菅貫太郎さん、ここでは菅貫さんと呼ばせていただくが、いい俳優さんであった。ちょっと悋気で好色なバカ殿を演じたらこの人が一番であろう。「斬り抜ける!」で松平丹波守昌高という大バカ殿を演じていた。家臣の妻女である和泉雅子さん演じる菊に横恋慕し、その夫森千之助を斬るよう、よりによって親友である楢井俊平@近藤正臣さんに命じる。ああ、なんて非道っぷり(笑)そして、俊平と菊が手に手をとって出奔の後には、それを菊の義父と義弟(佐藤慶さん&岸田森さん)に追わせる…「斬り抜ける!」フリークだったわたしは菅貫憎しと思いつつも、なんかあの方のもつ独特のオーラにいつしか引き込まれていたのである
なんというか、普通じゃない(笑)どこか、変なのである。「新必殺仕置人」で将棋狂いの御家人を演じていたが、町中で散々あこぎな真似をするのに、詰め将棋が解けないと泣きそうな顔をして絵草紙屋に飛び込んできて、正八に「答えを教えてくれ、頼む〜〜〜」なんて必死の形相でお願いしたりする。「長崎犯科帳」でも、五人姉妹から命を狙われる悪逆非道の末次屋という商人を演じていたが、いざ、闇奉行に成敗されるときじたばたとして、(もう、菅貫さんたら・)なんて愛しさまで湧いてきてしまう(笑)わたしが菅貫さんの演じた役で好きだったのはコミカルな同心の役(ご存知!女ねずみ小僧)。でも、やはり(あんた!どっかおかしいじゃないの〜)と突っ込み入れたくなるプッツンなお殿様が一番だろう。事故で59歳で亡くなってしまったのが惜しまれてならない。狂気のバカ殿を演じられる方も少なくなってしまったなあ(2003.12.13) |
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