タイトル 怪獣王子
放映年 1967〜68年
放映話数 全26話
生後10ヶ月で飛行機事故により両親とはぐれた少年、タケルが、恐竜プロントザウルスに育てられ成長する。ふとしたことから、実の両親、弟と再会。家族を守るため、兄弟同様に育った恐竜ネッシーとともに戦う

出演:及川広信、高森和子、野村光徳、野村好徳ほか。双子のタケルとミツルは本当の双子が演じた

「お〜ら〜」タケル少年とネッシー。なんだか、妙に彼の境遇に憧れた

 「お〜ら〜」と叫ぶと、やって来る恐竜ネッシー。そのネッシーとともにブーメラン片手に戦う少年、タケル。ネッシーとタケルの兄弟愛。育ての親のプロントザウルスの母性。実の親や兄弟との愛情と葛藤…そんなものを織り交ぜながら、タケルが人類の敵である鳥人や昆虫人間と戦って成長していく姿を描く。印象が強かったのは、子供心にタケルのように恐竜に育てられたいと思ったのかもしれない。まあ、うちの親なんて恐竜以上に怖かったけど(笑)
 昔からこうしたタイプの話が好きだった。<冒険ガボテン島>、<狼少年ケン>…無人島に流されたり、狼に育てられたり…非日常に憧れた。まあ、実際そんな目に合ったらどうかと思うが、想像の世界でくらい自分の頭で工夫しないと生きていけない世界にどっぷりと浸かりたかった。わたしの子供の頃には、そういうお話がたくさんあった。学研の科学と学習を購読していたが、掲載された子供たちが無人島に流される話が大好きで、何度も繰り返して読んだ。火を熾す方法、水を濾過する手段…そんなものに心躍らせた。(ああ、どうしてわたしは日本の、こんな貧乏な家に生まれたんだろう)と日々思っていたあの頃(笑)普通は、この先(素敵なヨーロッパのお金持ちの家に生まれたかった)と続くのかもしれないが、わたしの場合は真面目に(片目のジャックみたいな狼に育てられたかった)やら(ネッシーみたいな恐竜と兄弟みたいに育って、平和のために戦いたかった)なんて思っていた。お気楽である…
 本作は、昨年DVDが発売された。予算の関係で購入できなかったのが残念でならない。輸出を考え35ミリで撮っており(6話まで)、予算がかかりすぎたせいか、はたまた視聴率の関係か、56話の予定が26話で終了してしまったらしい。タケルとネッシーが唐突に火山島に帰ってしまったのはそんな理由だったのか…だって、昆虫人間は壊滅していないのだから。本作を製作した日本特撮株式会社は、この作品とともに生まれ消えていった。儚いことである(2003.2.23)