フリーマンの随想

その89. Chat-GPTはどこまで日本語文を校正・改善できるか ( その1 )


( Dec. 8, 2023 )


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 生成AIの普及により、学生や研究者が自分で考える事をせず、レポートや論文を Chat-GPT に考えさせ、書かせるようになってしまうのではないかという憂慮が、しばしば表明されています。 確かにそれは人類の思考力や文章表現力のの衰弱をもたらす憂慮すべき行為です。 一種のカンニング、不正行為でもあります。 でも、自分の頭で考え、自分の手 ( 或いは音声 ) で打ち込んだ論文の文章の中にある幾つかのミス・・・誤字や脱字などを Chat-GPT に発見し修正してもらえるのでしたら、別に悪いことではないし、人間の校正者に頼るよりも迅速・安価でよいと思います。

 どんなに有能で緻密な人でも、キーボードから打ち込み、変換して作った長い文章の中に、変換ミスや脱字や誤字などが一つもないというようなことは、滅多にないでしょう。

 プログラム作成の際にも、Chat-GPT は、出来上がったプログラム中のバグを、迅速に発見し指摘してくれると言います。

 そこでひとつの実験を行ってみました。 ネット中にあった一つの短い文章を拝借して、Chat-GPT の校正能力を試してみました。

文章A:原文

 稲盛和夫氏の生誕地・鹿児島でその哲学を守り続ける経営者の一人、M田酒造株式会社のM田雄一郎社長。32年前、経営危機をきっかけに盛和塾・稲盛氏に出会い 「 酒宴での問答 」 や 「 1対1のぶつかりげいこ 」 を重ねてきました。そんな中で自身の糧となったことは 『 稲盛さんからこっぴどく叱られた出来事ばかり 』 と言います。  その叱責や、それを通じた経営者・会社としての成長について聞きました。

文章B:私が故意に誤りを導入した文章

 稲盛和夫氏の生誕地・鹿児島でその哲学を守続ける経営者の一人、M田酒造株式会社のM田雄一郎社長。32年前、経営危期をきっかけに盛和塾・稲盛氏に出会い 「 酒園での問答 」 や 「 1対1のぶつかりげいこ 」 を重ねてきました。そんな中で自新の糧となったことは 『 稲盛さんからこっぴどく叱られた出来事ばかり 』 と言います。  その叱席や、それを通じた経営者・会社としての成長について聞ました。

文章C:「 以下の日本語文を正しく直してください 」 と要求し、文章Bを与えた時、Chat-GPTが数秒間 で修正した文章:

 稲盛和夫氏の生誕地である鹿児島でその哲学を守り続ける経営者の一人が、M田酒造株式会社のM田雄一郎社長です。32年前、経営危機をきっかけに盛和塾・稲盛氏に出会い、 「 酒園での問答 」 や 「 1対1のぶつかり稽古 」 を重ねてきました。そんな中で自身の新たな糧となったことは、『 稲盛さんから厳しく叱られた出来事ばかり 』 と述べています。その叱責や、それを通じた経営者としての成長、会社としての発展についてお聞きしました。

結果の考察:

 「 生誕地・鹿児島 」 を 「 生誕地である鹿児島 」と直した。 これは好感が持てる。

 「 守り続ける 」 を 「 守続ける 」 と1字脱字してみた。 ちゃんと 「 り 」 を復活挿入してくれた。

   酒宴を酒園と変えておいたが直せていない。 「 酒園 」 という名の料亭もあるかもしれないので、致し方ないか。

 「 ぶつかりげいこ 」 を 「 ぶつかり稽古 」 と直した。 これは、読者が視覚的に速く理解できるので、改善されたというべきか。

 自身を自新と変えておいたが、チャンと直している。 「 新たな 」 が入ってしまったのは、私が新という文字を入れたからか。

 叱責を叱席と変えておいたが、これも正しく直している。

 「 経営者・会社としての成長 」 を「 経営者としての成長、会社としての発展 」 と変えた気配り・・・会社には成長より発展が似合うと考えたのか。

 「 聞きました 」 を 「 お聞きしました 」 に直したのは立派。

 以上のとおり、Chat-GPT は、校正者として90点くらいの好成績を挙げたように思われます。 さらに検討を続けてみたいと思います。 このような事は、勿論、既に多くに人たちが、考え、実用しているでしょうが、私も、自分のこのホームページの作成に際し、今後応用してみたいと思っています。

 

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