タイトル 鬼平犯科帳・雨引の文五郎
放映年 1990年(第二シリーズ)
放映話数 全21話
中村吉右衛門主演の人気シリーズ。犬神の権三郎を峰岸徹が好演。「小柄な、まことに不格好な体つきで、その矮躯の上へ、体の半分はあろうとおもわれる大きな顔が乗っている」文五郎。濃い顔が大きく見えるのか、そんな印象

●鬼平犯科帳・犬神の権三郎(1994年)第五シリーズ

<濃い>のである。父が近衛十四郎さん、兄が松方弘樹さん…一家揃って<濃い>血筋のようだ

 実写版ルパン三世「念力珍作戦」というカルトな映画をご存知だろうか?目黒祐樹さんはルパンを実写で演じた貴重な方である。ちなみに次元は田中邦衛さん、銭形警部は伊東四朗さんだった。地元の映画館で、何故か「日本沈没」と二本立てで(ロードショー時は「ノストラダムスの大予言」が併映)、どちらもインパクトが強い映画だった。体毛の濃さといい、雰囲気といい、目黒版ルパンはけっこうイイ線いっていたように思う
 鬼平犯科帳で雨引の文五郎のエピソードが二本ある。それをどちらも目黒さんが演じている。どちらかというと、「犬神の権三郎」の印象の方が強い。たぶん、文五郎が昔の仲間と長谷川平蔵の両方に義理立てし、悲劇的な結末を迎えるからだろう。峰岸徹さん演じる権三郎がど〜しょうもない奴なので(こういう役は本当に上手い)文五郎の真面目さがさらに引き立ち、彼の義理と人情(原作の方がもっと理由が簡素で、こちらの方が好きなのだが、本作もよくまとまっている)の狭間で揺れる気持ちがよく表現されている
 実は、どうしても目黒祐樹さんが描きたくなったのだが、たとえば「弥次喜多隠密道中」などの主役を張られていた作品はあまり再放送もされていないので記憶がさだかではない。で、困ったときの「鬼平犯科帳」となったのだが、鬼平はこれで三本目、それも人選が我ながら偏っているかも…と思っている
 父の近衛十四郎さんが素浪人シリーズを演じたのは五十歳を過ぎていたと思う。ぜひ、酒徳利を片手に、長い刀を落ち指しにし、コミカルな素浪人を演じてもらいたい。途中下車の旅もいいけど、時代劇にもぜひ…(2002.8.25)