タイトル 右門捕物帳
放映年 1969〜70年
放映話数 全26話
佐々木味津三原作、無口なことから<むっつり右門>と異名をとる切れ者同心近藤右門を若き日の中村吉右衛門が演じた。右門が寡黙な分、脇役が左とん平、三波伸介など賑やかなメンバー。鬼平以前の吉右衛門を堪能できる

共演:入江若菜、曽我廼家一二三、江守  徹、宇津宮雅代ほか

鬼平となる前の吉右衛門さん。すご〜く痩せている。懐手でいつも顎を撫でていた

 <右門捕物帖>は嵐寛寿郎さんや大友柳太郎さんが映画で演じていた人気シリーズである。TV版では中村竹弥さん(1957〜58年)、黒川弥太郎さん(1962年)、そして杉良太郎さん(1974〜75年)が近藤右門役であった。杉さま、右門の時眉毛が太くて、なんか妙な顔だったな。それより前に出演されていた<大江戸捜査網>の十文字小弥太より三割は男振りが落ちていた。彼はほっそりした眉が似合うと思うのだが…
 鬼平犯科帳で鬼平を演じるだいぶ前、若々しい吉右衛門さんが右門を演じている本作。左とん平さんが「だ、だんな〜右門の旦那」と駆け込んできて事件が始まる。そこにライバル(自分がそう思っているだけだが)の三波伸介演じる同心と、その小者の岡っ引き曽我廼家一二三さんが絡み、話はすすんでいく。右門@吉右衛門さんは懐手で顎を撫でるお決まりのポーズで、じっと何かを考えている。その間、賑やか三人組が、事件をあれこれ引っかき回し、最後に右門がぴしっと決め、大団円…いかにも描いたような痘痕顔の三波さんが、非常にイイ味を出している。こういう憎めないキャラが残酷な事件を緩和してくれるのだな。もう一人の三波(春夫)さん@ルパン音頭の唄う主題歌も味わい深いものがある(師走になると三波先生の<俵星玄蕃>が聞きたくなる)
 それにしても、この右門。羽織には家紋でなく、丸に<右>の字が描かれていた。右門だから<右>…なんか、妙に可笑しかったなあ。それに、羽織もただの黒羽織ではなく、襟と袖口が別布で模様なども入っている。赤穂浪士(1979年)で田村正和さんが演じていた堀田隼人も、襟と袖口が白地に模様が入った布で、他は黒一色の着流しを着ていたっけ。時代的なものなのだろうか?(池波先生の<編笠十兵衛>にそれに近い記述があった)そういう風俗も見ていると面白い