タイトル 江戸を斬る・梓右近隠密帳
放映年 1973年
放映話数 全26話
家光の異母弟であり、保科肥後守の双子の弟、梓右近。将軍のお墨付きをもらい、悪を退治に江戸の町を行く。山下毅雄の音楽がまたいい

出演:竹脇無我。松坂慶子、片岡千恵蔵、大阪志郎ほか

捕物小町の榊原るみさん。気になる嫁さんといい、まったく可愛かった

 西郷版江戸を斬るの後に、梓右近をもってくるとは、時代劇専門チャンネルもなかなかである。本作も再放送が少ない作品の一つ。西郷版江戸を斬るも、奉行&水戸家の姫様という組み合わせで(後ろには水戸斉昭&千葉周作がいる)悪を退治していたが、本作の方がバックアップが万全である。なにせ、主人公の右近は将軍様の実の兄弟で、大久保彦左衛門に育てられ、剣術指南は柳生宗矩。葵の御紋入りの短刀を所持し、老中、若年寄まで介入してもいいとのお墨付き。北町奉行を手下のように使い、悪を討っていく。向かうところ敵なしである
 本作はキャストも豪華(人数が多いので敬称略)。主役の右近は当時美男子で売れっ子だった竹脇無我。右近を慕う柳生宗矩の息女に初々しい松坂慶子(でも、おゆきさんの時の方が奇麗かな)。大久保彦左衛門に片岡千恵蔵御大、将軍家光に長谷川哲夫、北町奉行に中村竹弥、柳生宗矩に志村喬、柳生十兵衛に若林豪…他にも大阪志郎、高橋元太郎、加藤大介、神山繁、松山英太郎&松山省二兄弟、奇麗どころに榊原るみ、鮎川いずみ…そして、右近の敵、由井正雪に成田三樹夫…成田さんの由井正雪が怪しくってまたいい。妙な髪形もチャーミングである
 山下毅雄さんの音楽がまた素晴らしい。この方は言わずと知れた<旧ルパン>の音楽担当。山下調のメロディーが染みついたわたしにはツボにはまる、はまる。エンリオ・モリコーネのように、どこか物悲しいのがいい。こう、胸に染み入る感じなのだ。<鬼平犯科帳>もよかったしなあ〜再認識である
 それにしても、何故本作は1シリーズのみで終わってしまったのだろうか?遠山金四郎の方が描きやすいのはわかるのだけども…設定が西郷版江戸を斬るにダブっていたりして、続けて見ると発見があって面白い。三代将軍家光の時代は、まだ戦国時代の名残で武家にも気概があった時代である。<隠し目付け>梓右近の活躍を楽しみながら、この世の憂さばらしをするのである(2003.7.10)