タイトル 剣客商売(藤田まこと主演版)
放映年 1998年
放映話数 全10話
池波正太郎の三大シリーズの一作。本作以外に1973年、山形勲&加藤剛主演(全22話)と、1982、83年に中村又五郎&加藤剛のコンビの長編スペシャルが二本製作されている

共演:渡部篤郎、大路恵美、平幹二朗、小林綾子ほか

Part2(1999年)全11話
Part3(2001年)全5話
四谷の弥七を好演する三浦浩一さん。鬼平の密偵、伊三次共々いい味出してます

 池波正太郎さんの代表作「鬼平犯科帳」、「仕掛人・藤枝梅安」、そして「剣客商売」。わたしが初めて池波作品を手にしたのは「剣客商売」であった。その面白さにすっかりはまり、あっというまに文庫本を揃え、読みまくった。繰り返し読んでも面白い小説に久しぶりに出会い、学生時代以来の読書に没頭した
 池波さんの本は映像にも多くなっている。鬼平、梅安はもとより、本作も幾度か映像化されている。近年も藤田まことさん主演で放映され、すでに第三シリーズまで放映。そして、現在新作が撮影されている(放映は未定。西田健さんもご出演されている。放映は横長のスタイルで行われるようである<御家人斬九郎>の最終話のようなスタイルか?)
 本作でのお気に入りは、四谷の弥七の三浦浩一さんと、傘屋の徳次郎の山内としおさんのコンビだ。小兵衛の手となり足となり動くこの二人、原作でもいい味を出しているコンビである。弥七と小兵衛は剣術の師弟でもあり、お互いが信頼しあっている。また、傘徳こと傘屋の徳次郎は心根のきれいな男で、弥七の片腕としてお上の御用に働いている。そんな二人を三浦さんと山内さんが上手く演じている
 話のまとまりも、映像的にもよく出来ている作品だが、<鬼平犯科帳>のような面白みに欠けるのは主役の差だろうか。秋山小兵衛と藤田まことさんがどうもひとつにならない。わたしのイメージは中村又五郎さんなのだ。小柄で、飄々として、上品。藤田さんは時代劇だとどうしても中村主水のイメージが強すぎる。当たり役を得た役者の泣き所だろう。若い嫁をもらった生々しさは出てるけど(笑)
 ちなみに山形版の傑作「まゆ墨の金ちゃん」の財津一郎さんの金ちゃん、可笑しくって必見である