タイトル 大江戸桜吹雪・八千両の舞
放映年 1981年
放映話数 全1話・長編
杉様が遠山の金さんと駒形の新五の二役を演じた、ファンにとってはたまらないスペシャル。ちゃんと別人に見えるから、杉様、凄い。これで味をしめたのか、鼠小僧と新五の二役を演じた<春姿ふたり鼠小僧>(1982年)もある

共演:江利チエミ、高松英郎、淡島千景、岩井半四郎、北村総一朗ほか

微妙に左右の眉毛の書き方が違う杉様。桜吹雪も墨が多く、渋めだ

 仕事を初稿に出し、ちょっと手が空いたので録画したDVDの整理をして、再度見てしまった杉良太郎(すごい!ご自身の冠名付きだ)時代劇スペシャル<大江戸桜吹雪・八千両の舞>。なにせ、杉様が駒形の新五と遠山の金さんを演じるのだから、面白くないわけがない。京都からやてきた宮家の姫宮(淡島千景さん。姫宮という割にはおばさんチック)の正体、法親王の寄進金八千両を横取りする高家、そんな絡み合った糸を熱血新五と、クールな金さんが解決していく。杉様がエライのは、ちゃんと同じ画面にいても互いのキャラが立っているところ。新五は真面目一徹、学はないが、持ち前の熱血正義感で突き進む直情型の岡っ引き。金さんこと遠山左衛門尉は、遊び人を装っても、そこはかとなく漂う品のよさと、冷静な判断力。まあ、この二人がタッグを組んだら敵無しである
 立ち回りでも、新五は得意の柔術でばたばたと敵を投げ捨て、金さんは背筋をぴしっと伸ばし、刀でばさばさと敵を峰打ちに倒していく。金さんが入れ墨を見せたとき、新五がぎょっとした顔をするところなんぞ、芸が細かかったな〜。(こいつには入れ墨まであったのか〜…ってな顔)
 本作では江利チエミさんが宮姫の付き人、実は姫宮の妹で島帰りの盗人を演じていた。三人娘の中では一番好きだったのだ、チエミさんが。わたしの自慢は、うんと子供の頃、新宿コマ劇場で「サザエさん」を観たということ。ただし、あまりに幼かったので記憶がほとんどないのだが、ナマ森川信さんの波平さんと、元気溌剌舞台を駆けるチエミサザエさんだけは覚えている。子供心にもインパクトがあったのだろう。それから、相変わらずの濃い眉毛の高松英郎さん演じる高家の家臣を演じた北村総一朗さん。いまや、スリーアミーゴズとして人気の熟年の星だが、この頃はなんだか、神経質そうで嫌な感じの役が多かった。スリーアミーゴズ、普段も付き合いがあるらしい。三人で小田急線に乗っていたそうな。そこに乗りあわせた方はラッキーだな〜。何はともあれ、お楽しみいっぱいのスペシャルに相応しい作品であった。(2003.8.13)