある。 その左側には同じく三角形の穴が開いている。 |
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王の墓 鉄格子がはめられており、中へ入ることはできない。 はっきり言ってよく見えなかったが、雰囲気だけは充分に伝わってくる。 |
しかし実は、ここパレンケにおいてある石棺は模造品で、本物はメキシコシティの人類学博物館に置いてあるのだ。博物館でも地下に石棺専用の部屋が設けられており、やはり下へ降りる階段の先においてあった。地下にあるという雰囲気を大事にしていたのだろう。
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本物の石棺の蓋 (メキシコシティの人類学博物館) わざとらしいガイコツの模型もご愛敬 |
次に、宮殿と呼ばれている遺跡に行く。高い3階建ての塔が真中にある、広い遺跡だ。ここにもやはり順路などという矢印はなく、中を自由に見て回ることができる。一番高い塔に登りたかったのだが、ここだけは立ち入り禁止になっていた。近くに寄って見てみるとかなり細い塔で、上に上る階段は途中まで崩れていた。だいぶ傷んでおり、登るのはかなり危険そうだ。宮殿のの中央部は中庭のようになっており、雑草が生い茂っていた。中庭の壁には壁画が描かれていたらしいのだが、ここもだいぶ傷んでおり、何かが彫られていたのがわかる程度だった。その他の通路で、屋根が残っているところでは、真っ暗で通路の先から光が射して来る程度だ。もちろん照明など付いているはずもない。メキシコの遺跡を回る時には、懐中電灯は必需品だった。(今頃気づいても遅いね。)
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宮殿内部 フラッシュのおかげで明るく見えるが、実際は真っ暗 テーブル状のものがいくつか内部に置いてある。 古代マヤ人の食卓だろうか? 内部は風の通りも悪く蒸し暑い。Tシャツもすぐにびっしょりだ。 |
宮殿を出て、太陽の神殿へ行く。ここではひとつ試してみたいことがあった。それは、エコールームである。歩き方に書いてあったのだが、太陽の神殿とその向かいにある葉の十字架の神殿は互いにエコールームになっていて、離れた二つの神殿の間で話ができるというのだ。神殿が人の声を反響させる構造になっているという話なのだが、どう見てもそのようなお椀状の曲面には見えない。とりあえず、みくりんとじゃんけんをして、負けたほうが反対側の葉の十字架の神殿まで行き、話をしてみることにした。じゃんけんはまことが勝ち、みくりんは向こうの神殿まで歩いていった。距離は約100m程である。神殿のくぼみのようになっているところに立ち、話をしてみる。「お〜〜〜い!聞こえるか〜」「聞こえるよ〜」しかしなにか変だ。反響して聞こえているような感じではない。一直線に声が届いているような・・。神殿から出て、階段を少し下りてみる。「お〜〜い!」むむっ、やはり同じように声が聞こえる。どうも反響などは関係ないようで、ただ単に、向かい合った高台にある神殿の間に何にもないせいで、声が良く通るだけらしい。
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葉の十字架の神殿 この向かい側に、太陽の神殿がある。 みくりんが、そこにいたインディオ系の人に聞いた話では、太陽の神殿はヒール・ポイントになっていて、ここにくるとリフレッシュできるらしい。そのおじさんにも古代マヤの血が受け継がれているのだろうか。 |
林を抜け、ライオンの神殿へ向かう。木陰は涼しく気持ち良いが、蚊が多い。虫除けを塗っていたのだが、何箇所か刺されてしまった。マラリアの恐怖が頭をよぎるが、他の観光客は全く気にする様子がない。半袖、短パンで歩き回っている。そんなに心配することもないようだ。ライオンの神殿はほぼ崩れ去っており、階段状の土台が残っているだけだった。
小川を渡り、遺跡へ向かう。小川の側に大きな木が生えており、木陰でおばちゃんたちがジュースを売っていた。みくりんが買って飲んだが、あまり冷えていなかったそうだ。この木の下には、実がごろごろ落ちていた。「んっ?どこかでみたような・・」踏んづけてみると、外側の皮が割れ、にゅるっとした中身が出てきた。中には大きな種がひとつ。そう、アボガドの実だ。この大きな木はアボガドの木だった。良く見ると実がいくつも木になっている。さすが熱帯だ、と変なところで感心してしまった。
パレンケの遺跡の近くには、博物館がある。少し離れていて、森の中を抜けていくと近いのだが、迷うと危険だから通らないほうが良い、と歩き方には書いてあった。しかし、メキシコの遺跡には珍しく、博物館の方向を示す標識があったので、大丈夫だろうと思い、歩いていくことにした。道なりに歩いていくと、Bグループの遺跡があった。ここもほとんど崩れていたが、中へ続く通路がいくつかあり、覗いてみたが中は真っ暗で何も見えない。しかも耳を澄ますと中から何か物音がする。「ガサガサガサッ、バタバタッ、キーキー」どうやら、こうもりが中にこもっている様だ。さすがに中に入っていく勇気はなかった。ここで道が二つに分かれていて、滝の音がする方向へ行く道と、森に続く道があった。正解は滝の音がする方だ。川を渡り、道なりに行くと博物館に出た。しかし、ひと気がない入り口に行くと、改装中のため閉館とある。なんてことだ!しかし、ここで悔やんでもしょうがない。さっさと移動することにした。まだお昼だ、ビジャエルモッサのラベンタ遺跡公園に行けるだろう。
