タイトル 銭形平次
放映年 1966〜84年
放映話数 全888話
村胡堂原作、大川橋蔵主演の長寿番組。<水戸黄門>に抜かれるまでは、時代劇で最も本数の多い作品だった。現在、時代劇専門チャンネルで888話、全話放映中。近年、北大路欣也主演の<銭形平次>も製作された(1990〜98年)

共演:八千草薫、香山美子、林家珍平、遠藤辰雄(現・太津朗)ほか

三輪の親分こと、遠藤太津朗さん。橋蔵@平次が生きるのもこの人あってこそ

 <お〜とっこだったら〜>の舟木一夫さんの歌で有名な銭形平次。着メロもあるもんな。大川橋蔵さんが岡っ引きとは思えない美しいお姿で奮闘している。わたしが見ていたころの女房、おしずは香山美子さん。時代劇専門チャンネルで八千草薫さん@おしずを見て、あまりの可愛さにびっくり。さすが、宝塚…奇麗だなあ
 本作では何と言っても林家珍平さんの八五郎と、三輪の万七親分こと遠藤太津朗さんがいい。この二人の、ちょっとおっちょこちょいで、それでいて憎めないキャラクターが本作の味わいを深めている。遠藤さん、いいなあ…悪い役やっても、ぜったい憎めないもんな。先日、<三匹が斬る>にもご登場になっていたが、やはり悪役で斬られてお果てになっても、どこか憎めないキャラだった。たこの作ったイカサマ精力剤飲んで、眼がらんらんとしていた様が可笑しかった。可愛げがある方である。1928年生まれの、御年74歳。まだまだ、お元気で、現在もよく舞台にお出になっている。三輪の親分がいるからこそ、平次親分の頭のキレや、推理が引き立つ
 よく三輪の親分は平次に嫌みを言ったりするが、それでいて、平次親分は三輪の親分を立てている。その辺が昔の作品ほど、奥ゆかしくてよい。中村吉右衛門さん主演の<右門捕物帳>を見たときも、三波伸介演じるイヤな年上の同僚に対し、非常に丁寧で、また敬意の念を示していた。それがとても心地よかった。最近の作品では、そういう相手に対してあからさまに馬鹿にしたり、からかうような表現をしたり、どうも気にくわない。現代の風潮がそうなのかもしれないが、出来れば時代劇の<空想>の箱のなかでは、日本人のもつ美しい面を描いて欲しい。細やかな情愛、人情、人様に対する義と忠、悪に立ち向かう正義…そんなものが時代劇には生きている。だからこそ、わたしは、時代劇を愛する