りくべつ鉄道、気動車体験運転記


鉄道の駅から”道の駅”になった陸別駅
(外観写真を取り忘れてしまいパンフレットから引用させて頂きました。)

仕業点検体験、運転に必要な機器のスイッチを投入、機関始動、ブレーキ試験・・いよいよ走り出します。


陸別駅構内配線と体験運転路線(水色部分)
北見方面にはまだレールが延びていて9Km程の観光鉄道として走らせると言う企画も・・。
池田方面は国道にかかっていた鉄橋が早々に撤去されていて完全に鉄路は途絶えました。
体験運転で走るのは上の図の水色で示した線路でした、今後体験運転の充実により変わることが有るかも知れません、体験運転用の車両は駅舎前の2番ホーム側線路に止められていてその屋根の下で仕業点検から運転準備まで行います、運転開始後何度か往復し池田側で停車後ポイントを手動で転換し1番ホーム側も走行、この場合は北見側のポイントが開いていないためその手前の赤い三角コーン(図の×印)手前で停車し折り返します。
さて、いよいよ準備が完了しまずは池田方面に向けて走り出します、機関油圧、逆転機前進位置、変速レバー”変”位地を確認しマスコンのノッチを投入します、関東鉄道で一度経験してるとはいえ緊張の一瞬・・。
手袋は関東鉄道で買った物を持参しました。
手のひらでマスコンハンドルのノブ下ににあるボタンを押しながら1ノッチへ・・エンジンの回転が少し上がりメーターパネル面の”変”ランプが点灯・・”変(変速)よし!”・・ゆっくり車体が動き出します、ランプの点灯を確認してからノッチを2〜3と上げていきます。
5ノッチまで有りますが体験運転では3ノッチまで、この辺りは関東鉄道と同じ流れになっています。
”制限15!(15Km/h)”関東鉄道と同じく時速15Kmが制限速度となっていて15Kmにてノッチオフ・・走行距離が約500mと長いので走っている、運転していると言う実感が大きいです・・。
ただ一気に終点まで走ることは無く途中で停止する所が有ります、上の路線図で”自由通路”と言う踏切にはスタッフが赤と緑の旗・・”フライキ”にて誘導してくれますが鉄道施設から公園扱いになっているので人が自由に歩けるため安全確保にスタッフが立ち、車両の方もその踏切手前で一時停止・・。
ブレーキハンドルを重なり位置から減圧に移した瞬間・・まだブレーキシリンダー圧力は上がっていません、操作に対して動作にタイムラグが有りこの辺りが自動空気ブレーキの難しいところです。
列車が踏み切り前で一時停止するのもちょっと変わっていますがブレーキとマスコンを扱う回数を増やして体験してもらおうと言う事の様でした、確かに私としてもこのブレーキ扱いを経験したくて参加しましたのでしっかりブレーキの感覚を楽しみました。(^^;
車両が池田側終点まで行くと進行方向を変える操作をして反対側の北見側運転台に移ります。
この画像は私の前に体験運転していた車両を撮影しました、駅構内と言っても元国鉄路線で貨物も走っていたので広いですね。
終点に停車後は車両が動き出さない様追加減圧・・追加でブレーキを強くかける事を行い、前照灯(正式には前部標識灯)を切り、運転台切り替えスイッチを投入し(このスイッチを入れずに他の切り替え操作をすると制御回路が切れ安全のためエンジンが停止するとか)その後変速機レバーと逆転機のスイッチを中立へ・・運転台の前後を切り替えるスイッチを”前”から”後”に専用のキーで切り替えます。
最後にブレーキハンドルを抜き取り反対側の運転台へ移動。


池田方向終点から北見向き運転台より見た風景・・広いですよね、この風景だけを見ていると廃線とは思えません。
運転速度が15Km/hと遅くても他の体験運転では出来ない距離を走ることが出来ます。
運転台の切り替え操作をしてブレーキハンドルとキーを持ち反対側の運転台に移動する私を友人が捕らえていてくれました。
ブレーキハンドルをブレーキ弁にセットしキーで運転台前後を切り換え、逆転機を前身位置に・・変速機を”変”へ切り換え前部標識灯点灯・・軽く警笛を鳴らして逆方向に走り出します。