道を通るコレクティーボを捕まえ、村に戻る。13:30発のビジャエルモッサ行きの切符を買い、ホテルに戻る。荷物をとり、セーフティーボックスから貴重品を出して、バス停へ戻る。ラベンタ遺跡公園は入場時間が16時までだ。ここからビジャエルモッサまでは2時間の行程だから、ギリギリ間に合うだろう。と、思っていたのだが、ビジャエルモッサに近づくにつれ、周辺の小さい村の停留所にちょこちょこ寄っている。いかんっ、これでは間に合わなくなるではないかっ!内心あせりながら、時計を見ていたが、結局ビジャエルモッサについたのは16時を少し過ぎたところだった。もうほとんどあきらめていたまことだったが、あきらめるということを知らないみくりんは、停留所の近くにいたタクシーの運転手に、ラベンタ遺跡公園は何時までやっているのかを尋ねた。「5時までやってるよ。」なにっ!?5時までっ?夏だから遅くまでやっているのか?とりあえずタクシーに乗り込み、公園まで行ってもらう。
巨大な顔が彫られている岩を集めた、ラベンタ遺跡公園は要チェックの観光名所だ。メキシコや中南米にはいるはずもない、アフリカ系黒人の顔が彫られているオルメカ文明時代の岩があるという。なぜ、その時代の人がアフリカにいる人種の顔を知り得たのか。我々の想像もつかないような交通手段を持っていたのだろうか。謎は深まるばかりである。29個ある石像をすべてカメラに収めようと、気合を入れてタクシーを降りる。
しかし、入り口のゲートに行くと、そこにいた係員が、「だめだめ、もう終わりだ、入れないよ。」と、入れてくれない。どうも公園自体は17時までやっているのだが、入場時間は16時までらしい。何とか入れてもらいないかと粘ってみたが、やはりダメだった。こんなところでは厳しいメキシコ人であった。後15分早く着いていれば、と悔やまれる。ショックを隠せない二人は、隣にあった大きな池のある公園へふらふらと歩いていき、ベンチに座り込んだ。遺跡公園の方を見てみると、塀の中に人が歩いているのが見える。塀を乗り越えようとする気持ちを抑え、このあとどうするかを考えることにした。歩き方を見ると、ビジャエルモッサにはもう一つの名所として地方人類学博物館があった。こちらもまだ開いているかはわからないが、とりあえず行ってみることにする。
また、タクシーを拾い人類学博物館を目指す。こちらもひと気がない博物館だったが、ちゃんと開いていた。展示物はマヤ・オルメカ文明に関するものが多く、見そこなった巨顔の岩も模造品かもしれないがいくつか置いてあった。ここでも写真を撮りまくっていたのだが、フラッシュ禁止だったせいで、運良く写っていた写真もひどくぶれていたものばかりだった。しかし、内装も割ときれいだし、すいていたせいでゆっくりと見学でき、以外に良い博物館だった。2〜3時間で見て回れるので時間のある人は見学して損はないところだ。
その後、またタクシーでバスターミナルまで戻る。 21:40発メリダ行きのチケットを買い、出発まで近くで食事をとる。ぶらぶらしていると、ジュース屋があった。メニューを見るとNaranja(オレンジ)、Papaya(パパイヤ)、Mango(マンゴー)、Horchata、などが売っている。んっ?Horchataって何だ??早速買って飲んでみる。ちょっと甘くて、独特の風味がある。ニッキかシナモンの味がする。辞書で調べてみると、「スゲの根をすり下ろしたものを入れた清涼飲料」とあった。スゲとはどんな植物なのだろうか?みくりんはこの味にはまったらしく、カンクーンのデパートでお土産にHorchataの粉末ジュースを買っていた。(日本に帰ってから、みくりんの家でHorchataを飲んだときにはビジャエルモッサを思い出してしまった。)その後も、時間つぶしのため近くのカフェにはいる。チョコミルクセーキを頼んだがぬるかった。しかも小さな虫が入っていた。あまり気にせずに飲んでしまったのだが、その後、腹の具合があまり良くない状態が続いた。本当にこのミルクセーキのせいなのか、唐辛子のせいなのかはわからないが、旅の 終わりまで続いてしまった。
とりあえず今日は車中泊だ。一日おきの車中泊でも結構平気なものだ。明日はウシュマルの遺跡である。
本 日 の 出 費 | ||
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項 目 | まこと | みくりん |
コレクティーボ代 (パレンケ村〜パレンケ遺跡) |
5ペソ | 5ペソ |
パレンケ遺跡入場料 | 20ペソ | 20ペソ |
コレクティーボ代 (パレンケ遺跡〜パレンケ村) |
5ペソ | 5ペソ |
バス代 (パレンケ村〜ビジャエルモッサ) |
43ペソ | 43ペソ |
タクシー代 (バスターミナル〜ラベンタ遺跡公園) |
5ペソ | 5ペソ |
えびせんみたいなお菓子 | 1ペソ | |
タクシー代 (ラベンタ遺跡公園〜人類学地方博物館) |
7.5ペソ | 7.5ペソ |
人類学地方博物館入場料 | 10ペソ | 10ペソ |
タクシー代 (人類学地方博物館〜バスターミナル) |
6.5ペソ | 6.5ペソ |
食事 | 52.5ペソ | 52.5ペソ |
ジュース(Horchata) | 1.5ペソ | 1.5ペソ |
水 | 6ペソ | |
チョコミルクセーキ | 8ペソ | |
ビール | 8ペソ | |
バス代 (ビジャエルモッサ〜メリダ) |
184ペソ | 184ペソ |
テレホンカード | 30ペソ | |
合 計 | 355ペソ | 378ペソ |
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