タイトル 若さま侍捕物帳
公開年 1956〜62年
製作本数・配給 全10作・東映
城昌幸の原作を大川橋蔵主演で映画化。監督は深田金之助(5作)、小沢茂弘、沢島忠(2作)、佐々木康、松田定次。<若さま>は葵新吾(新吾十番勝負・二十番勝負)と並ぶ東映時代劇映画における橋蔵の当たり役。華麗な殺陣と、美しい姿にうっとりとしてしまう

共演:星美智子、長谷川裕見子、桜町弘子、花園ひろみほか

先日見た<新吾十番勝負>があまりにも美しかったので絵を入れ替え。これは葵新吾です

 <銭形平次>に続いて、大川橋蔵さんの作品を取り上げてみた。東映黄金期のスターさん達のなかで好きなのが、大友柳太郎さん、萬屋錦之助さん、そしてこの橋蔵さんだ。銭形平次というよりは、華麗な若さまのイメージが強い。映画の橋蔵さんを見たとき、あんまり奇麗でうっとりしたものだ。こういう王道タイプに心魅かれるのは珍しいのだけれど(笑)
 銭形平次が終了したその年に、彼は亡くなってしまった。享年五十五歳…若すぎる死である。銭形平次撮影中からずっと具合が悪く、入退院の繰り返しだったようだが、最後の入院の時、「おれの命はあと三日だ」と急に言いだしたそうだ。その言葉通り、三日後に彼は亡くなった。棺には平次親分の十手と投げ銭が入れられた。
 橋蔵さんの作品で印象深いのは、大好きな<忠臣蔵>の岡野金右衛門 。きら星のごとく出演されているスターの中でも、控えめで、それでいて凛々しい金右衛門を演じていた。片岡千恵蔵御大、市川歌右衛門御大、大友柳太郎さんなど、顔も芝居も濃い方達の中において、橋蔵さんははメイクは濃いが(笑)さっぱりとしている。
 そういえば、橋爪淳さんを時代劇で初めて見たとき、(うわ〜、橋蔵さんに似てるなあ…)と思った。確か、噂で橋蔵さんの隠し子などと、まことしやかに流れていたっけ。1982年に美空ひばりコマ劇場公演出演二十周年記念ミュージカル相手役公募で選ばれ、デビューしたらしい。ひばりさんは橋蔵さんと仲が良かったそうだ。面ざしが似ていた橋爪さんに、何か魅かれるものがあったのだろうか。<御宿かわせみ>の東吾役も素敵だった。その橋爪さん、里見浩太朗さん@水戸黄門において柳沢吉保を演じている。橋蔵さんは亡くなるまでヒーローを演じていた。庶民の味方、銭形平次。時代劇専門チャンネルで毎日お目にかかれる。幸せな時代である