タイトル 付き馬屋おえん事件帳(1,2,3)
放映年 1990年・1993年・1996年
放映話数 全12話・全12話・全13話
南原幹雄原作。表向きは仕出屋の女将、裏は吉原の付き馬屋おえんが、悪人にきっちりけじめをつける。他にスペシャルが2本制作されている。SMAPの草薙剛の丁髷姿が見られる珍しい作品

主演:山本陽子、山城新伍、宅麻伸ほか

決めのポーズのおえんさん。胸のすくキメ台詞がぐっとくる

 時代劇は様式美である。立ち居振る舞い、殺陣、そして、お決まりのパターン。場面場面でびしっと決めてこそ、美しい。本作は見ていると、その解りきったラストに知らず知らず引き込まれるのである。吉原の遊び代を客が踏み倒し、店から依頼されたおえんが取り立てに乗り出す。無論、すぐ払ってくれれば話にならない。借金をした客が極悪人だったり、あるいは罠にはめられた側だったり…おえんと、その手下(板前の新五郎、又之助と下働きの浜蔵)が調べていくうちに何やら事件の香りが…最後には乗り込んでいき、又之助、浜蔵を従えたおえんが一言。「斬ったはったは家業じゃないが、喜の字屋おえん、けじめつけさせてもらいます」。く〜〜っ恰好良い!おえんが一人で乗り込んでいったようでも、すっと障子が開くと又之助、浜蔵がひかえて、さっと女将さんを庇うように左右につく。又之助(宅麻伸さん→小西博之さん→尾美としのりさん)は仕置人の鉄つぁんも真っ青な怪力男。ばきぼきっと相手をねじ伏せる。浜蔵(黒田隆哉さん→丹野由之さん)は下働きながら棒術の達人。そして、板前の新五郎。腕に入れ墨があり、無頼の暮しを送っていたが、おえんの父親に拾われ気質に。おえんを<お嬢さん>と呼び、陰から支える。これがめちゃめちゃ強い。山城新伍さんが演じるが、これって一番美味しい役かも(笑)なにせ恰好良い
 おえん演じる山本陽子さん。妖艶な感じが素敵。男を断っての付き馬屋家業。女友達とのたわい無いお喋りの場面が、裏の顔の凄みを増幅させる。この方、どうも不幸な影がある。男縁がないというのか…噂になった方が二人も自殺してしまった。無論、彼女のせいではないが、どこか不幸せな影を見てしまう
 本作のシリーズ3番目、初回と2回はスペシャルで、SMAPの草薙くんがゲストだった。島津藩の嫡男で、嫁をもらう前に女の扱いを習うため、吉原の太夫を借り切っての手ほどき。太夫は緒川たまきさん。すっかり太夫にまいった剛若殿は陰謀に巻き込まれ、おえんたちの手によって助けられる。最後は…ハッピーエンド。江戸時代のおとぎ話のようなかわいいお話だった。剛君、ちょんまげ、結構似合っていたな…(2003.4.3)