タイトル クレージーの殴り込み清水港
公開年 1970年
配給 東宝
クレージー映画30本の中に時代劇が4本ある。監督はそれぞれ古沢憲吾、山本嘉次郎、坪島孝(清水港2作とも)。時代劇でもクレージー大爆発である

●ホラ吹き太閤記(1964年)
●花のお江戸の無責任(1964年)
●無責任清水港(1966年)

植木さんこそ日本が誇るエンターテナーである

 「いっちょ、ぶわ〜っとやるか〜」ってな感じで元気大爆発なクレージキャッツ映画。多数制作された中に時代劇も4本ある。時代劇といっても、そんじょそこらの時代劇ではない。ノリノリに歌って踊るのである
 「ホラ吹き太閤記」では、木下藤吉郎の植木等さんが「銭のない奴は俺ンとこへ来い〜俺もないけど心配するな〜」と歌う。藤吉郎がそう歌うことが深いのだ。後の秀吉こと藤吉郎は、百姓から這い上がって天下を取る男である。この歌の通り人心を掌握し、上り詰めていく。なんたって、「そのうちなんとかな〜る〜だ〜ろ〜お〜」である
 次の「花のお江戸の無責任」は、なんと「三大怪獣・地球最大の決戦」と併映である。ゴジラ・モスラ・キングギドラにクレージーとなれば、正月早々無敵である。植木さんは助六、ハナ肇さんが幡随院長兵衛を演じ、落語や歌舞伎のモチーフを鏤め、名匠山本嘉次郎が監督をした。山本監督といえばエノケン映画の監督である。「ホラ吹き太閤記」の古沢監督のノリノリさと違って、古典的な味わいがある
 「無責任清水港」は次郎長一家のパロディ。植木さんは追分三五郎というヤクザで、ひょんなことから牢屋で森の石松(谷啓)と知りあい、次郎長一家とかかわっていくという設定。脇役が笑える。平田昭彦、土屋嘉男、沢村いき雄、田崎潤、黒部進って東宝特撮オールスターだ!この作品は4年後続編も制作された
 今の世の中、暗いことやいやな事が多いが、クレージーの映画を見ると不思議とパワーが出てくる。なにせ、時代が高度成長期、ニッポンが元気だったころの作品だからだろうか?東宝さん!クレージー映画、早くDVD化してください!お願いします(2002.8.2)