タイトル 痛快・河内山宗俊
放映年 1975〜76年
放映話数 全26話
勝新太郎が、悪名高い御数寄屋坊主、河内山宗俊をただ悪いだけではない好漢として演じる。兄の若山富三郎も遠山の金さんで出演。ゲストも石原裕次郎など豪華キャスト

共演:草笛光子、桃井かおり、原田芳雄、大滝秀治、山村聰、ヒデ、火野正平ほか

福耳だなあ〜勝新太郎さん。この絵、お兄さんに似てしまった気がするのは気のせい?

 勝新太郎さんはパンツに麻薬を隠し持ち、知らない間に入っていたと言い放った豪の者である。妙なおやじだな〜くらいにしか思わなかったし、黒沢監督ともめて<影武者>を降板したときも、あの人ならやりかねんと思った。どちらかというと、兄、若山富三郎派だったわたしには、つまり、そういう印象が強かった。まったく愚かなことである。勝新太郎は<天才>だったのだ。彼の映画や、TVを見るたびにその思いは強くなっていく。<忠臣蔵>の赤垣源造の役もよかったし、<座頭市と用心棒>では三船敏郎さんや岸田森さんという、わたしには涙ものの共演者と実に楽しそうに座頭市を演じていた。コミカルな演技はさすがで、男は黙って…の三船さんと絡むと、これがまたいい味を出している
 本作も勝新太郎という役者の何とも言えぬ色気が漂っている。悪の代名詞のような河内山宗俊を、ただの悪坊主ではなく、時には人のために一肌脱ぐ男として描いている。もちろん、ゆすりやたかりは日常茶飯事。その小悪党ぶりが、正義へと変わったとき爽快感を呼ぶ。レギュラー人も曲者ぞろいで、ゲストも豪華。石原裕次郎さんまで登場である(第16話)。監督も、これが遺作となった三隅研次監督、必殺でお馴染の工藤栄一監督、大魔神の森一生監督、そして勝新自らも3本メガホンを取っている
 今さらながら、勝新版<影武者>が消えてしまったのは残念である。仲代さんが悪いというのではなく(<斬る>や<用心棒>の彼はとてもいい)、勝新が演じる<影武者>が見たかったのだ。たぶん全然テイストが違うだろう。まだまだ彼の作品で見ていないものも多い。楽しみながら旧作を発掘しよう(2003.2.9)