タイトル 妖怪大戦争
公開年 1968年
配給 大映
大映お得意の特撮時代劇。監督:黒田義之。<妖怪百物語>(1968年)に続いて制作された。バビロニアの古都、ウル遺跡より吸血妖怪ダイモンが何故か日本にやって来る。外国の妖怪に好き勝手はさせないと、日本古来の妖怪が力を合わせ迎え撃つ…<東海道お化け道中>(1969年)もある

出演:青山良彦、川崎あかね、内田朝雄、神田隆ほか

お気に入りは大活躍のカラ傘お化け。チームリーダーは油すまし(何故か関西弁)だ

 わたしは<妖怪百物語>と<妖怪大戦争>は映画館で見た(えっへん!)と言っても、地元の二番館。併映作品はロードショウとは違っていたし、みた年も違うと思う。確かこのどちらかの作品の時だ。上映中に後ろの扉が開き、係員が大声で呼び出しをかけた。「●●さ〜ん、おうちが火事です。至急、ご自宅にお戻りくださ〜い」……係のおばさんの意外に冷静な声と、おうちが火事という事実に、子供心に世の無常を感じたものである。で、ふと、画面を見ると油すましのアップ(笑)(●●さん…どうしたかなあ)と思いつつも、また映画に没頭してしまった
 大映は東宝には及ばないものの、かなり特撮ではがんばっている。ガメラを筆頭に、大魔神、そしてこの妖怪もの。角川が大映を買収したが、本作はリメイクされるらしい。監修に水木しげる先生をお迎えして。平成ガメラは、平成ゴジラを凌駕していると思うので、本作の平成版も期待している。CGを使ってもよいが、やはりメインは人間に演じてもらいたい。河童や油すましの微妙な演技は、やはり人が演じてこそだろう
 ダイモンに体を乗っ取られた神田隆さんの演技がとてもいい。神田さんは大魔神でも悪代官を演じているが、悪役をメインに演じてきた方。それが、前半のよい代官の時、とても優しげで、それ故、後半の極悪非道になったときの(まるで人が変わったような)感じがよく表現されていた。また、敵役のダイモン、演じたのは大魔神で魔神の中に入っていた橋本力さん。ダイモンの目と、大魔神の目は同じだ!と、子供の頃感じたのは正しかったのである
 それにしても、日本の妖怪達…海外の怪物に比べたらなんと愛らしいディテールだろう。ネーミングもぬらりひょんとかぬっぺらぼうとか…なんだか愛嬌がある。今の世、妖怪というか魑魅魍魎が跋扈するのは政治の世界だけ。愛嬌も何もない、<政治家>という妖怪によって日本は壊されていく。油すまし達よ、立ち上がるのは今だぞ(2003.3.14)