タイトル 子連れ狼
放映年 1973年・1974年・1976年
放映話数 全26話・全26話・全26話
小池一夫&小島剛夕作の漫画をドラマ化。萬屋錦之介が冥府魔道を生きる刺客、元公儀介錯人拝一刀を演じ、新境地を開く

共演:西川和孝、佐藤たくみ、高橋幸治、西村晃、佐藤慶ほか

他にスペシャル(1984年)1本がある
眉毛を塗りつぶし無表情に徹した錦之介版拝一刀。もみあげも長いぞ

 子供の頃、苦手な時代劇が本作と座頭市であった。父親はよく見ていたが、泥臭い感じが個人的嗜好に合わなかったのか、避けて通っていたようである。食わず嫌いである。現在、子連れ狼祭りでは、萬屋錦之介版子連れ狼をTVシリーズからスペシャルまで完全放映と銘打って、放送中である。大人になって見ると、じつに面白い。荒唐無稽な部分もあるが、話しが練れている。少し前、北大路欣也さん主演で子連れ狼が復活し、大五郎役の子役があまりに可愛いので見ていた(2003年8月現在も第二シリーズが放映中である)北大路版もそれなりに面白かったが、本家錦之介版はもっと面白い。何せ、悲惨(笑)彼ら親子に関わる者は死ぬ確率が高いのである。それに、北大路さんはいい人に見える。錦之介版拝一刀は、できればお友達になりたくないタイプだ。北大路さんなら話を聞いてくれそうだが、錦之介さんはじろりと睨まれ、無視されるくらいであろう
 柳生列堂はシリーズごとに三人の方が演じている。かめ夫がお薦めなのは高橋幸治さん(第一部)。わたしは西村さんも好きだけど、最終シリーズの佐藤慶さんに期待している。佐藤さんは<斬り抜ける>で近藤正臣さんと和泉雅子さんをひたすら追った舅を演じていた。これがすごくよかったのである。最後に過ちに気が付き、藩主に斬り込み、息子である岸田森さんに殺害されるという役。幾多の矢を浴びながら、斬り込む迫力は列堂にピッタリ。いまからわくわくしている。そう言えば、列堂の息子、軍兵衛を南原宏治さんが演じていた
 第一、第二部の大五郎役の方が、いまや修羅の道へいってしまったかと思うと…人間、何がおきるか解らないものである。もし、錦之介さんが生きておられたら、どれほど嘆き悲しんだであろうか…彼がこれから罪を償おうとも、亡くなった方は還らないのである。作品としての本作を楽しみながら、被害者のご遺族の心中を慮るのは矛盾しているのかもしれないが…切ないものである(2003.8.9)