タイトル 座頭市血煙り街道
公開年 1967年
配給 大映
勝新太郎主演のシリーズの17作目。殺陣では定評のある<素浪人>近衛十四郎をゲストに迎え、チャンバラの素晴らしさを教えてくれる傑作

出演:勝新太郎、近衛十四郎、朝丘雪路、高田美和ほか。監督:三隅研次

近衛さんの目は不思議な色だ。絵のように青くはないけど、淡い奇麗な瞳をしている

 雪の中の勝さん@座頭市と近衛さん@浪人赤塚多十郎の決闘シーンを見た後、思わず呟いた。(か、買ってよかったなあ、このDVD…)。この場面を見られただけでも、お金を払った甲斐があるというものである。それほど、この二人の立ち合いは素晴らしかった。近衛さんが市に背中を向け、斬られそうになったのを、ばっと背中でその一太刀を受ける場面などぞくぞくした。画面を通して気合いが伝わってくる。いや、いいものを見させていただいた。こんな立ち回り、今どき誰ができるだろうか?チャンバラ映画の醍醐味を堪能できる
 角川大映が出したこの座頭市シリーズのDVDは偉い。すべてデジタルリマスターされ、色合いが美しく、画像もクリアだ。昔のフィルムをそのままDVD化し、<当時の風合いを生かした>と開き直っている某時代劇老舗映画会社とは大きな違いである。松竹も東宝も最近時代劇をDVD化しているが、その某映画会社は素晴らしいコンテンツを持っていながらDVD化する気が見られない。もし、自分にえらい財産があったら、そのフィルムを買い取って、デジタル化し、リマスターして後世に残したいくらいだ。そんなお金はないけれど…(涙)
 北野監督が座頭市をリメイクし、DVDが発売されたこともあり、ニューヨークの大手CDショップで<座頭市祭り>など開催されていたらしい。ヨーロッパ人は小津監督や溝口監督が好きだが(イタリアに住む友人によると北野監督も人気らしい)、アメリカ人は黒沢監督、ゴジラに座頭市が好き(笑)だからこそ、本作をリメイクして「ブラインド・フューリー」(1989年・ルトガー・ハウワー主演)なんて映画まで作ってしまった。「荒野の用心棒」や「荒野の七人」など黒沢監督のリメイク作品がヒットしたし、「これってジュラシックパーク?」みたいな「ゴジラ」までリメイクされている。アメリカ人の友人で、それらの作品(オリジナル)を見ている人も多い。余談だが、NYのタワーレコードで「ブラックレイン」のビデオが発売されたころ。店頭のディスプレイを見て奇妙な気がした。そう、「ブラックンレイ」となっていたのだ。滞在中、ずっとそのままだったが…誰か指摘してくれただろうか…と帰ってきてからもずっと気になった(2003.12.5)