1ノッチを入れた瞬間反対側運転台で投入しておいた運転台切り換えスイッチが”パチン!”と言う音を響かせて切り替わります、ワンマンでの扱いを考えた構造になっているのですね。

運転パターンはその都度指導運転士の方が伝えてくれます、”今度は踏切で止まらずホームの端まで・・”の様に。

北見側終点停止位置目標に向けてブレーキを扱う・・。
指導運転士に”ピッタリだ”と言われ思わず立ち上がって確認してしまったり・・。
ブレーキ時に丁度良い減圧が出来、ブレーキシリンダー圧力が100Kpaとなり停止位置にピタリとスムーズに止められた時の画像・・。
かなりの回数を起動と停止を行いましたがスムーズにピタリと止められたのは2回有ったかどうか・・。
一両なのでブレーキの反応は早く、関東鉄道での旧型車に比べ扱い易く感じました、ブレーキ扱いに慣れていると言われ特別に一度だけ20Km/hでの走行をさせてもらうことが出来ましたがこの5Kmの差・・走っている、自分の手で走らせていると言う感覚がより大きく感じました。(^^)
北見側の終点よりその先を見た風景・・車止めは有りますが脱着式で柵の向こうにまだ線路は続きます、実現して欲しいですね・・観光鉄道も、そこまでの体験運転は無理でしょうけど。(^^) 梅雨の無い北海道ですが運転中時々ザッと雨が降ります、その為ワイパーの操作も・・このCR70形はワイパーも車と同じ電動タイプなので操作は楽・・空気圧でピストンを動かすタイプのワイパーは微調整が難しいのですよね。
ワイパーのスイッチは昔の車に付いていた様なデザインで何か懐かしさも感じました・・。

ポイントの転換体験・・2番ホーム側の線路を何度か往復した後池田側終点に停車、運転台から下りてポイントの転換体験も行いました。
元々は電動転轍機でモーターにより切り換えていたのですが廃線により電源が供給出来ず専用のクランクハンドルを用いて手動での転換作業となります、しかしこのクランクハンドルによる電動転轍機の転換も通常私たちには出来ない作業・・これも良い体験になります。
実際にハンドルを回してみると転轍機内部のロックを外しトングレール・・ポイントの可動部分が動く所までは想像より軽くハンドルは回ります、トングレールが反対側のレールに接してから機械的にロックがかかるまではちょっと重くなります、両手で一気にハンドルをグルグル・・転換を終えるとハンドルを抜き取りクランク軸にも手でロックをかけ蓋をして終了・・運転台に戻り転換を終えた1番線ホーム、駅舎側を走ります。
1番線側ホームを通過し線路の真ん中に置いてある三角コーン手前を停止位置として走行します、北見側のポイントは1番線側に開いていないので終点まで走ることは出来ません。
1番線側を往復し再度ポイントを2番線へ転換、今度は転換後雪から転轍機を保護するカバーの蓋をして転換作業終了、素人考えですがこのポイントを北見側ポイントと共にスプリングポイントにすると行きと帰りで別な線路を走ることが出来ますね、もっともその為には費用もかかるため簡単にはいかないと思いますが。
転換後1往復した辺りで予定時間の80分となり最後は2番ホームに停車・・ワンマン用扉スイッチで客室用扉を開ける・・これもなかなか出来ない経験。
車外に出た友人が運転台に収まっている私を撮ってくれました・・1人ではこれだけ(実際にはデジカメの動画3本を含め100枚以上の画像を残してもらえました)の画像は残せませんでしたから感謝です。

