最後の銀幕の大スター、萬屋錦之介さん。ただいま、マイブーム中である。子連れ狼と長崎犯科帳を見ているせいか、毎日のようにお顔を拝見している。ぷくっとした容貌に、時にコミカルに、時に凄みを利かせ、それでいて決して軽くない演技。大スターとはなんと強いオーラを放つものだろうかと、感心しきりである。拝一刀もストイックで好きだが、長崎犯科帳の平松忠四郎や、破れ奉行の速水右近のように、酸いも甘いも知り尽くした男の方が好みである。メイクした錦之介さんのなんて奇麗なことか。また、彼の話す江戸弁の小気味よさ。キレのいい台詞廻しは感動ものである
昔は、渋い中村嘉葎雄さんの方が好みだったのだが、最近は錦之介さんに強く魅かれる。大輪に咲く花よりも野に咲く花が好きな体質(なにせ、脇役、悪役好き)だが、若い頃とは違い、華やかに咲く花の、表の姿だけでなく影も棘も感じることができるようになったからかもしれない。スターがスターとして生きられた時代…そのよき時代を感じさせてくれる。病魔に苦しみ、64歳でこの世を去られたのが残念でならない。そういえば、先日河原崎長一郎さんが亡くなったが、奇しくも錦之介さんと同じ64歳。<宮本武蔵>で、吉岡一門の林吉次郎を演じていた長一郎さんと、武蔵役の錦之介さんの場面を思いだし、胸が熱くなった(2003.9.27) |
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