想い出となった交通博物館


機関車の後ろに繋がっている客車。
THIRD CLASS・・3等客車、今の普通車ですね。
パノラマ運転場の奥には日本で最初に走ったとされる一号機関車(後に150型と言う型式が付けられた)がそれこそマッチ箱の様な小さい2軸客車と共に展示されています、昔は野外に有ったと思うのですが鉄道記念物と共に重要文化財にもなっている車両・・室内での保存が良いでしょう。
当時イギリスに発注された機関車で一番早く日本に搬入されたので”1”が付けられたと言う話も有ります。

雲仙普賢岳の被害も受けてしまった九州の島原鉄道に移り活躍していた時期も有ったとか・・返還後は大宮工場に保管されこの交通博物館開館時から展示されているとの事です。
2007年に開館する鉄道博物館に場所を移しこれからもその姿を見ることが出来るでしょう。
昔はこの場所に下の167系が展示してあったと記憶するのですが・・ちょっと怪しい。(^_^;

カットモデルを後ろから見ると・・扇風機まで付いています。
上の4枚の画像は修学旅行専用に作られた167系電車の切断車体です、この車体は実物をカットした物ではなくモックアップ・・実物大模型になりますが車両メーカーの協力で博物館用に新しく製作した物、台車などは有りませんが運転台なども省略せず本物の機器が並びます。
運転台を覗いていると計器類が動くのですがこの運転台の計器類は別コーナー(下の画像展示品)にある制御装置やブレーキ、パンタグラフの構造を展示してある機器と繋がっていてその操作状態を示していた様です。
パンタグラフを上げると架線電圧計が跳ね上がり、マスコンを操作すると速度計も上がると言う感じに・・。
車内のクロスシート部も一区画作られていて座ることも出来ます、167系は急行用165系を元に作られているため台車も空気バネ式で乗り心地は良かったと思われます、晩年は塗装を変えホリデー快速などで活躍していました。
私は修学旅行電車を最後に利用した年代で155系の”ひので号”にて京都奈良へ・・この座席は記憶に残り懐かしいです、翌年からの修学旅行は新幹線利用になりました。

155系はその後増備された修学旅行用157系と共に小断面トンネル区間にも入れる様全て低屋根の編成で足回り・・台車もコイルバネで走行性能は113系などの近郊型に近い車両だったと思います。

ひので号は品川からの発車で途中静岡辺りまで結構速度を上げて走っていたのを覚えています、後で解ったのですが昔の東海道線を走った特急こだまのダイヤに載る様なスジだったそうで・・元特急のダイヤでは飛ばす訳です、京都からの帰りは夜行になりのんびり走っていたと記憶します。

電車が走って止まるメカニズムを展示したコーナー、運転装置のマスコン(主幹制御器)とブレーキ弁は実車の物・・メーターパネルは機器の動作状態を示す部分が有り実車のパネルとは少し違いますがメーター類は実車と同じ物がズラリと並びます、逆に今の車両はメーター類は少なくなっていてこの様に並ぶ事は無くなりました。

前の台車の動きを見ながら操作ができます。

先ずパンタグラフの”上げ”スイッチを押すと上画像のパンタグラフが上昇し同時にメーターパネルの架線電圧計も針が跳ね上がります、メーターは1500Vを示しますが実際に1500Vを扱うのは危険ですからこの辺りはダミーでしょう。
このパンタグラフは当時主に使われていたPS-16ではなく旧型車に付いていたPS-13と言うタイプになります、ただ登場間もない101系通勤電車ではパンタグラフの新製が間に合わなかったのかこのPS-13を付けて走っていた編成も見られました。
左のパンタは新幹線0系に使われていたPS-200型パンタグラフ、架線電圧が交流の25000Vと高圧なため絶縁碍子の段数・・大きさはご覧の通りで1500V用とは比べものになりません、こちらは上げたままの展示で操作はできませんでした。
真ん中は路面電車に使われていた集電装置のポール(黒い棒)とビューゲル(銀色)、流石にポールが使われていた車両は見たことが無くチンチン電車というとビューゲルが思い浮かびます。

101系を初め当時の代表的な車両に使われた
CS-12型主制御装置。

実際にモーターへ流れる電流を切り替えた接点側、
大人の親指くらいの幅の接点が並びます。
パンタを上げブレーキを緩めマスコンハンドルを回すと展示してある主制御器(左画像)のカム軸が回り始め、それと同時に展示してある台車(右画像)のモーターが回り始めます、ただし回るのは1軸だけ・・マスコンハンドルの回す角度、ノッチにより主制御器の進段も直列、並列、界磁弱め・・と進んでメーターパネルにも表示されますがどうも実際にはこの制御器で台車のモーターはコントロールしていない感じでした、でもマスコンの操作と共に”カタッ・・カタッ・・カタカタカタ・・”と回るカム軸は面白い物です、実車では床下にあり蓋で密閉されているのでまず動きを見ることは出来ませんから。
モーターの回転を見ていると実際に加えられている電圧は200V以下と見られます、それでもモーター一台の定格端子電圧は375Vなので結構高速まで回っていました、車輪が回るとメーターパネル面の速度計も上がり同時に157系の運転台でもメーターが動いていた物と思われます。
ベローズタイプ空気バネ台車のDT-23型。
特急、急行に使われていました。