一番気をつけていた運転中ブレーキ操作の遅れで停止位置をはみ出してしまうと言う事は無く(手前で止まってしまったことは有りましたが・・)無事に終わりました。
車内でスタッフから”CR70・75形ディーゼル気動車運転体験証明書”の交付を受けています、受講番号は0020となっていました、20人目なのかな。
証明書の裏を見ると運転体験記録確認表になっていました、回数1の所に体験した日付H20,6/20の表記と指導運転士の印が押されていました・・回数の欄は50まで有り・・あれ?、このデザイン何処かで見たような・・・。(^^;;;;
運転体験(Lコース)の時は必ず持参下さい・・の文字も、是非ハンコを増やしたいですね、体験回数により何かオプションが付けば面白いかも・・もう少し近ければなぁ、逆にあまり都心に近いとこの様にゆったりした体験運転は難しくなるでしょう。

私の後には体験運転の予約が無かったためスタッフのお一人と色々と談笑・・またアンケートの記入を頼まれました、アンケートのお礼にと頂けたのは割引券・・体験運転Lコースが5000円割引に、でも有効期限が今年(20年)10月20日の営業終了日まで・・残念、来年まで有効なら使えたかも・・。
自分では夢中になっていたため何回往復したかは解りませんでしたが5.5往復していたそうです、陸別鉄道Lコース体験営業開始以来2番目に多かったとか、1番の方は6往復されたそうな・・。
今回はブレーキの扱いに夢中になってしまいましたがまた体験するときはもう少しゆとりを持ってハンドルを握りたいと思います。

CR75-1号車

CR75-2号車

CR75-101号車
体験運転の余韻を楽しみながら保存されている車両にレンズを向けてみました、上の2枚は銀河鉄道999に登場するキャラクターが描かれた車両で2両のCR75形気動車、同じキャラクターでメーテルと鉄郎ですが1号車と2号車では画像のようにメーテルの髪の色が違います、またよく見ると描かれている星も違います・・この2両は土日の体験乗車に使われているのかも知れません。

←は最後に増備されたCR75-101号車、この車両のみ室内座席がロングシートになっているとのことです、本で見たのですが車歴が一番若いこの車両のバッテリーが一番状態が悪くなってしまったとか。

余談ですがバッテリーは化学品ですからバラツキが出ることも有りますね、私の家の車でも買って1年半でバッテリーが劣化しエンジンがかけられなくなりました、2日に一度は20K程走っていたのですが。

今回ハンドルを握ることが出来たCR70-8号車
構内の片隅にひっそりと停車しているモーターカー、現役時も車両ではなく機械扱いで登録され保線や冬場のラッセルに活躍していたのでしょう。
ラッセルヘッドを含めきれいに整備されています。

実車の鉄道車両を運転したのは関東鉄道での新旧気動車体験運転に続き2度目となりましたがその運転距離、運転時間、体験内容はトップクラスだと思います。
体験運転としては前の頁の内容とダブりますが旧碓氷峠でのEF63形電気機関車運転体験、豊橋鉄道での路面電車運転体験、函館市電やのと鉄道でも時々行われているようですがその殆どは運転距離が120m〜200mほど、体験出来る回数も2〜3回と言われます。
(豊橋鉄道、函館市電のお話は友人”鉄人Mさん”より頂きました)
ここ陸別鉄道では隔週土日に行われる運転体験Sコースでも15分の時間でこの駅構内を1〜2往復(少し距離は短い様です)出来て料金は2000円、私の体験したLコースでは料金こそ20000円とちょっと値が張りますが80分間の間1人で指導運転士さんや安全確保の為のスタッフさん3人・・施設と気動車1両を占有し、50分以上の時間ハンドルを握る事が出来るというのは私としては高いとは思えませんでした。
東京から参加するとなると移動のための費用、休暇の確保がネックになりますがまた是非体験Lコースに参加したいと思っています、既に来年の予定を考えていたりして・・。(^^;

雨の中安全確保のため誘導してくれたスタッフ皆様、丁寧に説明、ご指導いただいた指導運転士様、改めてお礼を申し上げます、鉄道大好き人間にとって至福の一時を過ごさせていただきました。

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