タイトル 佐武と市捕物控
放映年 1968〜69年
放映話数 全52話
アニメながら夜の9時から放映されていた異色作。りんたろうが総監督、また、監修に時代劇監督松田定治が名を連ねる

声の出演:富山敬&井上真樹夫(佐武、途中で交代)、大宮悌二(市)、武藤礼子、北浜晴子ほか

渋いアニメだった佐武と市。木曜の夜9時、大人の時間に放映されていた

 子供の頃、我が家はTV見放題だった。というより、親がTV好きだった。本作も、夜の9時からの放映だというのに、父親と並んで見ていた記憶がある。モノクロの画面に描き出される江戸の街。居合切りの達人、按摩の市と若い下っ引き佐武が悪に立ち向かう。「罪は憎いが憎まぬ人を、斬るも縛るも人の為。闇を切り裂く男意気、おぼろ月夜の佐武と市」。渋い…渋すぎる…「市やん」「佐武やん」と呼び合う二人の友情。江戸の底辺で苦しむ人のため、二人は命を懸けて戦う。涙あり、人情ありの、なまじの実写の時代劇より<時代劇らしい>アニメであった
 佐武の声を演じていたのは富山敬さん。途中、確かご病気で井上真樹夫さんに替わられた。古代進VSハーロック。雰囲気がだいぶ変わった覚えがある。市役の大宮悌二さんは渋い声のお方。若々しい佐武との対比がベストマッチだった。井上さんとは以前親しくさせていただいたが、わたしの<井上真樹夫の原点>はこの佐武役だった
 本作は制作をスタジオゼロが行っている。藤子不二雄さんや石森章太郎さんなどの人気漫画家がアニメ制作のために設立されたプロダクションである。<レインボー戦隊ロビン>なども制作している。演出につのだじろうさんや鈴木伸一さん(あの、オバQの小池さんのモデル)の名前もある。趣味でやっていたような会社なので1971年に解散してしまった。人気漫画家ゆえにビジネスでは上手くいかなかったということか…
 いま、時代劇専門チャンネルでは<サスケ>に続いて<忍風カムイ外伝>が放映中である。アニメとはいえ、時代劇。劇中、地上波では放映できない台詞も多い。カムイのあとは、ぜひとも<佐武と市捕物控>を…と、密かに時代劇専門チャンネルの掲示板に書き込む今日この頃である(ちなみに、実写では若くて格好良かった三浦友和さんと、ちょっと太り気味な梅宮辰夫さんの2時間スペシャル版(1981〜92年、計4本)がある。これも、なかなか面白かった)(2003.3.17)