タイトル 素浪人・月影兵庫
放映年 1965年・1967〜68年
放映話数 全26話・全104話
近衛十四郎主演の痛快旅物時代劇。素浪人シリーズではこの後、「素浪人・天下太平」があるが、焼津の半次(品川隆二)が出ているのはこの二シリーズ

●素浪人・花山大吉(1967〜68年)全104話

底抜けに明るい品川隆二さん。ちょっと鼻の穴を膨らませて話すのが好きだった

 時代劇のキャラクターで誰が好き?と問われたら、どう答えるだろう。「鬼平犯科帳」の小房の粂八、「雲霧仁左衛門」の木鼠の吉五郎、山田藤兵衛…いや、「破れ奉行」の速水右近か、「燃えよ剣」の土方歳三か、「三匹の侍」の桜京十郎か…迷いはするが、私が最後に選ぶのはこの名前、<焼津の半次>である
 武骨な近衛十四郎演ずる素浪人・月影兵庫 OR 花山大吉と、キュートで憎めない渡世人、焼津の半次という絶妙なコンビのロードムービー的時代劇…子供心に楽しい時代劇だった。なにせ、月影兵庫は猫が嫌い、半次は蜘蛛が苦手で、あの二人の「ね、猫。俺は猫は駄目なんだ」、「く、く、くも〜」という驚いた顔が大好き。ことに半次役の品川隆二さん。素顔はえらい二枚目(なにせTV版「忍びの者」である)なのに、おもいっきり顔を崩してのけ反ってくれる。旧シリーズのルパン三世、「魔術師と呼ばれた男」で、ルパンが胼胝を見て驚いた顔をしていたが、それを見て<焼津の半次>&蜘蛛の取り合わせを思いだしたのは私だけではないはずだ
 先日、時代劇専門チャンネルで放映されたのは「素浪人・天下泰平」。これには<焼津の半次>は出ていない。掲示板に私も書き込んだが、近衛版月影兵庫と花山大吉の放映を願っているファンはたくさんいる。みんな、あの半次の「だ、だんな〜」が聞きたいのだ。可笑しくて、ちょっとホロっとさせて、のんびりとしたあの味わい。最近の時代劇にはない、独特の雰囲気がある
 品川隆二さんは、現在も時代劇などにたまにご出演されている。先年も「暴れん坊将軍」に出ておられた。それと、彼は作詞家でもある。鳥羽一郎さんの<彼奴(あいつ・男の挽歌>を作詞されている。<焼津の半次>フォーエバー、である(2002.7.6)