タイトル 新選組!
放映年 2004年
放映話数 全49話
大河ドラマフリークを自称する、三谷幸喜が脚本を担当。若手俳優が今までにない新選組像を演じた。いろいろ時代考証やなんやと言われたが、私的にはここ数年の大河では一番面白い

出演:香取慎吾、山本耕史、堺雅人、藤原竜也、オダギリジョー、山口智充、沢口靖子ほか

土方歳三がばっちりはまった山本耕史さん。彼の皮膚感や雰囲気が本物の歳三に似ていると思った。素敵!

 先日、井上源さん(小林隆さん好演!)の死で、不覚にもダダ泣き。2004年の大河ドラマである本作も、残りあと4回となった。たぶん毎回泣ける。だって、この先、悲しい事ばかりだもの。滅びるものの哀れさ、惨めさ、悲しさをどう描いてくれるか、とても楽しみである
 実は、作者の三谷さんとは同じ歳(あ、バレちゃった・笑)。彼が印象に残った大河ドラマが「国盗り物語」と言った時、「あ〜、そうそう、わたしも!」と思わず声を上げた。たぶん、この人とは好きなものの感性が似ているはず。だから、きっと面白い物語を描いてくれると信じていた。三谷さんのいいところは、まったく素人が考えそうな事をどんどんやってくれること。たぶん、脚本のプロ(たとえばジェームス三木さんとか)だったらきっとやらなかったであろう、土方歳三の兄に栗塚さん、沖田総司が亡くなる植木屋の旦那に島田順司さんなってキャスティングを。そう、それこそ“ファンの視点”なのだ。ああ、三谷さん「燃えよ剣」とか好きだったのかな〜なんて嬉しくなるような。もちろん、三谷さんは劇作家としてはプロ中のプロなんだけど、われわれと同じような視点も持っているように思う。だから、彼の書くものは、どこか身近で、親しみやすいのだ
 本作では、ああ、若手にもいい役者はいるんだと実感できた。土方の山本さん。彼の泣きっぷりは素晴らしかった。山南や源さんを亡くした時の涙は、見ている側にもぐっときた。また、オダギリジョーさんの斉藤一。彼は寡黙で、一本気な斉藤を上手く演じていた。意外に永倉の山口さんも似合っていた。真面目で、情が厚く、それでいて賢さも漂わせ、男らしい永倉で、お笑いの方は芸達者だと実感。にやにや笑いの山南の堺さん、奇麗な総司の藤原さん、実直な源さんの小林さん…みんなみんな活き活きしていた。(あ、香取君もね)
 いつも大河ドラマでは史実がどうのと言われるが、いいじゃないの、ドラマなんだから。第一、そういう事を事細かに言う方だって、実際その時代を見てきたわけじゃなし。もしかして、江戸の町で近藤と坂本龍馬がすれ違ってたかもしれないじゃん。そんな想像をしてこそ、歴史は楽しいのだから(2004.11.20)