タイトル 座頭市と用心棒
公開年 1970年
配給 東宝
座頭市と用心棒が対決する、シリーズ20作目。岡本喜八監督。まるで、ゴジラ対ガメラのような、時代劇界のヒーロー対決。脇役を固める役者も渋い!必見

出演:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、米倉斉加年、嵐寛寿郎、細川俊之、岸田森、神山繁ほか

美しい若尾文子さん。君はバロックだと求婚されたのが頷ける。おまけに九頭竜も描いたので、クリック

 シリーズ一番のヒット作となった本作、文句なしのエンターテインメントで面白い。そこはかとなく[用心棒]へのオマージュのようでもあり、しかしながらちゃんと[座頭市]でもある。黒沢作品よりずっと人間的な三船さんの用心棒(実は幕府隠密・佐々大作)は、若尾さん演じる梅乃に惚れていて、お勤めよりも女をとっちゃう。結構純愛っぽいし(笑)三船さんの用心棒(パターン)が女と色恋沙汰なんて、珍しい。この梅乃を真ん中に、市との三角関係(ただし、梅乃と用心棒に分があり)が面白い。時には味方、時には敵。それでいて、反目し合いながら、お互いどっか認め合ってもいる。最後の決闘場面なんか、ぐっとくる
 脇役も達者もの揃い。何といっても、三船さんを追いかけてくる隠密、九頭竜(跡部九内)の岸田さんがいい。しろ〜い顔にボサボサの頭。不気味な雰囲気を漂わせ、ぐいぐいと町を引っかき回していく。岸田さんに負けないくらいインパクトがあるのが「しぇんしぇ〜〜」の小仏の政五郎@米倉斉加年さん。この人も顔が白い(笑)実の親である、烏帽子屋弥助@滝沢修さんと骨肉の争い。用心棒にいいように金をせびられちゃう人のよさもある。じ〜っと見ていて思ったのだが、この役、リメイク(まあ、ないだろうけど)した時には、ぜひSMAPの草薙君にやって欲しい。なんだか妙に似ていると思うんだけど…また、五味龍太郎さん、神山繁さんなどなど、悪役図鑑にお出ましの方々も大活躍…というか、すぐ殺れちゃうけど(笑)草野大吾さんもいい味を出している(市とご飯を食べるシーンは笑えるぞ)
 岡本監督の時代劇はどれも面白い。「斬る」や近作の「助太刀屋助六」娯楽映画な作風で面白かった。わたしは、最後に救いがあるものが好き。本作もどこかハッピーエンドの予感があっていい。ご高齢でも意欲的な作品を撮られてきた岡本監督、惜しくも亡くなられた。科学忍者隊ガッチャマンの総指揮もやられていたっけ…何故に、ガッチャマン(笑)(2005.6.18)