良く整備されたブレーキ弁、操作感も滑らかで実車のブレーキ操作感を体験できたと思われます。

ブレーキを操作するとその設定圧力に応じ実際に動作していた電磁弁、接点では小さな火花も見られました。
運転装置のこちら側は車両を止めるための装置・・ブレーキ関連の機器が並びます、タイプとしては”電磁直通ブレーキ・・”と言われた物で圧縮空気を実際に制御するバルブ以外に電気回路も有り編成各車のブレーキも電気的に制御するため旧型車の”自動空気ブレーキ”に比べ操作に対して反応の良いブレーキシステムです。
画像左上のブレーキハンドルを操作するとその制御圧力に応じ画像右上の電磁弁も実際に動作し、画像左のブレーキ制御装置を動作させて回っている車輪にブレーキをかける・・制輪子を押しつける動作をします、その時の圧縮空気の吸排気音は実車そのままでした。
ただ空転している車輪だけにブレーキをかけるのでポンと直ぐに車輪が止まってしまうのはやむを得ないですね。
この手の展示機器では構造を簡素化するためにブレーキ弁で直接台車のブレーキシリンダーへ圧縮空気を吸排気させる”直通ブレーキ”の構造になっている事が多いですが、ここ交通博物館の展示機器はブレーキハンドルでの設定圧力に応じたブレーキシリンダ圧力になるよう自動的に制御するセルフラップ機能も再現され、省略されている部分も有ると思いますが実車と同じ構造になっていたと思います。
ブレーキ制御装置の機器を見ると電磁直通ブレーキの機器と共に緊急時のバックアップにも使われた自動空気ブレーキの作動弁など機器も有り、今思うと”非常制動”も使ってみたかったなぁ・・感じます。
交通博物館の目玉?の一つでもある運転シミュレーター・・簡易的な物も含め6台位有ったと思いますがその中かから3機種を画像で並べてみました。

一番人気が有ったと思われる山手線205系の
シミュレーター。

東海道線211系のシミュレーター。

通称京浜東北線209系シミュレーター。
シミュレーターはそれぞれ一駅区間の運転で交代するようになっていたと思います、しかし運転操作をもたついてしまうと次の駅に着く前に”運転手は交代して下さい・・”のアナウンス(運転指令?)が流れます。
205系は実写による画像ですが211系と209系はCG・・コンピューターグラフィクスの画像でした、なのでリアル感は205系が一番だと思います、205系はATC信号も機能していてしっかり信号を確認して走らないととんでもない運転になってしまいます。
211系と205系はマスコンとブレーキの2ハンドル、209系は左手操作のワンハンドル、操作感の違いも体験・・楽しめました。
211系は体験しませんでしたが209系と211系は速度制限は制御されていなかった模様でカーブなどオーバースピードで飛び込んでもブレーキがかかる事は有りませんでした、でも駅を通過したり大きくオーバーランするとブレーキがかかり運転手交代のアナウンスが流れた様な・・。
私も205系と209系を楽しみましたが以前に行った地下鉄博物館でのシミュレーターで運転手OBの方が運転の”勘所”を教えてくれたり、自分もパソコン用のシミュレーターで山手線は結構走っていたこともありスムーズな運転と停止位置もそれほどズレずに一駅”乗務”出来ました・・後ろから覗いていたカップルが”上手いなぁ・・”とボソリとつぶやいた言葉が心に残っています。(^^ゞ


機関車ホール横の休憩コーナー

かなり年季の入った階段が・・・
館内には所々に休憩コーナーが有るのですが左上画像の機関車ホールに面するこの休憩コーナーは以前には無かったと記憶します、いつ頃設置されたかは解りませんが右画像の飲み物自動販売機に通じる階段がやけに年季が入って居るなぁ・・と感じていました。
元万世橋駅の特別公開と共にこの階段も紹介され、やはり万世橋駅時代の階段を利用していることが解りました、一部は通路部分を残し削られて居ますが左下画像の様に今まで隠れていた部分の壁に穴を開けライトアップ、解説の看板と共に公開されていました。
また、自動販売機の並ぶフロア左側壁にも窓が開けられ元万世橋ホームに続く階段もライトアップされ右下画像の様に見えるようになっていました、この階段も今まで人目に触れずひっそりと存在していたのですね。

この階段は元万世橋駅の階段だったのですね。

人知れず静かな時間が流れていた階段。

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