タイトル 非情のライセンス
放映年 1973〜74年
放映話数 全52話
天知茂の代表作。虚無感や悲しみが漂う刑事ドラマ。世の中には理不尽な事が多いと教えてくれた。第2シリーズは74〜77年(全124話)、第3シリーズは80年(全26話)

出演:天知茂、左とん平、宮口二郎、高城丈二、山村総、渡辺文雄、葉山良二ほか

渋い男の代表の天知さん。ニヒルと言うのは彼のためにあるのかも…スーツでビシッと決めた男が多い時代

凄いドラマである。何せ、殉職率が高い。刑事のみならず、一般人とて安心できない。左とん平さんは第一シリーズではクリーニング屋だったが、何故か暴力団によって射殺。その後も、第2シリーズで刑事になり、またしても殉職。第3シリーズでまた復活という波乱万丈な登場の仕方だ。また、財津一郎さんは、第2シリーズで殺し屋をやっていたと思ったら、同シリーズで刑事役でレギュラー入り。う〜ん、アバウトだ(笑)出たり入ったり、まるで仁義なき戦いのようである
本作は、まだ戦後を引きずっている時代。高度成長期とはいえ、イケイケどんどんな裏で漂う、暗い影が描かれている。主人公の会田刑事も両親が被爆者で、白血病、姉は米兵にレイプされ自殺と、散々な過去を持っている。それゆえ、いつも眉間に皺をよせた難しい顔でいる会田刑事。微笑みすらもニヒルだったし(笑)。また、どの刑事さんも濃くて男臭い。葉山良二さんや、宮口二郎さん、高城丈二さんなど、いまではついぞお目にかかれない渋く、フェロモンがばんばん出ている方々。今の世の中、男子が草食系で女子が肉食系だそうだが、この時代の男性達は触れると火傷しそうな熱さである。う〜ん、ビバ、70年代!みんなスーツだし、ネクタイ太いし(笑)女性とはベッドの中で交流を深める。今なら、まず職務上問題ありで、刑事はクビだろう
天知茂さんが歌う[昭和ブルース]も泣かせる。うまれた時が悪いのか、それとも俺が悪いのか…目一杯、眉間に皺を寄せてそう歌う会田刑事。ある意味、この時代はよかった。わたしなど、昭和30年代後半から40年代をリアルタイムで経験できて幸せである。そんないい時代を生きてきた自分には、今の時代こそ恐ろしい。日本という国、いや、世界が病んでいると感じるのは、気のせいではないと思うのだけど…(2009.3.28)